「どうせやるなら、学年で一番体脂肪率の数字を変えたい!」
そんな一心で、永井公健(ながい・きみたけ/22)さんは筋トレを始めたという。当時、大学の体育の授業で体脂肪率を測定し、休み明けに再び測定するという機会があったのがきっかけだった。「どうせならクラスで一番体脂肪率を変えた人になろう」と思い、真剣に身体づくりに取り組む決意を固めた。
【写真】永井公健さんの鍛え上げたバキバキ腹筋ボディ(ビフォー写真あり)
クリスマスイブはジムの入会記念日
もともと細身だった自分の身体にコンプレックスを感じていた永井さんは、ジムに入会する日を「絶対に忘れない日」にしようと考え、クリスマスイブを選んだ。その背景にあったのは「筋トレ歴を1日単位で正確に把握したかった」から。
同じ「1年1カ月」でも、1年1カ月と“0日”と、1年1カ月と“30日”では、意味が違うと考えていたという。「正確な日数の単位をしっかりと言える人が少ないことに、正直疑問を感じていました」と永井さんは話してくれた。
そういった経緯で、ジムの入会日をクリスマスイブに決めた永井さん。そして1カ月前から、地元の図書館で食事面では栄養学、トレーニング面では解剖学の勉強を毎日重ね、筋トレ開始に備えて知識をつけた。
「筋トレに関する国内外の論文を日本語訳して読み漁りました。先に学んでいたこともあり、ジムの入会前からクレアチンやグルタミンを摂取していたんです。また、リストストラップやベルト、パワーグリップなどのギアも一式揃えた状態で、ジムでのトレーニング初日を迎えました」
永井さんは「プログレッシブオーバーロード(※)」のみを信じて継続。筋トレのメニューを固定化し、筋トレ歴1カ月目のときと2年6カ月2日(取材当時)経った現在で、種目・セット数・順番はまったく変更していないそうだ。流行りのトレーニングや面白そうな種目には目もくれず、目的達成に必要なことだけを愚直に繰り返してきた。
(※)重量や回数を少しずつ増やしていくことで筋肉に継続的な刺激を与えるトレーニング原則
設備が十分でなくても筋肥大はできる
ジム環境にも恵まれていたわけではない。永井さんの自宅近くにあるのは、運動習慣をつけたい人向けのライトなジムのみ。筋肥大には不向きな設備であったが、「今ある環境で何ができるか」を突き詰め、知識武装の上でトレーニングを続けた。
「筋トレのきっかけになった体育の授業の結果としては、1%も変わっていませんでした」と、永井さんは素直に答えてくれた。
「たった1〜2カ月で大きく身体は変わりませんでしたが、それでも腐らずに継続した結果、徐々に成果が出てきたんです。ジムに通う前に知識をつけて、改めて良かったと思います」
ボディコンテスト・マッスルゲートで、フィジークカテゴリーに出場した永井さん。2024年11月の『静岡大会』では、新人の部168cm以下級で優勝を果たした。知識をつけた上でのボディメイクをすると、完璧な設備環境でなくとも確実に身体を変えられる。永井さん自身の身体が、その証明と言えるだろう。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
次ページ:永井公健さんの鍛え上げたバキバキ腹筋ボディ(ビフォー写真あり)
取材・文:小笠拡子 大会写真:上村倫代 写真提供:永井公健
執筆者:小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。