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間違った炭水化物は筋肉に悪影響 正しい糖質を摂取しよう 太りやすい炭水化物を知る

炭水化物は重要なマクロニュートリエンツ(主要栄養素)のひとつで、体にエネルギーを供給してくれる。エネルギーの元になるので、大量のエネルギーを消費するアスリートにとって炭水化物は欠かせない。しかし、減量が絡んでくると話は少し変わってくる。

というのも、炭水化物を制限する食事法が減量には有効とされているからだ。もちろん、これは間違いではない。エネルギーアップには炭水化物が必要だが、減量では炭水化物を制限するのが有効なのだ。

減量したいがエネルギーレベルは下げたくない。どうすればいいのか悩むところだが、答えはある。「正しい炭水化物」を食べればいいのだ。

<本記事の内容>
炭水化物の基本
筋肉をサイズダウンさせる炭水化物の摂り方
単純炭水化物の性質
気を付けるべき炭水化物食材
複合炭水化物の性質
単純と複合の違い
消化吸収の違い
インスリン反応の違い
単純炭水化物によるシュガークラッシュ
脂肪になりやすい炭水化物
筋発達に貢献する炭水化物

炭水化物の基本

私たちに必要な主要栄養素は炭水化物、タンパク質、脂質の3つだ。これらはマクロニュートリエンツ、もしくは三大栄養素と呼ばれている。中でも炭水化物は体が優先してエネルギー源にするため、運動をするときはもちろん、身体機能を正常に保つためにも重要だ。

体内に取り込まれた炭水化物はブドウ糖にまで分解される。ブドウ糖は血液に乗って全身を巡り、エネルギー源となって消費される。もちろん、臓器や筋肉もブドウ糖が運ばれてくるのを待ちわびているのだ。

そういったこともあって、一般的な食事では、炭水化物が大きな割合を占めている。ただ、炭水化物なら何でもいいというわけではない。なぜなら、炭水化物には単純炭水化物(シンプルカーボ)と複合炭水化物(コンプレックスカーボ)があり、それぞれ異なる性質を持っているからだ。性質が異なるのだから、当然、向き不向きがある。

筋肉をサイズダウンさせる炭水化物の摂り方

バルクアップ

炭水化物は、消化器官を通過しながらブドウ糖にまで分解され、ブドウ糖は血液中に溶け込んで全身を巡る。

ブドウ糖が血中に溶け込むと血糖値が上昇し、それを感知したすい臓がインスリンを分泌する。このインスリンの働きで、血液中のブドウ糖は細胞に吸収される。

ところが、どの細胞も一斉にブドウ糖を取り込もうとするので、血中のブドウ糖はたちまち量を減らすことになる。そうすると今度はすい臓からグルカゴンというホルモン物質が分泌される。

グルカゴンは、不足しているブドウ糖をどうにか増やすように肝臓に指示をする。すると糖新生が起きる。糖新生は、筋肉や肝臓に蓄えられているタンパク質をアミノ酸に分解し、そのアミノ酸から糖を作り出す。つまり、筋肉のサイズダウンにもつながる反応なのだ。このような筋肉が分解されてしまうメカニズムは、筋発達を何よりも最優先しているアスリートにとっては大きな問題になる。

結局のところ、血糖値を急激に上昇させるような食事は筋肉のサイズダウンを招きかねないし、だからといって、エネルギー源になる炭水化物食をゼロにするわけにはいかない。

この問題の解決策を探すためにも、単純炭水化物と複合炭水化物の上手な使い分けを学ぶ必要がある。

単純炭水化物の性質

単純炭水化物には単糖類と二糖類があり、この2つがいわゆる「糖類」に分類され、それら以外の炭水化物は含まれない。つまり、大ざっぱに表現するなら「炭水化物>糖質>糖類」で、私たちが注意を払う必要があるのもこの糖類なのだ。

糖類に分類されるのはブドウ糖、砂糖、しょ糖などで、これらが体内に取り込まれると血糖値が急上昇し、そして急降下する。血糖値の急激なアップダウンを繰り返すような食事を続けているとインスリン耐性が上がり、タイプ2型糖尿病や心臓病のリスクを高めてしまうことになる。

糖類には健康的なものとそうでないものに分けることができる。健康的な食材というと野菜や果物を真っ先に思い浮かべるが、糖類が含まれていてもこれらの食材は間違いなく健康的だ。しかも、野菜や果物には食物繊維や多くの微量栄養素も含まれている。

つまり、糖類に分類されるからといって全てが悪いわけではない。自然界にある食材でも糖類に分類されるものは多い。例えばハチミツ、牛乳、穀類、野菜、糖蜜などは自然界にある食物だが、糖類を多く含む食材でもあるのだ。

