筋トレ初心者が陥りやすい典型的な間違いとは?トップ選手を真似たトレーニングが実は逆効果になることも…。ボディビル元世界チャンピオンの鈴木雅さんとAthleteBody所属ボディビルコーチの本橋直人さんが、初心者が最初に押さえるべきメニュー設計のポイントを解説。正しいフォーム習得のカギは「頻度」と「シンプルさ」にあり!
筋トレ初心者の落とし穴①
トップ選手の多くは、1つの部位を1週間に一度鍛える分割法を取り入れることが多い。そうすると、自然と分割は5分割や6分割になる。これを参考に、初心者が細かい分割でトレーニングするのは果たして有効なのだろうか。
一度のトレーニングで全身を刺激する全身法や、上半身と下半身のようにして2日に分ける2分割では、その分、部位あたりのトレーニング頻度を上げることができる。このような大きめな分割を採用することにより、反復頻度が増え、正しいフォームの習得に結びつきやすくなるのだ。
分割やトレーニング量を決める際は、疲労の管理も重要になる。

「全力を使い果たすのではなく、疲労を残さない程度にすることが大切です。次回はいつトレーニングするかを考えて、強度設定は逆算しても良いでしょう」(鈴木)
疲労が残った状態では、正しいフォームを意識して行うことが難しくなりやすい。初心者だからこそ、やりすぎには注意する必要があると言えるだろう。
初心者のメニュー設定に関しては、そもそも初心者は1回のトレーニングでこなせる量が少ないという意見もある。

「1つの部位で何種目も行うのではなく、コンパウンド種目を中心に全身法でトレーニングするやり方を私は勧めています」(本橋)
トップ選手は1部位だけで何種目も何セットもトレーニングするのが普通だが、初心者はその部分は真似しない方が良さそうだ。

「初心者の指導で最初に勧める種目は、スクワット系、プッシュ・プレス系、プル・ロウ系、ヒップヒンジ系の4種目です。トレーニング段階によっても異なりますが、まずはこれらのコンパウンドエクササイズを正しいフォームで行えるようになることを目標にしてほしいです」(本橋)
トレーニングの習熟度によって選択する種目は変わってくるが、まずはバーベルを使った基本エクササイズを正しいフォームでできるようにすることが大切だ。
ここで紹介した中では、デッドリフトのように股関節を中心に身体を折り曲げるヒップヒンジ系はやや難易度が高い。殿筋が引き伸ばされることを理解するために、ヒップスラストなどの殿筋を収縮させる種目を行ってみるのも一つの手だ。筋肉に対して意識づけができると、その後のフォーム習得にプラスになることがある。良いフォームの実現のためにぜひ参考にしてもらいたい。
回避法!
本橋さん推奨!初心者に勧める4つの種目系統
スクワット系
(例)バーベルスクワット、ゴブレットスクワット、レッグプレス
プッシュ・プレス系
(例)バーベルベンチプレス、腕立て伏せ、オーバーヘッドプレス
プル・ロウ系
(例)懸垂、ラットプルダウン、シーテッドケーブルロウイング
ヒップヒンジ系
(例)デッドリフト、ルーマニアンデッドリフト
※引用元:筋トレメニューの組み立て方by本橋直人:https://athletebody.jp/
すずき・まさし
1980年12月4日生まれ。福島県出身。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2010~2019年日本選手権9連覇。2016年IFBB世界選手権ボディビル80kg以下級優勝。現在トレーナーとしては主にアスリートやボディビル競技者のトレーニング、栄養指導にあたる。他にもアスレティックトレーナーや理学療法士に対して身体の原理原則をいかにトレーニングに落とし込むかといった指導にも携わる。
もとはし・なおと
1982年11月1日生まれ。埼玉県出身。AthleteBody.jpで活動中のパーソナルトレーナー。トレーナー歴17年であり、ここ10年は体組成改善に専門で取り組む。特にここ5年はボディビルやフィジークといった競技者のクライアントを多く指導している。久野圭一選手や昨年の日本クラス別で活躍した藤井貫太郎選手も指導を受け、指導前後の変貌振りがSNSで話題となった。
取材・文:舟橋位於 撮影:北岡一浩、舟橋賢、中島康介 Web構成:中村聡美
-筋トレ, トレーニングメニュー
-筋トレ初心者, 分割法
「初心者には、正しいフォームの習得をしてほしいです。動作の習得には多くの反復動作を要するため、頻度を上げたトレーニングをする必要があります」(鈴木)