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ただ鍛えるだけじゃない!ケトルベルで得られる効果と意外な落とし穴【ハードスタイル・ケトルベル・トレーニング❷】

ケトルベルを使ったハードスタイル・トレーニングが注目を集めています。その理由はシンプル。効果が抜群だから!姿勢の改善、全身の筋力強化、持久力の向上、脂肪燃焼効果、そして軽快な動作へと導くこのトレーニングは、まさに「やればやるほど進化する」トレーニング。しかし、すべてに万能なわけではありません。

本記事では、ストロングファースト(SFG)公認インストラクターであり、運動学・解剖学に精通するおの卓弥氏が、ハードスタイル・ケトルベル・トレーニングがもたらす効果と、逆に達成が難しいことを明確に解説します。

あなたのトレーニングに取り入れるべきかどうか、じっくり考えてみてください!

ハードスタイル・ケトルベル・トレーニングの効果

何やら良きことをぜんぶ記載するようで恐縮だが、すべて本当のことである。逆に、明確な効果が見込めないことも、当然ながらある。それも記載する。

ハードスタイル・ケトルベル・トレーニングの効果

❶姿勢が美しくなる。
一般的に美しい姿勢になる。ハードスタイルの技法と取り組み方で、真剣にやればやるほど美しい姿勢になっていく。

❷身体全体が強くなる。
特に筋肉~腱の移行部が強くなる。これは代表的な種目=ケトルベル・スィングで特に効果が出る。

❸筋持久力と全身持久力、どちらも向上する。
正確な方法で行えば、特にケトルベル・スィングによって全身の循環性が向上するスィッチを入れ、それが持続するということであり、呼吸技術の関与も大きい。

❹脂肪燃焼に明らかな効果がある。
これはケトルベル・スィングの研究を指し、他の運動と比較しても、効率が良いことが証明されている。が、薄皮1枚などいう状態にするには、当然ながら栄養アプローチも必要。

❺動作全般が軽快になり、疲れにくくなる。
姿勢が改善され、血行と肺循環が阻害されにくくなり、呼吸テクニックで出力の適正なタイミングを覚え、ハードスタイルの適正スケジューリングを実施すれば疲労が溜まりにくくなる。

❻ヒップアップする。
当然である。動作のほとんどが股関節=ヒップジョイントの出力を経由して成立する。必然的に、そうなるのである。

ハードスタイルとしての基本的な考え

1:追いこまない。

フォームの崩れは、悪癖のインプットとなり、効果を生まず、怪我のタネを作る。

目をつむる(瞑る)、口呼吸だけになる、動作リズムを乱す・崩す・失う、ポジティブ動作よりネガティブ動作の方が速くなってしまう、しっかりと最後まで挙げきっていない動作、これらはパフォーマンスを落とす原因を作る。

トレーニング自体が自分自身の失敗のタネになっているのである。

2:全身の連動によって出力する。

どこか1点集中に効かせるという発想はない。全身を使う。だから、当初は疲労が強いと感じることが多い。

その基盤は、足底、太もも(前面と後面)、殿部、腹部、ラットダウンにあり、これらによって出力する。そのスイッチは呼吸であり、背骨をゆがませたり、反ったり曲げたりすること全般で禁ずる。

3:筋肉の「テンション=張力」を、常に一定以上保ち続け、連動させる。

「力む」ということとは、まったくの別次元。足裏を全面接地(ドライブ)させ、呼吸によってスイッチを入れ、背骨は常にニュートラルにし、ラットダウンし、肩関節をパッキングさせつつ目線を変えず、首を長くする。

これらはそれぞれ独立せず、一定の筋テンションを保ちつつ連動する。運動連鎖=キネティックチェーンを正しく最強に「使う」ということである。鎖(くさり)のつながりに弱い部分や、たるみを作ったり、「抜け」を生まないということ。

4:何も壊さず、侵食せず、ストロングファーストはセーフティファーストであることを具現化する。

自分の身体を壊すことはもちろんのこと、他人を傷つける、壊す、室内や床、壁、地面を傷つける、壊すなどに該当することは、一切禁ずる。

トレーニングは、人生、生活を豊かにハッピーにするものであり、そこから外れたことは、一切行わない。

これはプログラムやスケジュールについても同様であり、疲労の扱いはハードトレーニングと同じ価値観である。

5:柔軟性を極めて重要視する。

これは、器械体操の選手のようになれとか、グニャグニャになれということではない。

正しく、人間としての機能を発揮するために、達成しなくてはいけない柔軟性が存在するということ。

強い出力、疲労除去、快適な動作の達成には、絶対に必要な柔軟性がある。極めて大事な部分であり、ストロングファーストはモビリティファーストともいえる技法がある。

6:筋肉が強く出力した後は、かならず直後に素早くほぐす。

動的ストレッチ=モビリティエクササイズ、腕を振る(水をはらうように)、足首や股関節をまわす(回旋させる)、肩をまわす、手首をまわす、など、絶対に、キツイからといって、ゼエゼエと口呼吸をしながら立ちつくしたりしない。

