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「体重にとらわれないで。今の自分を好きでいるためのフィットネスを」くびれ女王・AZUSAの競技→妊娠→出産を経て現在に至るまでの『リアル』な姿【自分を愛するボディメイク⑩】

ビキニフィットネス界のトップ選手として、長年「完璧」を体現してきたAZUSAさん。昨年11月の第一子誕生という幸せの傍らで、彼女は妊娠中から現在に至るまで、リアルな身体の変化をありのままに発信し続けています。かつてのストイックな象徴が、あえて「盛らない姿」をさらけ出す真意とは━━。ライフステージの変化を経て辿り着いた、新しい美しさの定義やフィットネスの意味について伺いました。

[初出:Woman'sSHAPE vol.31]

【写真】AZUSAさんのくびれと丸いヒップ

選手ではない今だからこそ発信できる「リアル」

━━昨年11月に第一子を出産。本当におめでとうございます。

AZUSA ありがとうございます!こちらのジムにもすごく久し振りに伺って。ブランクは数カ月ですが再会がうれしくて、スタッフの方々に思わず抱きついてしまいました(笑)。

━━そんな気さくな人柄を体現するかのように、SNSを通して産前産後のリアルな体型を公開し、素直な心境を告白。多くの方の共感を得ていますね。

AZUSA うれしいですね。以前は大会に向けてどんどん身体を絞って、筋肉のカットが強調されて......という投稿へのリアクションが多かったのですが、今は「数字にとらわれず、自分で自分を好きになれる体型がいいよね」ということを伝えていて。中でも体重50kgで脂肪が削げ落ちた水着写真と、63kgの水着写真を並べた投稿は、1679万回のインプレッションがあって、最近では一番多かったんですね。

 

━━1千万回以上!それくらいインパクトがあったのでしょうね。

AZUSA そう、プラス13kgと聞くと、「すごいデブになったな」とか「体型が絶対崩れた」と思い込んでしまう女性が多いと思うんです。だけど13kg数字が増えたとしても、決して醜くなるわけではなく、むしろ女性らしいカーヴィーな身体をつくれる。トレーニングをして筋肉をつけながら体重を増やしていくことは、皆さんが思っているほどマイナスなイメージじゃないんだよ、ということを伝えたかったんです。

━━あえてリアルな姿を発信し続ける真意はどこにあるのでしょう。

AZUSA 女性に向けたフィットネス系の発信の中には、極端な食事制限などを紹介するものも増えてきて、「ヘルシー」のイメージがちょっと偏ってきているのかなと思っていて。だから今回、出産前後のリアルな自分を出すことによって、今自分の身体を否定してしまっている女性たちがいたとしても、それをネガティブに捉えてそこに留まってほしくないという思いもありました。

━━そういった発信は、妊娠されてすぐに決めていたのですか?

AZUSA そうですね。大会を目指すときは完璧な自分を追求したいし、それは競技者のブランディングとして、とても大切なことだと思っています。ただ、今の私は出産を経て、選手とはまた別のライフステージにいます。究極の身体を目指して自分を追い込むのって、フィットネスの中でも特別な領域ですよね。

━━もちろん、誰もがそこまで突き詰められるわけではありません。

AZUSA 大会に出ることは、人生を豊かにするための素晴らしいコンテンツの一つ。でも、それがすべての人にとっての唯一の正解というわけでもない。私自身、選手から一歩離れた場所に来たことで、フィットネスにはいろんな選択肢があるんだということに改めて気づくことができました。

━━その気づきがあったからこそ、ありのままの姿を出すことに迷いがなかった。

AZUSA はい。大会に出る時期もあれば、「今は出ない」という選択をする時期があってもいい。どちらの状態であっても、自分をかっこよくしていくためにやることは変わりませんから。出産で体型が崩れることは分かっていましたが、どんなステージの自分も肯定して、ありのままを出していこうと妊娠中から決めていました。

「伸びしろ」しかないゼロからのボディメイク

━━AZUSAさんといえば美しく割れた腹筋がトレードマークでしたが、産後の変化に戸惑いはありませんでしたか?

AZUSA もちろん、落ち込みました。2秒くらい。

━━え、2秒ですか!?

AZUSA はい(笑)。落ち込まないっていうのは、さすがに無理でした。もう赤ちゃんは出てきたはずなのに、お腹がまだすっごく出ていたし、「私の腹筋、マジでどこに行っちゃったの?」って。でも、落ち込んでいる時間がもったいないなって、すぐに思ったんです。

━━その切り替えの早さは、どこから来るのでしょう。

AZUSA 今は逆に伸びしろしかない状態なんだって捉え直すことにしたんです。一度壊した粘土細工のように、つけたいところをつけ、取りたいところを取り......と、またゼロから作り直せる。その振り出しに戻っただけなんだって。

2023年『オールジャパンフィットネスチャンピオンシップス』ビキニフィットネス 163cm以下級で優勝し、5連覇を果たした(撮影_中島康介)

━━美しく完成された体型だったからこそ、崩れてしまった今との落差がショックだったりしませんか。

AZUSA それもよく言われますが、実は逆なんです。戻し方を知っていることが、今の私の支えになっているというか。

━━経験があるからこそ、地図を持っているような安心感がある?