気を付けるべき炭水化物食材

私たちが注意すべきことは、単純炭水化物を摂りすぎないようにすることだ。具体的には以下の食材や食物の摂りすぎには注意が必要である。

●白米
●食パン
●パスタ
●清涼飲料水など甘味料が多く含まれる飲料
●キャンディーやチョコレート
●スポーツドリンク
●菓子パンや焼き菓子

この中で、砂糖がたくさん含まれる清涼飲料水の類いはインスリンのレベルを高めることはしないが、別のメカニズムで健康を害する恐れがある。清涼飲料水の代わりに、レモン汁を数滴落とした水を飲むようにしよう。
また、ほとんどの焼き菓子には単純炭水化物や砂糖が高含有されており、しかもそれが過熱までされている。できるだけ手を出さないほうがいいだろう。

どうしても甘い物が食べたくなったら適度な量の果物がいい。フルーツを加えたサラダなどもいいだろう。
白米、精製されたシリアルなども単純炭水化物であり、摂りすぎればマイナスの結果を招く恐れもある。

複合炭水化物の性質

複合炭水化物は、単純炭水化物に比べて糖分子の結合数が多く、長い鎖のように連なっている。糖分子の数が多いので多糖類と呼ばれることもある。

複合炭水化物は分解、消化されるまでに時間がかかる。そのため、エネルギーを少しずつ安定して供給することができるのだ。つまり、単純炭水化物のように血糖値を一気に高めてインスリンの分泌を急激に促さないため、身体への負担が少ない。
また、複合炭水化物にはミネラルやビタミン、食物繊維、フィトケミカル(植物中に含まれる化合物)などが含まれていて、これらはいずれも健康づくりに役立つ。

複合炭水化物に分類される食物には例えば以下のようなものがある。

●全穀物で作られたパスタ
●キュウリ
●黒豆
●トウモロコシ
●オートミール
●キノア
●ホウレンソウ
●サツマイモ
●キビ
●ナシ
●カンタロープメロン

単純と複合の違い

●消化吸収の違い
単純炭水化物は糖の塊だ。そのため、複合炭水化物に比べて体内に入ってからの分解、吸収が短時間で完了する。
複合炭水化物は様々な栄養素を含むので、糖分子だけの単純炭水化物に比べて長い時間をかけて分解と吸収が行われる。

●インスリン反応の違い
単純炭水化物の構成要素はブドウ糖のみだ。そのため、単純炭水化物の食物が体内に入るとすぐにブドウ糖にまで分解され、血中の糖濃度は上昇する。血糖値が上昇すればインスリンの分泌が促されて急上昇することになる。
一方、複合炭水化物ではブドウ糖レベルにまで分解されるのに時間がかかる。そのため血糖値の上昇は緩やかになり、当然、インスリンの分泌が急激に増えるような事態にはならない。

単純炭水化物によるシュガークラッシュ

炭水化物は身体にエネルギーを供給してくれるが、できれば長い時間にわたって安定的にエネルギーを供給してくれるほうが有り難い。そのため、そういう性質を持つ複合炭水化物のほうがワークアウトを行う際には有効だ。

単純炭水化物は短時間で大きなエネルギーを生み出すかもしれないが、インスリンも急上昇してしまうので血糖値はたちまち急降下し「シュガークラッシュ」という低血糖の症状を招いてしまう。

シュガークラッシュが起きるとエネルギーレベルが急激に低下するため、力が入らなくなったり、めまいや極度の疲労感、発汗や震えなどの症状が出てきたりする。

脂肪になりやすい単純炭水化物

ウエイトトレーニングに励む人の中で減量を最優先している人がいるなら、食べている炭水化物が減量に適しているかどうかをしっかり見極める必要がある。

単純炭水化物も複合炭水化物も体内でブドウ糖にまで分解され、一定量までなら筋中や肝臓に貯蔵することができる。しかし、血液中のブドウ糖が増えすぎて消費できないほどになってしまうと、ブドウ糖は脂肪酸に変換されて脂肪細胞に蓄えられてしまう。

特に単純炭水化物は、短時間でブドウ糖にまで分解されるだけでなく、脂肪酸に変換されやすい性質を持っている。つまり、単純炭水化物の食べ過ぎは確実に体重を増やし、体脂肪を増加させることにつながるのだ。
減量目的でウエイトトレーニングを行うなら、摂るべき炭水化物は複合炭水化物のほうだ。複合炭水化物は分解に時間がかかるが、インスリンを過剰に分泌させず、しかも脂肪酸に変換されにくい。

単純炭水化物を避けるために

単純炭水化物を食べなくても問題なく生活できる人は、ぜひそのまま続けてほしい。もし、それができないという人は、以下の事柄を守るだけでも単純炭水化物の摂取量を減らせるかもしれない。

