バルクアップ 筋トレ

男だって尻トレ!❸【“ボリューム尻”の鍛え方】大久保恵介が教える「“感覚重視”トレーニング」

競技者だけでなく一般トレーニーにも必要な男の尻トレ。日本トップクラスにデカいお尻を持つ3人の実践例を紹介する【男だって尻トレ!】シリーズの3回目は、大久保恵介選手。
腰椎分離症を抱えているとは思えないほどのデカさ。1年前と比べて明らかにサイズアップした尻トレの全貌が明らかになる。

取材・文:小笠拡子 写真:舟橋 賢 大会写真:中島康介

尻トレのメリットと成長種目を解き明かす

――競技者でなくとも、トレーニーがお尻を鍛えることのメリットについて教えてください。

大久保 殿筋を含め、お尻周りの筋肉が発達すれば骨盤周りが安定し、上半身のトレーニング強度も必ず上がります。また、競技者で言えば、ポージングがとりやすくなることも考えられるでしょう。フィジークであれば、デカくしすぎるのは良くないかもしれませんが、ある程度発達させることで重心が下がり、間延びしなくなるというメリットもあります。

――横への広がりが見事な大久保選手ですが、いつ頃、どんな種目をやり始めたのでしょうか。

大久保 約1年前ぐらいからですね。大殿筋に関してはブルガリアンスクワット、ケーブルのキックバック、そしてフルボトムのスクワット。中殿筋などお尻の上部を鍛える種目としては、アウターサイとバックエクステンションを行っています。

――種目数が豊富です。それぞれの種目に対して、意識していることはありますか?

大久保 ブルガリアンスクワットはスミスマシンで行い、高重量種目として捉えています。70㎏・20レップから始めて、5㎏ずつ重量を上げていき最終は90㎏で1015レップします。ケーブルのキックバックはその日のお尻の感覚に合わせて重量を変えているんです。また、片足が完全に浮く状態になるので、軸足の固定が必須。脚を上げるときに体幹部を捻らないようにすることも意識しているので、お尻の感覚だけではなく身体全体のバランスも見ています。

――重量を意識しすぎない、ということですね。

大久保 はい。重さよりも感覚重視の種目になります。フルボトムのスクワットはセーフティーにバーを置いて、持ち上げるところからスタートです。危険なやり方なので、初心者にはおすすめできないのですが……(笑)。アウターサイは太ももの外側上部にある大腿筋膜張筋に緊張が走らないように、脚を置く位置や姿勢を1セットの中で変化させています。足で踏ん張らないようにする、ということですね。バックエクステンションは3540㎏のプレートで加重し、お尻に力が入らなくなるまでやります。上半身の上下運動を意識するのではなく、お尻の収縮にだけ意識を向けてほしいです。加重するときは重りを挙げるイメージは捨てて、ただ体重が増えている感覚でやるのがコツです。

一生付き合う腰の怪我 大事なのはコントロール力

――2022年に腰椎分離症と診断されたと伺いましたが、お尻のトレーニングに支障はありませんでしたか?

大久保 今でも痛みが完全に取れたわけではありませんが、トレーニングにそれほど大きな影響もありません。というのも、骨盤を安定させるため、インナーマッスルの骨盤底筋群などを発達させてコントロールする能力を少しずつ磨いてた背景があるからです。インナーマッスルを鍛えて強くするということではなく、それを使って動作ができるか、が大切なポイントです。そのため、インナーを鍛える特別な種目はしていません。普段のトレーニングで、どこが使えていてどこが使えていないか、を探っていく中で磨いていき、そこに筋力が付随してきたのだと考えています。

――そういったコントロール感覚を得るコツが知りたいです。

大久保 僕の場合、セットに入る前に解剖学の本で、筋肉のつき方や骨格などのビジュアルを見直すようにしていました。筋肉がどこからどこまで走っているか視覚的に情報を入れて、イメージしながらトレーニングするだけで刺激の入り方が変わるというか。また、トレーニングのセット数や回数も、その日のコンディションと筋肉の感覚で決めてしまいます。例えば先ほど例に挙げたスクワットだと、3レップで終わるときもあれば、8~10レップほどいくことも。回数や重量を全く気にしないので、昔からノートをつけていません。記録よりノートの字が汚い方が気になるので、書かないようにしています(笑)。

――ご自身の身体と向き合いながらトレーニングされているようですが、重点的にするようになってお尻は大きく変わりましたか?

大久保 そうですね。特にこのオフシーズンから脚を四頭とハムケツに分けて行うようになったんです。そこから一回りも二回りもデカくなっている感覚があります。

――これまでは脚の日にお尻の種目をやっていた、と。

大久保 はい、ですが四頭筋のトレーニング後にブルガリアンをすると、腰が張ってしまって……。そういう状況下でやり続けるのも良くないので、腰への負担軽減のためにも脚を分けるようになりました。分けたら疲労が溜まって、お尻の種目にも影響が出るだろうと思っていたんですが、やってみると案外大丈夫でしたね。課題だった脚の強度を上げることも、お尻のサイズアップもできたので、この選択をして良かったです。

厚みのあるお尻を作るポイント解説
重量≠成長!「あくまでお尻で動かす」

優先度①ブルガリアンスクワット(スミスマシン)

両足揃えの状態から片方の脚に重心移動し、踏み込みやすい点を探ってから後ろ足を乗せる。関節や脚の筋肉はできるだけ脱力。


優先度②スクワット(特殊フォーム)

ボトムポジションからスタートする特殊フォーム。挙げたあと、通常の骨盤がニュートラルな状態のまま、かかとに向かってお尻ごと落としていく。落としたら一度、お尻の力を抜き再度入れ直して挙げる。※初心者注意


 

優先度③バックエクステンション

頭から骨盤まで一本筋が通っているような姿勢を意識する。身体を持ち上げるのではなく、斜め前に頭が伸びるように。プレートで加重する場合は、手を前ならえのような持ち方で。



 

おおくぼ・けいすけ
1999年生まれの25歳。神奈川県出身で身長169cm、体重はオン80kg、オフ92kg。現役の住職でありながら、ゴールドジム公認パーソナルレーナーとしても活躍。2024年の戦績/JBBF日本クラス別選手権大会6位

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