AZUSA そうなんです。何をしていいか分からない、いつまで続くか分からない状態で走り出すのは、誰だって不安ですよね。でも、「1週間こういう食事をしたら、身体はこう応えてくれる」という実感を積み重ねていくと、体型が変わることもそんなに怖くなくなるということは、たしかにあると思います。

━━「戻し方を知っている」とはそういうプロセスなのですね。

AZUSA 私自身、今の栄養の状態を客観的に見ながら「大体あと2カ月でこれくらいかな」って、自分の身体と対話するように目処を立てています。身体って本当に食べたものが正直に出てくるので、実は大きな変化球はないんですよね。経験からそういう知識もあったので、焦らずに自分の身体と向き合えています。

━━お食事に関してはご主人のサポートも大きいのだとか。

AZUSA そうなんです。夫は料理が得意なこともあり、3食ほとんど作ってもらっていたくらい、環境的にすごく助けられています。母乳のために糖質はしっかりとりつつ、基本は低脂質・高タンパク。彼自身も大会に向けて減量中なので、今うちには胸肉と米と野菜しかないような状態ですが(笑)、私自身も競技歴が長いので、そういう「ボディビル食」が一番しっくりくるし、今の身体にも合っているなと思います。

━━トレーニングもこの2月から再開されるとか。まずどの部位からというのは決めている?

AZUSA やっぱりお尻ですね。一番崩れたなと感じるのがお尻を含めた骨盤まわりですし、子育ては座っている時間が長くて、お尻の筋肉がすごく落ちてしまうので。もちろんお腹まわりのくびれや皮のたるみも気になりますが、魔法のようには戻らないことは分かっているので、そこは焦らず気長に。その点、お尻ならしっかり負荷をかけてあげればボリュームは戻せるかなと。戦略的に楽しみながら、一歩ずつ進めていこうと思っています。

女性のライフステージ
優先順位は人それぞれでいい

━━競技者としてトップを走り続けてきたAZUSAさんですが、SNSではボディメイクの過程で起きた生理不順についても告白しています。

AZUSA 当時はフィットネスに全振りしていて、選手としての幸福度を一番に考えていたんです。病院で「このままだと妊娠しにくい」と言われたときも、私にとっては大会で優勝することが最大のプライオリティ(優先順位)でした。それを犠牲にしてでも掴みたい幸せが、あのときの私にはあった。その選択を後悔するということはないですね。

━━そして、そこから人生の優先順位が変化するタイミングが訪れた。

AZUSA 落ち着いて考えたとき、「やっぱり子どもは欲しいな」と。そこからは人生の優先順位が変わって、新しいライフステージも大切にしようと。競技は大好きで、もちろんまた挑戦するつもりです。両方のステージを経験したからこそ、今の自分に合った選択をすることが大事だと言いたいですね。

━━応援してくれるファンが多い中で、競技を離れることに不安はありませんでしたか?

AZUSA 「がっかりさせてしまうかも」と勝手に思い込んでいた時期もありました。でも、それって自分軸じゃないんですよね。誰かのため、応援してくれる人のためにやっている時点で、私は強い選手になれないって思ったんです。

━━強い選手になれない?

AZUSA 自分の成長にフォーカスしているときが一番楽しかったし、自分を鼓舞できていました。でも「みんなのために」となると、結局自分が辛くなっていつか崩れてしまう。他人にどう思われてもいい、自分の人生を豊かにすることを一番に置こうと思えたとき、すごく吹っ切れたんです。競技者としての私じゃなくても応援してもらえるんだと分かったことは、大きな収穫でした。

━━今は子育てという新しいライフステージにいますが、改めてフィットネスとの向き合い方はどのように変わりましたか。

AZUSA 今の優先順位の一番は子育て。なので、トレーニングが以前のようにメインではなくサブになる時期があってもいいかなと思っています。一生懸命やってきた人ほど罪悪感を抱きがちですが、環境が変わればフィットネスとの関わり方が変わるのは当たり前のこと。フィットネスは苦しんでやるものではないですもんね。

━━その「ありのまま」をSNSで発信することにも、強い思いがあるのですね。

AZUSA SNSに関しても、考え方や伝え方が変わってきました。以前はクールでかっこいい自分を見せるのが私のスタイルだなと思っていましたが、いわゆる「盛った」姿を見せることが、ひょっとしたら誰かを傷つけることもあるかもしれないと考えるようになりました。

━━AZUSAさんの投稿で?

AZUSA たとえば、たまたま写りが良くてお腹が凹んで見える写真を載せたとして、それを見た産後間もない方が「私はまだこんなにお腹が出ているのに」と這い上がれないくらい落ち込んでしまうかもしれない。だから、皮膚に線が入っていることや、今のリアルな体型を隠さず出していきたいんです。

━━最後に、体型の変化に悩む女性たちへメッセージをお願いします。

AZUSA ライフステージの変化が激しい女性だからこそ、フィットネスの形は一つじゃなくていいんです。がっつりマシンに向き合うことだけが正解ではなくて、たとえば家から出られないときにストレッチをしたり、いつもより少し早歩きをしてみたり......。そんな風に、自分の身体に少しでも目を向けて対話してあげること自体が、もう立派なフィットネスなんですよね。

━━完璧を目指すより、自分と向き合うことそのものが大切。

AZUSA そう思います。今の自分を否定する場所に留まるのではなく、一歩先の自分の成長に、自分で手を貸してあげてほしい。決して自分を諦めず、その時々の自分に対して、一番の味方としてポジティブな声をかけてあげてくださいね。

2月からトレーニングを再開するというAZUSAさん。お尻トレーニングから再開!オススメ種目は「ブルガリアンスクワット」と「スクワット」

あずさ
1990年5月11日生まれ、東京都出身。大学卒業後、アパレル会社での勤務の後、フィットネスジムでトレーナーとなる。2018年JBBFオールジャパンフィットネス選手権大会からビキニフィットネス163cm以下級で5連覇。優雅で上品なステージングが注目されており、パーソナルトレーナー、ポージングコーチとしても活躍中。

 

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取材・文_藤村幸代 撮影_中原義史 写真提供:AZUSA Web構成:中村聡美

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