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「お尻に効かない!」を卒業!小倉シエカが伝授 “股関節ケア”で劇的にお尻が変わる方法【講義編】

簡単そうなのに、やってみると意外にキツイ!効く!と話題のエクササイズコーナー。今回もフィットネストレーナーの小倉シエカさんに”見るのとやるのでは大違い”な、とっておきの種目を紹介していただきました。継続すればアナタの股関節、アナタのお尻も劇的に変わる!

【動画】シエカさんに教わる、股関節エクササイズ

股関節が正しく動かなければせっかくの尻トレもムダになる

日々のトレーニングにブルガリアンスクワットやヒップスラストなど、お尻を狙った種目を取り入れている人はとても多いと思いますが、「正しいフォームでやっているのに思ったような効果が出ない」、「トレーニング中やトレーニング後に脚の付け根や腰周りに痛みが出てしまう」といったお悩みの声もよく聞きます。

この場合、疑ってみたいのが「股関節」のコンディションです。
股関節を動かしている代表的な筋肉は、お尻の筋肉である殿筋群。殿筋の働きなくして股関節のスムーズな動きは出せません。これは逆も同じで、殿筋がしっかり働くためには股関節の環境が整って動かしやすい状態であることが必須です。つまり、股関節のコンディションを良い状態にキープしておくことが殿筋発達のキーポイントになります。ここで、改めて股関節の形状についておさらいしておきましょう。

お尻発達の伴になる!股関節の構造

「股関節は骨盤と大腿骨からなり、大腿骨先端の丸い球状の部分(大腿骨頭)が、骨盤の受け皿の部分(寛骨臼)にはまり込むような構造をしています」

脚の付け根にある股関節は骨盤と大腿骨からなり、大腿骨先端の丸い球状の部分(大腿骨頭)が、骨盤の受け皿の部分(寛骨臼)にはまり込むような構造をしています(右下図参照)。股関節はよく電球とソケットにたとえられます。電球を正しくセットするには、ソケットを固定するのが大前提ですよね。同じように、股関節を正しく働かせるにはソケット役である骨盤の安定がマストです。

その骨盤の安定に欠かせないのが、やはり体幹部=コアの働きです。体幹部がしっかり機能していないと、股関節の自然な動きが引き出せず不安定になります。

平らなお尻や太い膝まわり……お悩みの原因はこれだった?

股関節の不安定さが顕著に出やすいのが反り腰の人です。
お尻のトレーニングで股関節を動かす際も、反り腰の人はコアに力が入っていないことが多く、股関節以上に腰椎が動いてしまいます。これでは殿筋に効かないばかりか、腰の痛みなどの違和感が出てしまうこともあります。

また、反り腰の人は骨盤が前傾しているため、大腿骨に屋根(骨盤)を大きくかぶせているような姿勢になります。

股関節周りの安定は保てるかもしれませんが、屋根に骨が当たってしまうので股関節の詰まり感、また前面に痛みが出るなどの不具合が生じることもあります。骨盤が前傾している人のなかには、先天的にソケット部分の器が浅い人もいます。

臼蓋形成不全などによりボールがうまくソケットにはまらず、股関節周辺が不安定になってしまう。そのため骨盤を前に倒し、屋根をかぶせるようにして安定させているのです。この場合も、前傾の姿勢を長く続けていると仙腸関節痛や股関節痛が生じるほか、前腿が張る、膝周りが太い、お尻が平坦といった状態に悩まされる人もいます。

反り腰や先天的な形状ではなくとも、足や膝、体幹部の不安定さによって骨盤のニュートラルが保てなくなると、股関節の動きが円滑に行えず、組織を挟んだり痛めたりした結果、痛みや違和感を訴える人も少なくありません。このように、股関節は骨盤の状態にも大きく影響を受けるのです。

悩ましい股関節の詰まり感はこれで解消できる!

股関節の違和感で、特に多くの人を悩ませる〝詰まり感〞について、少し掘り下げてみましょう。先ほどご紹介したように、大腿骨の先端は丸いボール状になっていて、周辺のあらゆる筋肉がバランスよく働くことで自在に動かすことができます。

内腿なら恥骨筋、お尻側なら小殿筋や深層外旋六筋、そして前側なら大腰筋などの筋肉が、ボールを包むように四方八方から引っ張り合いをしているようなイメージです。当然、どこかが強く働きすぎても、逆にゆるみすぎてもバランスが崩れてしまい、股関節の運動軸がずれて〝詰まり感〞につながります。

ストレッチやエクササイズを行う際、自分では股関節を動かしていると思っていても、実は股関節の周辺が硬くなっているせいで筋バランスが崩れ、股関節の多面的な運動がスムーズに行えなかったり腰椎などが代わりに動いてしまったりしていることはよくあります。お尻のトレーニングで思ったような成果が出ない場合も、これが大きな原因になっていることはとても多いんです。

股関節の理想の動きはズバリ「動的安定性」、つまり関節が安定した状態でスムーズに動作が行えること。具体的には、ボール状の骨がソケットの四方の壁にぶつからず、中心軸を保ったまま動かせることです。この状態をキープできれば、股関節を自在に動かせるのはもちろん、詰まり感や痛みの軽減、怪我の予防にもつながります。

お尻のトレーニングで効果を感じられない、腰や股関節周辺に痛みが出るという人は、ぜひインナーにおける関節の安定と、アウターにおけるスムーズな動きという〝内と外の協調〞を意識してみてください。

あなたの股関節は大丈夫?テスト&セルフメンテで確認を!

今回のエクササイズは「テスト」「メンテナンス」「安定性向上エクササイズ」の3段階で股関節にアプローチしていきます。
最初のテスト種目では股関節の現時点での動作状態のほか、左右差や違和感、可動域もチェックすることができます。動作を行う際に大切なポイントが、体幹と股関節の分離です。体幹を安定させたまま股関節をスムーズに動かせればOK。スクワットやデッドリフトなどのフォームが不安定な人は、フォーム改善のエクササイズにもなります。

次に、股関節の癒着や詰まりを改善し可動域を取り戻すためのマッサージなど、簡単にできるセルフメンテナンスをご紹介します。この過程を経て、骨盤の安定性を向上させるエクササイズ、そして股関節の動的安定性を向上させるエクササイズに入りましょう。このプロセスを通して股関節本来の動きを取り戻すことで、より効果的、効率的なお尻のトレーニングも可能となります。

一通りエクササイズを終えたら、ぜひ最初のテスト種目をもう一度、実施してみてください。ビフォー・アフターではないですが、股関節に痛みや硬さがある人ほど股関節周りのコンディションの変化を実感できるはずです。

あなたの股関節は大丈夫? 「テスト」「メンテナンス」「安定性向上エクササイズ」の3段階で股関節にアプローチする【実践編】はこちら!↓
「お尻に効かない!」を卒業!“3ステップ股関節アプローチ”で劇的に美尻を手に入れる方法【実践編】

シエカ
1979年生まれ。フィットネストレーナー/運動経験ゼロであったが、体型の崩れをきっかけに2007年、27歳で筋力トレーニングを開始。JBBFボディフィットネスに出場し、東京・関東(初代)・東日本(初代)大会チャンピオンとなる。2010年に全日本大会準優勝、11年東アジア選手権代表に選出。現在はピラティス、ウエイトトレーニング、筋緊張抑制などを組み合わせたコンディショニング&ボディメイクを行うパーソナル指導を中心に活動中。

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取材・文:藤村幸代 撮影:中原義史 Web構成:中村聡美

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佐藤奈々子選手
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