●水分補給を忘れない
積極的に水分を摂取して体内の水分量をしっかり保っている人は空腹感が弱く、突発的に大食することが少ないようだ。

また、体内の水分量が足りていれば、体内に取り込まれた食物の消化吸収を促すことにもなるので、満腹感が得やすく、しかもその状態が維持されやすい。

飲み物にも注意が必要で、できれば水がベストだ。甘味料が含まれるコーラやソーダ類には手を出さないようにしよう。

●タンパク質と脂質を組み合わせる
毎回の食事で、炭水化物に適量のタンパク質と脂質をしっかり組み合わせて摂るようにする。適量のタンパク質と健康的な脂質が含まれた食事は満腹感をもたらし、空腹で大食をすることを避けることができる。また、バランスのいい食事は、単純炭水化物を制限なく食べてしまうような衝動も抑えてくれる。

ちなみに、健康的な脂質をしっかり食べることは、体に備わっている様々な機能を正常に保つ上でも有用だということを忘れないでほしい。

●食事の計画を立てる
食事に計画性がないと、無意識のうちに単純炭水化物を大量に摂ってしまうこともある。それを避けるためにも、食事の時間や量、組み合わせなどの計画を立てるようにしたい。もちろん、食事メニューでは単純炭水化物を避け、複合炭水化物を十分に取り入れるようにしよう。

加工食品に注意

もう一つ注意すべきは精製加工された炭水化物だ。これは、天然の素材を様々な加工によって変成させ作り出した炭水化物のことだ。加工の工程が加われば加わるほど、その食品は体内で単純炭水化物のような反応を見せる。

例えばはい芽を含む穀物ははい芽部分に栄養素の大半が含まれている。しかし、はい芽を取り除く加工がされた穀物は、貴重な栄養素の大半を失った状態になってしまっているのだ。

このような食品は体内で早く分解されることが多く、加工によって含まれる栄養素の種類が少なくなればなるほど単純炭水化物に近づくことになる。そして、そのような炭水化物は先にも述べたとおり体脂肪になりやすいのだ。

炭水化物食品の性質を知る

炭水化物食品を食べるなら、それにどのようなものが含まれているのかを確認するようにしよう。

例えば、甘くておいしい果物には果糖が含まれているが、食物繊維、抗酸化物質、ミネラルやビタミンといった様々な栄養素も豊富に含まれている。

キャンディーなども甘い食べ物だが、砂糖以外の栄養素はほとんど含まれておらず、体にとって何の栄養にもならない「エンプティーカロリー」の食品である。

こうしてみると、果物はキャンディーなどと比べてはるかに体に良い炭水化物食品であることがわかる。ただし、果物にもそれぞれ特徴があり、全てが同じというわけではない。

例えば、リンゴは食物繊維が豊富だがスイカには食物繊維はほとんど含まれていない。そのため、消化吸収の速度を比較するとスイカのほうがリンゴよりも早い。そういったことから、短時間で消化吸収されるスイカをたくさん食べると血糖値が急上昇し、インスリンによって一気に血糖値が下がることも考えられる。

組み合わせて食べる

炭水化物を食べるなら、常にタンパク質や脂質、食物繊維と組み合わせるようにしよう。食材を組み合わせることで満腹感を持続させることができ、満腹感が持続すれば食間を長く空けられるので食欲がコントロールしやすくなる。

また、食材を組み合わせることで血糖値の急上昇が予防でき、シュガークラッシュを抑制することができる。

筋発達に貢献する炭水化物

筋発達を促すためにはタンパク質だけが重要だと言わんばかりの情報がネット上にあふれている。

確かにタンパク質は筋発達に欠かせない栄養素だが、身体を正常に機能させエネルギーを安定して供給するために、炭水化物と脂質も重要な役割を担っている。

炭水化物がエネルギー供給以外で筋発達に貢献していることのひとつに、アミノ酸を筋線維中に運搬するという働きがあり、それによってタンパク同化が促される。もちろん、タンパク同化が積極的に行われる体内環境においては、筋肉の異化分解が抑制されるので、筋肉のサイズダウンを抑えることができる。

まとめ

炭水化物は、体が優先的に消費するエネルギー源である。ただし、全ての炭水化物も同じ働きをするわけではないので、できるだけ急激に血糖値を高めない複合炭水化物を選択するようにしたい。

今まで無意識に食べていた単純炭水化物を複合炭水化物に替えるだけでも、エネルギー供給がこれまでより長く続くようになり、空腹感をコントロールしやすくなるはずだ。特に減量中はこのことが結果を大きく左右するので忘れないようにしよう。

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