「デカくなりたい!」ボディビルダーはもちろん、ウエイトトレーニング愛好家なら一度はそう思ったことがあるに違いない。体重が競技のパフォーマンスに直結するコンタクトスポーツのアスリートも同様ではないだろうか。そこで日本ボディビル選手権トップ12人に、過去最も体重が増えたときの食事法、そして大会シーズンが終わった“オフ”である現在の食事についても聞いてみた。体重が増えにくいトレーニーや、これから身体を大きくしたいアスリートはぜひ参考にしていただきたい。
取材・文:アイアンマン編集部
普段どおりの食事をして、トレーニングするのみ
――合戸選手が最も体が大きくなった時期の体重の推移を教えていただきたいのですが。
合戸 一番大きくなったのは、ダブルスプリットを始めた33歳から3年間くらいですね。トレーニングは5日サイクルで、1日トレーニングして翌日は休養というパターンを繰り返して65㎏くらいから84㎏まで約19㎏増えました。まだ日本選手権は出場していない時期でしたね。
――食事に関して注意していたことは何ですか?
合戸 特にこだわりはありませんでしたね。体重が増えたのは食事で増えたのではなく、ダブルスプリットのトレーニングと、食事がかみ合ったのだと思います。
――食事の回数などは?
合戸 全く決めていなかったですね。お腹が空いたら食べるだけ。何をどのくらい食べるとか、全然気にしてなかったですよ(笑)。20代のころはデカくなりたくて、雑誌などを読んで研究した時期がありました。3時間おきに何か食べるとか、お腹も空いていないのにプロテインを飲むとか。食事内容は油物が多く、ご飯の量はどんぶり2杯くらい。お腹がいっぱいになったところから無理して食べて腹に詰め込むような感じでした。
――結果はいかがでしたか。
合戸 結局無理して食べていたら急性胃炎になってしまったんです。もともと胃腸が強くないのに生卵を飲んだりしていたので、胃腸がおかしくなってしまったんでしょうね。結局体重もあまり増えなくて、食事を気にするのは20代でやめました。私は体質的にトレーニングをしないと体重が落ちていくタイプなので、しっかりトレーニングをした上で、一般的な食事で栄養を取って、足りない部分はサプリメントで補う。いろいろ試した結果で得た教訓です。
――現在のオフの食事はいかがですか?
合戸 いたって普通です。揚げ物もなんでも気にしないで食べる。すき焼きも食べますよ。今でもオフは82~83㎏にはなります。だから大会前は10 ㎏以上減量しなきゃならない(笑)。
――30代のころに大きくなれなかったら、今の体のフレームはできなかったかもしれませんね。
合戸 そうですね。重さも扱えなかったでしょうし、やり込む時期は大事だと思います。最近は体重を増やさずに減量幅を少なくして減量を楽にしようという選手も多いのですが、実際はケガをする可能性が高いんです。脂肪によるクッションがない分、体に負担がかかりますから。ましてやまだ体もできてないのに年間を通して減量していたら、筋肉の成長が止まって当然筋量も増えていかないでしょう。
――体重が増えることを気にする必要はないと?
合戸 普段どおりのトレーニングと食事をして体重が増えていく分には何も問題ないと思います。節制して2~3年も同じ体重を維持しているというのは、扱う重量が増えていないということなんです。体重が増えなければ扱う重量が大幅に増えるわけがない。扱う重量が増えなければ筋量も増えない。だから毎年同じ体にしか仕上がらないという結果になる。
――体重が増えにくい人にはどういったアドバイスをしますか。
合戸 まずはトレーニングありき。1㎏でも2㎏でも重さに挑戦していかなければ体重は増えません。だから重さに妥協しないこと。高重量を追い求めて、体重を気にせず普段どおりの食事をして、サプリメントもしっかりとる。何も難しいことではないと思います。