ジムに通い始めて数週間。食事も気をつけて、筋トレも頑張っている━━なのに、体重はほとんど変わらない。筋肉も目に見えて増えた感じがしない。「もしかして、向いてないのかも…」なんて不安になっていませんか?実はそれ、筋トレ初心者の“あるある”なんです。
ボディビル元世界チャンピオン鈴木雅さんとAthleteBody所属ボディビルコーチ本橋直人さんが「継続できる筋トレ思考法」をお届けします!
筋トレ初心者の落とし穴⑧
初心者がジムに通わなくなってしまう大きな理由として、思うような結果がすぐに得られないということがあるだろう。こうならないようにするためには、自分が実現可能な目標をあらかじめ設定しておくことが考えられる。
体重を毎日測定することは大切だが、適切な食事をしていても、体重は一定のペースで落ち続けるわけではないことは知っておきたい。日々の増減に一喜一憂することを防ぐには、1週間ごとの平均体重を変化の指標にすることが勧められる。こうすると、毎回の数値の変化に影響されて食事や運動の内容を変えすぎてしまうミスを防ぐことができる。
トレーニングも同じだ。その日の体調によっては、以前は挙げられたウエイトが使えないこともあるだろう。そのような場合に、すぐにメニューを変えてしまうようなことはないようにしたい。

「減量のペースとしては、1週間に体重の0.5%〜1%ほどを減らしていくのが例になります。増量はもう少しゆっくりで、1カ月で体重の1%〜1.5%くらいを増やしていけると良いです」(本橋)
身体が変化するには時間がかかることを最初に理解し、じっくりと取り組むことがボディメイクには重要と言えるだろう。

「筋肉量で言えば、1年間で2㎏〜3㎏増やすことができれば大成功です。他の誰かと比較するのではなく、1年前の自分から伸びているかを確認して進めていくのが良いでしょう」(鈴木)
身体が変わっているかどうかを正しく理解するためには、日々の変化をメモとして残すことも大切だ。これを元にして、日々の結果を客観的に判断すれば、自分のやり方が正しいかそうでないかが分かるようになる。

「目標設定をする際は、短期・中期・長期のように、期間を区切ってそれぞれの目標を立てると良いです。ゴールを決めてから、それに向かって計画性を持って取り組むことが大切ですね」(鈴木)
初心者がトレーニングからドロップアウトしないためには、身体のことをよく知り、自分に無理のない範囲の目標を定めることが大切だ。また、目標に向かっていく道中では、一切の障壁なく進むということはまずなく、必ず停滞や記録の一時的な落ち込みを経験する可能性があることも知っておくと良い。順風満帆でないことが分かっていれば、焦りを感じることも減るのではないだろうか。
回避法!
すずき・まさし
1980年12月4日生まれ。福島県出身。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2010~2019年日本選手権9連覇。2016年IFBB世界選手権ボディビル80kg以下級優勝。現在トレーナーとしては主にアスリートやボディビル競技者のトレーニング、栄養指導にあたる。他にもアスレティックトレーナーや理学療法士に対して身体の原理原則をいかにトレーニングに落とし込むかといった指導にも携わる。
もとはし・なおと
1982年11月1日生まれ。埼玉県出身。AthleteBody.jpで活動中のパーソナルトレーナー。トレーナー歴17年であり、ここ10年は体組成改善に専門で取り組む。特にここ5年はボディビルやフィジークといった競技者のクライアントを多く指導している。久野圭一選手や昨年の日本クラス別で活躍した藤井貫太郎選手も指導を受け、指導前後の変貌振りがSNSで話題となった。
取材・文:舟橋位於 撮影:北岡一浩、舟橋賢、中島康介 Web構成:中村聡美
「まずは、その日の体重の数値やトレーニング成績に振り回されないようにしましょう。長期スパンでデータを確認して進めることが大切です」(本橋)