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身体にいい油ってどれ?「MCTオイル・あまに油・えごま油・オリーブオイル」を徹底比較!【運動する人の目的別の選び方】を管理栄養士が解説

「身体に良い油を取りたいけれど、結局どれを選べばいいの?」と迷ったことはありませんか。

スーパーやネットでは、MCTオイル、あまに油、えごま油、オリーブオイルなど、さまざまな油が販売されています。

しかし、これらは同じ「油」でも、含まれる脂肪酸や加熱への向き・不向き、体内での働きに違いがあります。

特に運動をする人にとって脂質は、エネルギー源になるだけでなく、細胞膜やホルモンなどの材料にもなる重要な栄養素です。

大切なのは、一つの油だけを「身体に良い油」として選ぶのではなく、それぞれの特徴を知り、目的や調理方法に合わせて使い分けることです。

今回は、MCTオイル・あまに油・えごま油・オリーブオイルの違いと、運動やボディメイクをする人がどのように使い分ければよいのかを管理栄養士が解説します。

そもそも4種類の油は何が違う?

油を選ぶうえで注目したいのが、「脂肪酸の種類」「熱への耐性」「体内での働き」です。

・MCTオイル → 中鎖脂肪酸

・あまに油 → α-リノレン酸(n-3系)が豊富

・えごま油 → α-リノレン酸(n-3系)が豊富

・オリーブオイル → オレイン酸(一価不飽和脂肪酸)が豊富

同じ油でも特徴が異なるため、「どれが一番健康に良いか」ではなく、「何を目的に、どのように使うか」で考えることがポイントです。

MCTオイル

中鎖脂肪酸を主成分とする油

MCTは「Medium Chain Triglyceride(中鎖脂肪酸トリグリセリド)」の略です。

一般的な食用油に多い長鎖脂肪酸と比べて、消化・吸収された後に肝臓へ運ばれやすく、エネルギーとして利用されやすい特徴があります。

また、MCTの摂取によってケトン体の産生が増えることも知られています。

MCTを取れば運動のエネルギーが増える?

MCTは「すぐエネルギーになる」「運動におすすめ」と紹介されることがあります。

しかし、エネルギーとして利用されやすいことと、運動パフォーマンスが向上することは別に考える必要があります。

MCTと持久系運動に関する研究をまとめたシステマティックレビューでは、MCTの摂取によってケトン体が増加しても、多くの研究で運動パフォーマンスの向上は確認されていません。

特に高強度のトレーニングでは糖質も重要なエネルギー源になります。

そのため、運動する人が「MCTを摂れば糖質を減らしても大丈夫」と考えるのではなく、脂質を取る方法の一つとして活用するのがよいでしょう。

ダイエット中にはどう使う?

MCTは一般的な食用油に多く含まれる長鎖脂肪酸と比べて、食後の熱産生が高いことが報告されています。

また、MCTと長鎖脂肪酸を比較した研究をまとめたメタ解析では、食事中の長鎖脂肪酸をMCTに置き換えることで、体重や体脂肪がわずかに減少する可能性が示されています。

ただし、MCTオイルを取るだけで大きく体重が減るわけではありません。MCTオイルも脂質であるため、普段使っている油に追加するのではなく、脂質の一部を置き換える形で取り入れるのがよいでしょう。

