中学時代から駅伝・陸上長距離を10年続けてきたCHIKA(ちか/29)さん。「痩せた方が速く走れる」と信じて、無理なダイエットを繰り返した結果、拒食症になったという。
【写真】拒食症を克服し、スポーツモデルプロを目指すCHIKAさん
「高校時代に監督の前で毎日体重を測られるのが苦痛で、体重が増えれば走って減らしたり、半身浴で無理やり体重を落としたり……。痩せていないと自信が持てなかったんです」
大学時代も体重増減に振り回され、心も身体も限界に近づいていった。ゴールドジムに入会して、信頼できるトレーナーと出会い、栄養士の資格も取得したCHIKAさん。そのトレーナーとの出会いで次第にパーソナルトレーナーになりたいと思うようになったが、それでも病気は頑固だった。夢を見つけて進もうとする中、潰瘍性大腸炎や拒食症の症状に苦しみ続けて、低体重で3度も入院。体重を増やしたくないと病院内を歩き続けて怒られることもあったという。
「正直、当時の私は病気に勝つどころか、負けてばかりだったと思います」
人との出会いで人生が変わる
そして大きく変わったのは、1年前。ボディコンテストのプロ選手(以降、コーチ)に出会ってスポーツモデルに挑戦したいと思うようになり、自分の悩みを打ち明けた。
「最初はコーチも頭を抱えていたと思います。でも私は治したい、スポーツモデルになりたいという夢を叶えるために必死でした。週6回のトレーニングと食事指導を受け、1日4食、1回の食事でご飯200g以上を食べる習慣を続けました」
痩せることへの執着が自然と消え、前向きに身体を育てていく楽しさを知った。
「いつの間にか痩せていることが正しいと思っていた価値観が、すごくバカバカしく感じられるようになったんです」
店長として、そして未来のスポーツモデルとして
今では病気を克服してパーソナルトレーニングジムの店長として働き、食事とトレーニングを両立。仕事や日常の中でも「前向きになれたことが一番の変化」だと語る。
拒食症の苦しみを経験したからこそ、同じ悩みを抱える人の力になりたいという想いが強い。
「私が変われたように、多くの人の人生を変えたい。次はNABBAのスポーツモデルで優勝して、誰かの希望になりたいんです」
拒食症に苦しみ、「細さ」しか自信にできなかったCHIKAさん。そこからボディメイクに出会い、支えてくれるコーチと共に乗り越えた今は「身体を育てる楽しさ」を全身で体現している。
スポーツモデルとしての挑戦は、同じ悩みを抱える人たちに変われるという勇気を与えていくに違いない。
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取材・文:柳瀬康宏 写真提供:CHIKA
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。