2025年1月19日(日)、兵庫県の明石で開催された、女性限定のパワーリフティングイベント『第4回ストロングガールズ ストレングスフェスティバル』(以下、ストロングガールズ)。会場内には会社員として働きつつ、YouTuberとしても活動しているおしりちゃん(28)の姿があった。
「パワーリフティングの大会に出たのは初めてです。本格的な公式戦ではないけれど、みんなで応援し合いながらバーベルを持ち上げるのが楽しそうだと思って!」
【写真】147cmと小柄な身体でパワフルな試技を披露するおしりちゃん
4年ほど前、結婚を機に引っ越してガラリと生活環境が変わり、体重が増加したというおしりちゃん。「痩せたい」という思いでジムに通い始め、ダイエット目的で始めたトレーニングだったが、次第に趣味の一つに変化していく。
初めてのBIG3
マシンやケーブル、ダンベルなどを使いながら自分が継続できる範囲でトレーニングを行ってきたものの、パワーリフティングの種目でもあるBIG3(スクワット・ベンチプレス・デッドリフト)はやったことがなかったそうだ。
「ストロングガールズに出ると決めた2024年の秋からBIG3に取り組むようになりました。今までマシン系の種目が多かったので、一体自分は何キロ挙げられるんだろう……と手探り状態で(笑)」
ベンチプレスとデッドリフトはバーベル(20kg)から、スクワットはスミスマシンでの経験もあり、重りをつけて40kgから練習を開始した。普段行っている背中・胸・肩・脚・お尻の分割トレーニングに、BIG3の練習を追加したような形で重量を伸ばしていったという。
「BIG3の中で得意なのはデッドリフトでした。私の好きなラッドプルダウンは、ジム通いを始めた当初から行っていたので、背中は強かったかもしれません」と、おしりちゃん。初めて体験した、“扱える重量を求めていく”というトレーニングは「新鮮で楽しかった」と笑みをこぼす。
頑張る全ての女性がかっこいい
自分のベストを尽くすことを目標に迎えた大会当日。
パワーリフティングでは各種目でそれぞれ第1試技・第2試技・第3試技、と3回の挑戦権がある。第2試技ではこれまでの自己ベスト重量を、そして第3試技では成功したことのないチャレンジ重量を挑戦するのだが、おしりちゃんも例に漏れず第3試技では未知の重量に挑戦した。
結果はすべて成功。スクワット60kg、ベンチプレス37.5kg、デッドリフト77.5kgのトータル175kgを記録した。
「未知の重量でしたが全部挙がったのはうれしかったです!しかも、もうちょっといけたかも、と思ったのでみなさんの声援による大会マジックかもしれません。同じ選手同士なのに頑張れと励ましてくれて。ストロングガールズの初心者に優しく温かい雰囲気が、じんわりと心に沁みました」
パワーリフティングの世界を知ったことで、ありのままで頑張る姿が素敵だと感じるようになったというおしりちゃん。実は一昨年、ボディコンテストにも出場した経験があり、その当時は「ステージに立つのであれば細くなきゃダメだ」と思っていたのだそう。しかし今はガラリと変わったそうで、晴れやかにこう話してくれた。
「パワーの選手を見て、めちゃくちゃカッコいい!と思って。細いとか太いとか、そういった見た目にとらわれず、頑張る女性はカッコいい。細くならなきゃ、と思っていた自分自身の体型に関する価値観も大きく変わりましたね」
次ページ:147cmと小柄な身体でパワフルな試技を披露するおしりちゃん
取材・文:小笠拡子 撮影:岡 暁