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加熱より「かける・混ぜる」

MCTオイルは、炒め物や揚げ物など、油を直接高温で加熱する調理には向いていません。高温になると煙が出たり、泡立ったりすることがあるため注意が必要です。

ヨーグルトや飲み物、料理などに少量加える方法があります。

また、一度に多量に摂取すると腹痛や下痢などの消化器症状が出る場合があるため、初めて使用する場合は少量から試しましょう。

あまに油

あまに油は亜麻の種子から作られる油で、n-3系脂肪酸であるα-リノレン酸を豊富に含みます。

α-リノレン酸は体内で十分に合成できない必須脂肪酸であり、食事から摂取する必要があります。

α-リノレン酸の一部は、体内でEPA、さらにDHAへと変換されます。

運動する人にもn-3系脂肪酸は必要

n-3系脂肪酸は細胞膜の構成成分となるほか、炎症反応や免疫機能などにも関わります。

運動による炎症を単純に「抑えれば抑えるほど良い」と考える必要はありませんが、運動をする人も含めてn-3系脂肪酸を適量摂取することが大切です。

魚を食べる機会が少ない人にとって、あまに油は植物性のn-3系脂肪酸を補う方法の一つになります。

加熱せずに使うのがおすすめ

あまに油は多価不飽和脂肪酸を多く含むため酸化しやすく、基本的には加熱せずに使うのがおすすめです。

サラダや納豆、豆腐、ヨーグルトなどにかけると、普段の食事に取り入れやすくなります。

開封後は商品の保存方法に従い、なるべく早めに使い切りましょう。

えごま油

あまに油と同じくα-リノレン酸が豊富

えごま油も、n-3系脂肪酸であるα-リノレン酸を豊富に含みます。

日本食品標準成分表によると、100gあたりのn-3系脂肪酸は、

あまに油:約56.6g
えごま油:約58.3g

です。

えごま油の方がわずかに多いものの、その差は100gあたり約1.7gです。

実際に一度に使用する油は数g程度であることを考えると、この差だけを理由にどちらかを選ぶ必要はありません。

あまに油とえごま油、結局どちらを選ぶ?

栄養面では、どちらもα-リノレン酸を豊富に含むという大きな共通点があります。

そのため、

・味
・香り
・価格
・購入しやすさ
・続けやすさ

などから選んでもよいでしょう。

加熱せず「かける油」として

えごま油も酸化しやすいため、基本的には加熱せずに使うのがおすすめです。

サラダや味噌汁、納豆、冷奴など、出来上がった料理にかける方法なら手軽に取り入れられます。

オリーブオイル

オレイン酸を多く含む

オリーブオイルは、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を多く含みます。

特にエクストラバージンオリーブオイルには、ポリフェノールなどの微量成分も含まれており、抗酸化作用などとの関連が研究されています。

運動する人にも使いやすい「普段使いの油」

運動量が多い人は必要なエネルギー量も増えるため、炭水化物を中心に、脂質も必要量を確保することが大切です。

オリーブオイルは料理に加えることで手軽にエネルギーを補えるため、運動量が多い人のエネルギー確保にも活用できます。

エクストラバージンオリーブオイルに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、運動後の炎症反応などへの影響も研究されています。

一部の研究では、激しい運動後の炎症反応に有利な変化も報告されていますが、研究数や対象者が少なく、運動パフォーマンスの向上や疲労回復を促す効果が確立されているわけではありません。

そのため、特別なリカバリー食品としてではなく、運動する人が日常的に取り入れやすい脂質源の一つとして考えるとよいでしょう。

4種類の中では加熱調理に使いやすい

オリーブオイルは、MCTオイル、あまに油やえごま油と比較すると加熱に対する酸化安定性が高く、炒め物などにも利用しやすい油です。

普段使用している油の一部をオリーブオイルに置き換える方法もあります。

加熱調理だけでなく、ドレッシングなど非加熱でも使用できるため、4種類の中では普段使いしやすい油といえるでしょう。

運動・ボディメイクの目的別ならどれを選ぶ?

①ダイエット・減量中

→ MCTオイルも選択肢

MCTはエネルギーとして利用されやすい特徴があります。

ただし、「MCTを追加する」のではなく、普段取っている脂質の一部と置き換えることがポイントです。

減量の基本はあくまでエネルギー収支です。

②魚をあまり食べない・n-3系脂肪酸を補いたい

→ あまに油・えごま油

どちらもα-リノレン酸を豊富に含むため、植物性のn-3系脂肪酸を補う方法として活用できます。

ただし、α-リノレン酸からEPA・DHAへの変換には限りがあるため、魚を食べることと完全に同じではありません。

③筋トレ・高強度運動をしている

→特定の油より、必要なエネルギー量と脂質量を確保することを優先

筋トレや高強度運動では糖質も重要なエネルギー源です。

普段の食事で必要なエネルギーと脂質を確保したうえで、加熱にはオリーブオイル、n-3系脂肪酸の補給にはアマニ油・えごま油などと使い分けましょう。

④増量・エネルギー不足

→オリーブオイルもしくはMCTオイルなどを料理にプラス

運動量が多く、食事量だけでは必要なエネルギーを確保しにくい人は、料理に油を活用すると食事量を大きく増やさずエネルギーを補えます。

炒め物やパスタなどにはオリーブオイルを活用しやすいでしょう。

また、MCTオイルは一般的な食用油に多い長鎖脂肪酸と比べて吸収・代謝が速い特徴があります。ヨーグルトや飲み物、出来上がった料理などに少量加えることで、エネルギーを補う方法の一つとして活用できます。

