「海の近くに引越したので、ビキニを着ようとしたら、ひどい身体のオバさんになっていたことに気づきました。コロナで引きこもっていたので、好き放題食べて飲んでいました」
まゆみんさん(54)を変えたのは、友人が出場したボディコンテストの観戦だった。
「それまでは50歳も過ぎているしと、どこか諦めていた部分はありました。でも、自分よりずっと歳上の方たちが素晴らしいプロポーションを堂々と見せている。いくつになっても人は美しくいられるんだという光景を目の当たりにして、自分もチャレンジしてみようと思いました」
まず始めたのは食生活の改善だった。
「ダイエットに良いとされる食材を調べて、良質なたんぱく質と脂質を食生活に取り入れました。鶏胸肉、ささみ、牛ヒレ、豚ヒレといった低脂質なたんぱく質、使用するオイルはオリーブオイルかココナッツオイルのみにしました」
また、運動は無理なく続けられる自宅でのチューブトレーニングを開始した。カニ歩きやヒップアップ、胸のハリを出す種目などをYouTubeで調べて実践するととともに、砂浜で散歩をするといった自身に心地良いものを選択したという。
「ストイックになりすぎず、ストレスを溜めず、自分のペースで、を大切にしました。あとは日常動作を美しく行うように努めました。背筋を伸ばすことで下っ腹のぽっこりが減り、猫背が改善するとともに腰についた浮き輪肉が落ちていきました。無理にジム通いをしなくても、日常を変えればボディメイクはできると思いました」
「あとはコンテストに向けてレッスンに参加し、14cmのヒールを履いてのウォーキングを隔週で1時間半行うことで、美しい身のこなしを覚えました。ヒールを履く機会もそれほどなかったので、とても勉強になりましたね」
こうして2年をかけ徐々に、しかし確実にボディラインは整っていった。体重は11kgの減。その過程でより美しさへの意欲が増し、昨年には耳つぼの資格も取得。代謝がよくなり顔のリフトアップも感じると、まゆみんさんは語る。
「1年目のコンテスト参加では全く結果が出せなかったのですが、2年目でベストボディ・ジャパン地方大会での準グランプリという成績を得ることができ、日本大会(全国決勝戦)も経験することができました。ここまで自分が変われるとはと、とてもうれしかったです」
フィットネスへの熱意は、心身にも良い影響をもたらしたという。
「健康診断は文句なしのオールAです。また、日常でストレスがあっても自分に自信がついたことで、適切に心の中で処理できる耐性もできました」
今後の目標は、“60歳に赤いちゃんちゃんこならぬ赤いビキニ”を着ることだという。年齢にとらわれず、何歳からでも美しさは作ることができるという体現となったまゆみんさん。これからも楽しみながら自己実現をしていく姿を見せてくれることだろう。
取材:にしかわ花 写真提供:まゆみん