8月10日(土)、聖書キリスト教会・東京教会にてパワーリフティング公式大会である『江古田X-TREMEパワーリフティング選手権』が開催され、渋谷美樹(しぶや・みき / 41)さんが 女子52kgに順位のつかないオープン参加として出場した。
夫はパワーリフティングのスクワット種目で2階級に渡り日本記録を保持している渋谷優輝さん。競技はそんな夫の影響を受けて始めたのだという。
「昔から運動好きだったこともあり、パワーリフティングを始める前からダイエット目的でジム通いはしていました。パワーリフティング選手として活動をしている夫を近くで見ていると、本当に楽しそうに競技と向き合っているように見えて。数字で自分の成長を感じられる点に魅力を感じ、2017年から大会出場を始めました」
2021年には出産を経験し、今では日本トップクラスのパワーリフターを支える妻でありながら、3歳になる娘を育てる母としての顔をもつ。多忙な日々のなか、どのように両立をしてきたのだろう。
「平日はフルタイムで仕事をしながら育児に家事。ハードな生活ではありました。トレーニングは土日の早朝に夫が代表を務めるジムへ行き、1日3時間程度、集中して練習に取り組むことが多かったです。私が自宅に不在の間は、夫が娘を見てくれていたのでとても助かりました。大会当日は夫のセコンドもあり、安心して試技に臨むことができましたね。家族やジムメンバーからの応援が私の背中を押してくれました」
近年、女性選手のレベルアップも著しいパワーリフティング界。「高い記録でなくとも試合に出場してみたいな」と気軽に思ってほしいと笑顔で語る。そんな渋谷さんは今大会、数年ぶりの大会出場ながらスクワット75kg・ベンチプレス50kg・デッドリフト90kgと堂々たる試技を見せた。
「最近の選手は挙上重量も高く、中には大会出場へのハードルを高く感じる方もいると思っています。しかし、私の考えるパワーリフティングの魅力の一つは自分との戦いを楽しめること。順位だけでなく、自身の成長やチャレンジを楽しむ機会として、大会出場へのハードルが少しでも下がればいいなとも思っています」
さらに渋谷さんはパワーリフティングを始めてから感じられる変化も多くあったという。
「実はパワールリティングを始める前より体重は重くなりましたが、身体のラインはすっきりした気がします。娘の出産は38歳で比較的高齢出産かつ、出産時は帝王切開でした。でも、出産前からパワーリフティングをしていて体力がついていたのか、回復が早いと看護師さんから言われたんです。筋トレをしていると体力がつきますし、自然と自分の身体と向き合う時間も増えるため、たとえ調子が悪くなってもその理由が分かるようになりました。運動をしていた方が、身体の不調も少ないと感じています」
家族からのサポートと応援を胸に、ママさんパワーリフターとしてこれからも活躍し続けてくれるに違いない。
文・撮影:池田光咲