BCAAはEAA(必須アミノ酸)に含まれるので、普段からEAAを意識して摂取している場合は、サプリメントでBCAAを摂取する必要性はないのではないかと考える人もいるかもしれない。
そこで、本記事では米フィットネス誌が解説したBCAAとEAAの違いや、その摂取方法などをわかりやすく解説する。
(IRONMAN2025年12月号「from IRONMAN USA」より転載)
BCAAの重要性を再確認

筋発達の効率を上げるためには、トレーニングだけでなく疲労回復やエネルギーを確保することが重要だ。
BCAAは、長年にわたり運動パフォーマンスを支える主要な物質として注目されてきた。運動前後の摂取が推奨され、パウダーから飲料まで、バリエーションが非常に豊富である。
今さらではあるが、BCAAは全てのアスリートにとっても有用な物質なのだろうか?
タンパク質は20種のアミノ酸で構成されるが、うち9種は食事から摂取必須な「必須アミノ酸(EAA)」である。
BCAA(ロイシン、イソロイシン、バリン)は、このEAA の3種であり、筋タンパク質を構成するアミノ酸の約35%を占める。乳製品や肉類、卵、ホエイプロテインなどに豊富に含まれているため、食事やサプリメントなどから取りやすい栄養素だと言える。
期待できる効果
【筋肉の疲労回復を促す】

トレーニングでは筋線維が傷つき、その後の回復こそが筋発達の鍵を握る。
高強度の運動で血中のBCAA が消費されると、脳内に必須アミノ酸であるトリプトファンが増加する。これが脳内でセロトニンに変換され、疲労感が増大すると考えられている。
しかし、運動前後にBCAA を補給することで血中のBCAA濃度を維持し、トリプトファンの脳への流入を阻害することができる。これにより疲労を緩和し、質の高い回復コンディションを維持することが期待される。
【減量中の筋量維持】

筋タンパク質は、常に合成と分解を繰り返している。特に減量中のカロリー不足や加齢に伴い、このバランスはカタボリック優位に傾きがちだ。
身体はエネルギーを確保するため、筋肉を分解してアミノ酸を取り出し、肝臓でブドウ糖に変換しようとする。
BCAA、特に最も作用が強いロイシンは、筋肉の異化分解を抑制してタンパク同化を積極的に促す作用が期待できる。
さらに、BCAAは脂肪を積極的に燃焼させてエネルギー源にする作用があるため、減量に貢献すると言っても過言ではない。
【競技能力の向上】

BCAA の摂取は、パフォーマンス自体にも直接的な影響を及ぼす可能性が報告されている。
運動後は、クレアチンキナーゼや乳酸デヒドロゲナーゼなどの筋肉が破壊されたことを示す酵素の血中濃度が上昇する。
しかし、BCAAを事前に摂取することでこれらの上昇を有意に抑制したことが示されている。
また、トレーニング中にBCAAを取ると、筋中グリコーゲンの再貯蔵が促されるため、トレーニングのパフォーマンスを保つことができると考えられる。
BCAAを含む食材
BCAAは高タンパク質食材、特に9種類の必須アミノ酸を全て含む食材に多く含まれている。
BCAAは植物性食材よりも動物性食材に多く含まれているため、日頃から肉や卵、乳製品を食べていれば不足を心配する必要はないだろう。
動物性タンパク質

- 鶏胸肉
- 牛の赤身肉
- サーモン
- ターキー胸肉
- 全卵
- グリークヨーグルト
- 牛乳
- ツナ缶
植物性タンパク質

- ヒヨコ豆
- 大豆、枝豆
- インゲン
- カボチャの種
- キノア
- アーモンド
- 玄米
- グリンピース
- 豆腐
- 麻の種
BCAAとEAA(必須アミノ酸)どちらを選ぶべきか?
EAA
目的:栄養補給
例)カロリー不足、空腹状態でのトレーニング
BCAA
目的:疲労回復、競技能力向上
例)高強度トレーニング
↓
トレーニング前後に5~10g+高タンパク食
ロイシン、イソロイシン、バリンの比率が2:1:1が効果あり

こんな人はサプリメントがお勧め
日頃から十分なタンパク質を含む食事を取っている人は、BCAAを日常的に摂取する必要はないだろう。前述したように、特定のタイミングで利用するのが効率的だ。
もし、動物性タンパク質食材を取らないベジタリアンや、卵や乳製品、肉などをあまり好まないという人は、BCAAのサプリメントを積極的に取っても良いだろう。
疾患が重篤化する可能性
健康な人であればBCAAのサプリメントが問題になることはほとんどないが、過剰摂取は推奨されない。高用量の摂取は、疲労感の増大、吐き気、消化器系の不快感といった症状が現れることもあるので注意が必要だ。
さらに、特定の病状がある人の場合、BCAAの摂取により慎重になるべきだ。リスクが高まったり、慎重な監視が必要になったりするケースもあるようだ。
例えば重度の肝機能障害を持つ患者では、BCAAの代謝が変化する可能性があり、肝臓への過度な負荷が懸念されるため、必ず主治医に相談する必要がある。
腫瘍がある人も注意しなければならない。結論は出ていないが、一部の腫瘍細胞は、その増殖の栄養源としてBCAAを活発に利用することが近年の研究で示唆されている。
この領域は未だ研究途上であり明確な結果は出ていないものの、BCAAが特定の腫瘍の成長を促進するリスクは否定できない。
さらに、ロイシンは、インスリン感受性やグルコース代謝に影響を及ぼす可能性がある。慢性的にBCAAの体内レベルが高いと、インスリン抵抗性を誘発し、2型糖尿病や関連する心血管疾患の発症リスクが高まってしまうという研究結果がある。
なお、そうなった場合、心血管疾患のリスクも上昇する懸念もある。
いずれにしても、持病を持っている人や要観察の症状がある人は、BCAAサプリメントを利用する前に必ず医師に相談しよう。