⑤普段の加熱調理に使いたい

→ オリーブオイル

炒め物など普段の加熱調理には、4種類の中ではオリーブオイルが使いやすい選択肢です。

⑥運動後のコンディショニングを意識したい

→まず食事全体+n-3系脂肪酸を不足させない

運動による炎症反応は、トレーニングへの適応にも関係する生理的な反応です。

魚なども含めてn-3系脂肪酸を適量摂り、食事全体を整えることを優先しましょう。

4種類の油を比較

種類主な脂肪酸加熱運動・栄養面での特徴おすすめ
MCTオイル中鎖脂肪酸△吸収・代謝が速い脂質の一部を置き換えたい
あまに油α-リノレン酸(n-3)△炎症反応などに関与魚を食べる機会が少ない人
えごま油α-リノレン酸(n-3)△炎症反応などに関与魚を食べる機会が少ない人
オリーブオイルオレイン酸○ポリフェノールによる抗酸化作用※運動量が多い人・普段使いしたい人

※ポリフェノールは特にエクストラバージンオリーブオイルに含まれます。

「身体に良い油」でも取りすぎには注意

MCTオイル、あまに油、えごま油、オリーブオイルには、それぞれ異なる特徴があります。

しかし、どれも脂質であることに変わりはなく、1gあたり約9kcalです。

「健康に良いから」と普段の食事に油をどんどん追加すれば、エネルギー摂取量も増えていきます。

1日に脂質はどれくらい取ればいい?

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の脂質の目標量は総エネルギー摂取量の20〜30%とされています。

例えば1日2,000kcalを取る人の場合、

脂質20% → 約44g
脂質25% → 約56g
脂質30% → 約67g

が目安になります。

ただし、この量には調理油だけでなく、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、ナッツ、加工食品などに含まれる脂質もすべて含まれます。

n-3系脂肪酸はどれくらい必要?

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人のn-3系脂肪酸の目安量は、年齢によって異なりますが、

男性:1日2.0〜2.2g程度
女性:1日1.6〜1.9g程度

に設定されています。

例えば、あまに油やえごま油は半分以上がn-3系脂肪酸なので、小さじ1杯(約4g)でも約2.3gのn-3系脂肪酸を摂取できます。

ただし、魚など他の食品から取るn-3系脂肪酸も含めた1日の合計量で考えましょう。

 

油は「追加する」より「使い分ける」

4種類の油をすべて毎日取る必要はありません。

例えば、

炒め物
→ オリーブオイル

納豆や冷奴、サラダ
→ あまに油またはえごま油

MCTを取り入れたい
→普段の脂質の一部をMCTオイルに置き換える

というように使い分ければ十分です。

「体に良い油を追加する」という考え方ではなく、普段摂っている脂質の量を確認しながら、目的に合わせて油の種類を選びましょう。

まとめ

MCTオイル、あまに油、えごま油、オリーブオイルは、同じ油でも含まれる脂肪酸や特徴が異なります。

MCTオイルは中鎖脂肪酸を主成分とし、比較的速やかに吸収・代謝されます。ただし、運動パフォーマンスを直接高める効果が確立されているわけではありません。

あまに油とえごま油は、どちらもn-3系脂肪酸のα-リノレン酸を豊富に含みます。含有量にはわずかな差がありますが、実際の使用量を考えれば大きな違いではありません。

オリーブオイルはオレイン酸を多く含み、4種類の中では加熱調理にも使いやすい油です。

運動やボディメイクをしている人も「どれが一番健康に良いか」ではなく、目的、調理方法、普段の食事に合わせて使い分けることが大切です。

■著者プロフィール

申泰鎮(シン・テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。自身もフィットネスレース「HYROX」に挑戦しており、競技者としてトレーニングや栄養管理を実践している。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。

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