くびれづくりの極意
柳本絵美
フィットネストレーナーの柳本絵美さんに、多くの女性がお悩みの「お腹まわり」にフォーカスし、心と身体を整える独自のくびれメソッドを伺いました。無理に追い込まず、今の自分を認めることから始めるボディメイクには、理想のくびれと前向きな自分に出会うヒントが詰まっています。
取材・文_藤村幸代 写真_AP,inc. Web構成:中村聡美

コンプレックスとの付き合い方
自分の一番の親友になる
━━今回のテーマはコンプレックスです。お腹周りや体型に悩みを持つ方は多いですが、どのように向き合えばよいのでしょうか。
柳本 「下半身が太いね」「肌が荒れてるね」など、何気なく言われた言葉がコンプレックスのきっかけという方は多いと思います。私もその一人。フィットネスを始めて、大会で結果が出ればもっと自分に自信が持てると考えていました。でも、今は違うなと思っていて。今の自分を認めていないと、ずっと欠乏感に追われてしまうんですよね。
━━常に満たされない感覚?
柳本 そうです。例えば最初の大会で優勝した時も、嬉しさよりも「もっと筋肉をつけて、もっとマッチョなカテゴリーに出なければ周りも、自分自身も認められない」という考え方になっていました。それってすごく勿体無いですよね。コンプレックスは誰にでもあるけど、まず今の自分でも素敵だな、可愛いなと視点を変えることが大切なんです。

トレーニングを始めた頃の柳本さん
━━ただ、受け入れたくても自分のO脚が嫌い、隠したいと、つい思ってしまいます…。
柳本 わかります。受け入れるのは時間がかかりますよね。だから「受け止める」くらいでいいんじゃないかな。
━━受け入れるではなく受け止める。
柳本 自分のなかに取り込まなくても、素の自分と隣り合わせになることはできるはず。自分を否定し続けていると、毎日が気持ちよく過ごせませんよね。そういう日々の気持ちが大切だし、ボディメイクにも関わってくるのかなと思っています。
━━具体的には、どう自分と接すればいいのでしょうか。
柳本 例えば、親友に向かって「O脚だからスリムなパンツ似合わないね」なんて言わないですよね。
━━絶対に言えません。
柳本 本当にそれと一緒で、自分の一番の親友は自分自身なんです。みなさん、友達には優しい言葉をかけられるのに、自分にはすごく厳しい。親友にかけないような言葉は、自分にもかけないでほしいんです。
━━改めて考えると、自分にだけ厳しいのは不思議な気もします。
柳本 ですよね。考え方として「これじゃ可愛くないからこうしたほうがいい」ではなく、「こうしたらすごく可愛くなるよ」と、心のなかで前向きな言葉かけを重ねてあげてほしい。そうすると、少しずつやっていることが楽しくなっていくんですよね。「私、自分に厳しすぎた」と気づいて、いい思い込みに変えていくことが何より大切だと思います。
くびれメイクの極意
呼吸とひねりがなぜ効くのか
━━そのマインドセットも踏まえて、柳本さんの代名詞ともいえる「くびれ」は、どのようにできていったのでしょうか。
柳本 私の場合、やはり呼吸と、胸郭の柔軟性も含めて背中のS字ラインを作っていくことが必要だと感じています。ポイントは、日常生活のなかで意図せずやっているところから変えていくこと。ジムでのトレーニングは1日1時間程度だけど、呼吸は起きている間ずっと行っていますし、ストレッチなら場所を選ばずできますから。
━━具体的に、どのような種目を大切にされていますか。
柳本 呼吸以外では「ひねり」の種目は必ず入れています。ひねらない日はない、というくらい(笑)。通常のウエイトトレーニングは平面的な動きも多いですし、日々デスクワークの方などは特にひねるという動きが少ないんです。

くびれを際立たせるには背中トレーニングも大切!
━━デスクワーク中は姿勢も崩れがちですよね。
柳本 本当にその通りで、長時間座っていると、どうしても首が前に出てしまうんですよね。海外生活が長いこともあり、オンラインでの活動が増えてきたので、一日中PCの前という日もあります。なので、最近はスマホでタイマーをかけて、その時間になったら仰向けになって後頭部を床につけるようにしています。
━━後頭部をつけることが大事?
柳本 そう、後頭部の位置感覚が分からなくなると、猫背などの不良姿勢にも気付かなくなるので。会社内なら、休憩時間などに壁に後頭部をつけるだけでもいいです。ひねることと、ちゃんと「後ろを感じる」こと。デスクワーク中心の方は、特にこの二つを意識して日々を過ごすことが、くびれや美しいボディラインにもつながっていくと思います。
お腹まわりを柔らかく
プラスの循環を生むボディメイク
━━くびれを作るためには、ウエストまわりの柔軟性もポイントだと伺いました。
柳本 デスクワークか立ち仕事かに関わりなく、最近お腹まわりが硬くなっている方がとても多い気がします。くびれを作るには「まず痩せなきゃ」ではなく、硬くなっているところをほぐして柔らかくし、動きやすくすることが大切です。たとえ脂肪がついていても、柔らかい筋肉や脂肪にしていくことが大事なんです。
━━硬いまま放置すると、どのような弊害があるのでしょうか。
柳本 ひねったときにも突っ張り感が出て、100%のひねりができなくなります。また、胸郭の動きが鈍って呼吸が入りにくくなると、交感神経が優位になって眠りの質も落ちたり、イライラして自分にネガティブな言葉をかけてしまったり。そんな悪循環に陥ってしまうこともあるんです。
━━心身ともに、負のループから抜け出す必要があるのですね。
柳本 そうなんです。逆に日頃からウエスト周辺をほぐすように意識すれば、呼吸もたくさん入るようになり、結果としてポジティブな循環が生まれます。まずは家でできることから始めて、「今の自分も素敵だし、自宅トレもやったうえにジムまで通って、えらい!」など、ぜひ自分を認めてあげてください。
━━最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
柳本 理想に近づくためにあれもこれもしたくなるけれど、答えは意外と近くにある。それが、この10年トレーニングを続けてきた私の、答えのひとつ。今の自分を受け止めて、視点を変えるだけで見える世界は変わります。日常のケアを大切にして、プラスのループに自分をうまく乗せてあげることが、きっと身体づくりを前向きに楽しむ一番の秘訣かもしれないと思っているんです。
やなぎもと・えみ
1992年4月20日、東京都出身。2016年にトレーニングを開始後、ベストボディ・ジャパン2017グランプリ(ガールズクラス)、MusclemaniaWorldFitnessAmericaWeekend2018で2位(Ms.BIKINIOpen/Short)、マッスルコンテスト2019女子ビキニノービスB優勝。2022APFJapanClassicビキニモデル&ランウェイモデル総合優勝。くびれ専門トレーナー。











