パワーリフティング フィットネス

育児ノイローゼがきっかけでトレーニング開始 筋トレは発達障害の子どもたちと楽しく過ごすための「大事な時間」

金髪ボブヘアのたくましい母ちゃん・秋田多恵(あきた・たえ/40)さん。2023年の秋に女性専用ジムのカーブスへ入会し、1カ月で辞めて24時間ジムへ。そして現在はパワーリフティング専門のジムに通っているという。発達障害を持つ3人の子どもを育てる秋田さんがトレーニングを行うようになったのは「自分の時間を持つため」だった。

【写真】トータル重量205kgのパワフル母ちゃん・秋田多恵さん

発達障害がある3人の子たちと健やかな生活をするために

秋田さんには5歳、7歳、9歳の子どもがいる。3人とも発達障害があり、数年前まで子どもにつきっきりの生活を送っていた。家族をサポートしてくれている支援員さんから「子どものことばっかりやりすぎて、ノイローゼになっとるよ」と言われ、ハッとしたのだという。

「自分がいなきゃダメだと思っていたんですけど、『この子達はちゃんとやっていけるから、お母さん自身も自分の時間を大切にしてあげて』と支援員さんに言われて。自分のためにも子どもたちのためにも、自分を大切にしようって思ったんです」

このとき仕事をするという選択肢もあったが、家族のために仕事をするというのは “ 他人軸 ” になると考えた秋田さん。そして自身がやりたいこととして選んだのは運動だった。元々空手や水泳をしていたため、最初に入会した『カーブス』ではすぐに物足りなくなり、24時間ジムの『フィットイージー』へ。

このときにはすでに週3日の頻度でジムに通うように。子どもの年齢を考えるとまだまだやんちゃ盛りだが、トレーニングの時間は秋田さんにとって “ 母親 ”という肩書きを少しの間だけ外せる大事な時間だった。

「筋トレに打ち込めている自分が素敵だと思うし、楽しいです。筋トレは毎回1時間半程度ですが、この時間は自分だけに集中できる。やり切った!と思えるところまでいけるし、すごく充実感に満たされます」

母ちゃんリフターとしての大切な時間

秋田さんがパワーリフティングの道を進むようになったのは、フィットイージーに入会して約半年後に行われたベンチプレス大会がきっかけだった。「そのときに42.5kgが挙げられたから、これはパワーをやらなくちゃと思って」と秋田さんは笑う。

そしてYouTubeで女性限定のパワーリフティングイベント『ストロングガールズ』の存在を知る。出場が決まり、よりBIG3をやり込むため2024年12月にパワーリフティング専門のプライベートジム『Strength&Fitness LAB K』に入会した。

子どもたちが保育園や学校に行っている間の午前中が筋トレタイム。この時間は秋田さんの人生に潤いをもたらしてくれる大切なものだ。

「あえてこういう時間を作ることで、筋トレにも子育てにもやりがいを感じます。それだけでなく、人生そのものにもやりがいを感じるというか。家族のためだけに自分の時間を使っていると、『なんで子育てだけしているんだろう、なんで主婦だけしているんだろう』ってなってくるんですよね。自分のための時間を過ごすことは、人生の中でのメリハリになっています」

秋田さんが目標にしていた『ストロングガールズ』。第4回目となる同大会は1月19日(日)に兵庫県の明石で開催された。スクワット72.5kg、ベンチプレス42.5kg、デッドリフト90kgを成功させ、トータル重量205kgを記録。

「たくましい母ちゃんリフター・秋田多恵」は、秋田さんのもう一つの物語として展開していくような気がしてならない。

秋田多恵さん

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取材・文:小笠拡子 撮影:岡 暁

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