フィットネス ヨガ

背骨を支えている筋肉群の強化で安定した背骨を育てる! 【背骨リセットヨガ:宮城由香】

宮城由香 『安定性を育て、軸としての背骨を支える』

背骨の最も重要な役割のひとつに、「姿勢の保持」があります。人間は二足歩行で生活する生き物。重力に逆らいながら直立姿勢を保ち続けるためには、高い安定性が求められます。背骨はまさに、その"支柱"として機能しているのです。

横から見ると、背骨はゆるやかなS字カーブを描いています。これは「生理的湾曲」と呼ばれ、この湾曲構造によって荷重が分散され、歩行や動作時の衝撃が和らげられる仕組みになっています。成人の脳はおよそ5㎏もの重さがあるとされますが、その重たい頭部を支え、長い胴体を直立させていられるのは、この湾曲がもたらす自然の力学的構造によるものです。つまり、背骨はただの”骨の連なり”ではなく、骨盤から頭までを一貫して支える強靭な軸であり、身体全体の動きやエネルギーの土台でもあるのです。

この”軸”としての背骨を考えるとき、重要になるのが「安定性」です。背骨が安定していると、体幹からの力が四肢に効率よく伝わり、スポーツや日常動作のパフォーマンスが飛躍的に向上します。さらに、無駄な力みが減ることで身体の負担も軽減され、疲れにくい身体を手に入れることができるのです。

では、その”安定した背骨”はどのように育てればよいのでしょうか。
カギとなるのは、背骨を支えている筋肉群の強化です。この筋肉たちが、椎骨をひとつひとつ繊細に支え、正しい姿勢とスムーズな動きの土台をつくります。さっそく具体的なワークを使って、背骨の安定性を高めていきましょう。

重力の方向を変えさらに体幹強化につなげる
ヴァシシュターサナ

プランクの状態から右足の外側と左足の内側を床につけます。天井に向かって左手をあげながら、体を左に開きましょう。お尻が落ちないように持ち上げ続け、頭が胴体の前後に行かないように気をつけて、左右5呼吸ずつキープします。

ヴァシシュターサナ(軽減)

肩の下に右手、股関節の下に右膝をついて体を左に開きます。左手は天井に向かって伸ばしましょう。右肘の過伸展に気をつけながら、脇の下から床を押し、肩が上がらないようにして左右10呼吸ずつキープします。

多裂筋、脊柱起立筋を強化する
ウッティタアシュワサンチャラナーサナのバリエーション

①右足を大きく後ろに引き、胸の前で合掌する。腰椎の前弯を維持したまま、胸椎でお辞儀をするように背骨を丸めていきましょう。頭だけが前に落ちないよう気をつけます。

②下半身と腰椎の形状を維持したまま、背骨をニュートラルにしていきます。背面の筋力を使いながら背骨を伸ばし、重力に抵抗する意識で姿勢を保持しましょう。左右の脚を入れ替えて、それぞれ10呼吸ほどキープします。

前鋸筋、外腹斜筋の連動で体幹を強化する
ダンダヤーマナバーマナーサナ

①四つ這いになり、脊柱をニュートラルにします。背骨の形状を維持しながら、左手を前に伸ばし、少し持ち上げましょう。床においた手の肩甲骨を肋骨に貼り付けるようにして、肋骨が閉まる感覚を大事にします。

②背中の状態を変えず、右足を後ろに伸ばしてから少し持ちあげます。お腹を引き上げ、重力に対して体幹を持ち上げ続けましょう。左右5呼吸ずつキープを1セットとして、3セットほど行います。

自分を支えてくれる力を取り戻す

私たちの背骨は、毎日の姿勢や動作に大きな影響を与える存在です。人間は、四足歩行から進化して二足歩行になったことで、脊柱に自然な湾曲ができ、衝撃を吸収できるようになりました。しかし現代では、生活習慣によってこの生理的湾曲が乱れやすくなっています。

背中が丸まった状態が続くと、呼吸が浅くなり、なんだか気分も沈みがちに。反対に、背筋がスッと伸びていると、呼吸は深く、頭もスッキリし、自然と前向きな気持ちになります。背骨の状態は、心の状態にもつながっているので、まずはそれを支えてくれる筋肉や柔軟性を、少しずつ養っていきましょう。

無理のない優しいポジションで、回数を重ねることよりも1回1回を丁寧に。大切なのは、重力に身を委ねるのではなく、その力を押し返し、自分で支えている感覚を持つことです。大きな負荷をかけなくても、繊細に背骨を意識することが、セルフケアの質をぐっと高めてくれます。

心身ともに健やかに過ごすために、まずは「自分の身体を支える力」を育てていく。そうすることで、日々の暮らしがもっと快適に、軽やかに変わっていくはずです。

みやぎ・ゆか
15歳から始めたストリートダンスでイベントやショー、TV、映画などに出演。パフォーマンスを上げるためにヨガ・ピラティスを始め2007年ヨガのインストラクター認定コースを修了しヨガインストラクターとしての活動を開始。2019年4月1日、studioGODをオープン。スタジオディレクターとしてスタジオをまとめ、自身もレッスンを担当。格闘家・朝倉未来のオンラインサロン「強者理論」でもヨガレッスンを担当する。

取材・文:高野真利 撮影:中原義史 Web構成:中村聡美

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