動いて血行循環を高め、呼吸も鼻からのみ吸って口からのみ吐くということをすり込んで回復に努める。

これをストロングファーストでは「ファスト アンド ルーズ:Fast&Loose」と呼んでいる。

今まで筋肉にテンション=張力を与えていたのだから、一刻も早く筋肉のテンションをゆるめてあげて、動ける状態を作るということ。テンションの強弱を自分自身でコントロールする、できるように仕向ける。Fast&Looseは、ハードスタイルの真髄とも言える部分である。

ハードスタイル・ケトルベル・トレーニングだけでは達成が難しいこと

ボディコンテスト向きの体型になること。
そもそも、フィギュアを考慮していない。筋肉が肥大したり、シャープな見た目になったりするが、筋腹にフォーカスした肥大、全身の黄金比を実現する思想や種目がない。

体重を増やすこと。
食事や栄養の配慮と組み合わせなければ、達成が難しいのは他のトレーニングと同様だが、筋腹にフォーカスして糖質やアミノ酸を限界まで枯渇させ、充填するトレーニングする取り組み方自体がない。

丸くゴツイ印象になること。
上記2つと関連する。筋腹が丸く発達する感じにはならない。筋腹への集中刺激がない技法である。

体脂肪率5%以下などの、極端な低脂肪の状態は作れない。
ハードスタイルのトレーニング技法と取り組みは、そのようには明言していないが、すり切れるようなトレーニング方法自体を禁じている。

ケトルベルを使う大きなメリット

ハードスタイルのトレーニング技法でケトルベル・トレーニングに取り組むとこのようなメリットがある。

1:時短。
効率を科学的に分析し、あわてず、他の仕事やスポーツ、生活の関与を最小限に抑えて成長できる。単純な「クイックリー:quickly」だけを目指すこととは次元が違う。

2:場所を取らない。
畳1枚分のスペースがあれば良い。天井高は、自分の身長+50㎝あれば完璧。これでできない種目はない。

3:ケガと共に障害が大幅に減り、回復する。
特に手首、腰、肩、膝。ハードスタイルの技法でケトルベルを扱うと、驚くほど痛みが減り、弱くなる。

4:重心を捉えるという感覚がダイレクトに分かる。
脊椎の垂直方向と荷重方向をそろえることができて、強く実感することができる。

5:他の筋トレの類の記録更新を狙う時の「秘密のスイッチ」として活用できる。
キーワードは、重心、加速、加重の発見と理解、技法の見直しと刷新。実例多数あり。

ハードスタイルでは「やればやるほど良い」という考えを推奨せず、「正しいことを多くおこなえば、成功、ゴール達成に近付く可能性が高まる」という当然のことをもって進行する。

正しくできないことが、スキル不足なのか、筋力不足なのか、疲労、体調不良によるものなのか?ここを見極め、機能的な動きを失わなわずに強くなるようにトレーニングし、プログラムし、スケジューリングする。

ある意味、トレーニング単体ではなく、カラダと動き、生活、専門競技を結び付けて、包括した「捉え方と考え方」も成長させるのである。

次回は、無反動種目とバリスティック種目の詳細や呼吸法について解説します!
パワーと精度を極める!無反動&バリスティック種目の実践メソッド【ハードスタイル・ケトルベル・トレーニング❸】

おの卓弥(おの・たくや)
ストロングファースト(SFG:世界最大のケトルベル関連団体)認定インストラクター。外傷専門柔道整復師。内閣総理大臣認定スポーツ・サプリメントアドバイザー。解剖、生理、運動学的に正しいケトルベル・トレーニング=ハードスタイルを啓蒙するために、ブログ、インスタグラム、フェイスブック、X、YouTubeを展開。「ハードスタイル・ケトルベルSTUDYグループ」を運営し、500名近い会員を指導。正統指導者、チャンピオン、ダイエット成功者を生み出している。

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