「食べても飲んでもきれいでいたい!」
そんな想いから、ピラティスと筋トレを組み合わせて理想の身体を目指しているのが会社員のJuliet(ジュリエット/36)さん。ボディメイクを始めたのは5年前。現在の体重は5年前と同じ64kgのままだが、体脂肪率は5%減少し、何より引き締まったウエストと高く引き上がったヒップラインが、数字以上の変化を物語っている。

体重は変わらない。でも身体は別人。
2020年、体重64kgのころ、周囲からよく言われていた言葉は「よく食べてよく飲む」「痩せたら可愛い」。当時は運動習慣もなく、食事もなんとなくで過ごしていたという。そんなJulietさんが一念発起したのは、「食べても飲んでもきれいでいたい」という気持ちがきっかけだった。
「太っている自分を責めるんじゃなくて、どうやったら楽しく続けられるかを考えました。短期で減らすより、長く続けていく方が自分に合っていたんです」
ボディメイクを開始する前から姿勢が悪く、巻き肩に悩んでいたというJulietさん。コロナ禍にオンラインでピラティスを始め、正しい呼吸法や身体の使い方を学んだ。
「ピラティスを続けるうちに、肩が開いて背中が伸びて、少しずつ身体が軽くなっていったんです」
その後、転職先の会社にジムがあり、なんとなく始めた筋トレがJulietさんの生活を大きく変えた。
「最初は会社の仲間に筋トレのフォームを教えてもらいながら、週に何回か通うだけでした。でも気づいたら筋トレが楽しくて、気持ちも前向きになっていきました」
ピラティスで整えた身体に筋トレで筋肉を加えることで、姿勢の美しさと引き締まったラインが両立したという。
「ピラティスで土台を整えることで、筋トレの効果が最大限に引き出せることを実感しました。筋トレだけでは得られないボディメイクができたと思っています」

ボディメイク前のJulietさん
脱毛症を経験して気づいた「本当の自分らしさ」
そんなJulietさんの人生に、2024年の年末、大きな変化が訪れた。
突然、身体の毛が抜け始め、わずか2週間ほどで頭の毛の約8割が抜けてしまったのだ。病院で検査を受けても、原因は不明。体調に問題はなかったが、眉毛やまつげまで抜けていく日々に戸惑いを隠せなかったという。
「突然の出来事で、最初は怖かったです。でも、大切な人の支えもあって、残った毛も全部の剃ることにしました。正直、外に出るのもつらかったですが、会社の人たちがすごくポジティブに受け入れてくれて、それが本当にうれしかったです」
当初はトレーニング時もニット帽で頭を隠していた。しかし、ある日「暑いから取ってみよう」と思い切って外したことをきっかけに、周囲の反応が変わった。
「みんなが『かっこいい!』と言ってくれたんです。その言葉に本当に救われたし、自分自身でもこの姿の自分を好きになれました」
髪があってもなくても、自分らしく生きていい。そう思えるようになってから、Julietさんのトレーニングに対する意識も変わった。
「トレーニングは、自分が好きな自分でいるための精神的な内省をする時間。もちろん周りの目が気になることもありますが、トレーニングを通して自分を受け入れる強さを育てられた気がします。誰かの声より、自分の『かっこいい!』を信じられるようになりました」
自分がかっこいいと思えるためにトレーニングにもさらに没頭していったJulietさん。
「お尻のトレーニングが得意なんです。スクワット、ヒップスラスト、ブルガリアンスクワット、ルーマニアンデッドリフトなどを組み合わせて、様々な角度から刺激を与えることを意識しています。お尻は一番変わりやすいし、変わると服のラインも全然違って見えるんです!」
現在の目標はメリハリのある砂時計ボディ。広がった背中、引き上がったヒップライン、絞れたウエスト。そのすべてを意識しながらトレーニングに励んでいるそうだ。
「数字や他人と比べるのではなく、理想の自分を追い続けることがモチベーションです。トレーニングをしていると、少しずつ自分が理想に近づいていく感覚があって、それが楽しいんです!」
脱毛症を経験した今だからこそ、Julietさんが強く伝えたい想いがある。
「髪の毛があってもなくても、誰かと比べる必要はない。自分が好きだと思える自分でいれば、それが一番きれいなんだと思います」
Julietさんにとって、筋トレもピラティスも、ボディメイクの手段ではなく生き方そのものになった。
「食べても飲んでも、ちゃんと動いて、ちゃんと整えれば、きれいなままでいられるし、かっこよくなれる。そういう心と身体のバランスを取りながら生きていくことが、私にとっての幸せなんです」
Julietさんが見つけたのは、好きな自分でいることの喜びだ。自分を愛せる強さこそが、ボディメイクの本当のゴールなのかもしれない。
取材・文:柳瀬康宏 写真提供:Juliet
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。










