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上腕48.5cm、ベンチ185kg━脱がない筋肉芸人・青木マッチョのロングインタビュー Part❶【“令和の怪物”の序章━中1で筋トレを始めたワケとは】

ミステリアスな表情と、それに似つかわしくない岩のような豪腕。自分のことを「大人しくて根暗」と評する青木マッチョだが、内に秘めるトレーニングへの情熱は、誰にも負けず怪物級だった。彼が考える筋トレ、お笑い、そしてボディビルとは……。

青木マッチョ(かけおち)

『フリーウエイトエリアもあったのですが、当時はそのエリアが怖すぎて、入り込むことはとてもできませんでした。』

━━今日は腕のトレーニングを見せてもらいました。豪快な様子を想像しましたが、実際は非常に静かで丁寧なトレーニングでした。

青木 トレーニングでは「収縮」、「パワー」、「ストレッチ」の3つの要素を意識しています。それぞれに当てはまる種目を設定しますが、どの種目でも丁寧に動作する点は変わりません。
場合によってはチーティングを使うこともあります。しかし、そのときも「ここだけはしっかりコントロールして力を入れよう」というポイントを必ず作るようにしています。あとは、すべての種目でネガティブ動作を意識するというのも大事ですね。

━━腕のトレーニングも、確かにネガティブ局面での動きに神経を使っているように見えました。ちなみに、これまでの腕周りのマックスの数値は覚えていますか。

青木 たしか、芸人を始める前に測ったときは48.5㎝だったと思います。今は46㎝くらいですかね。

━━腕の太さがメディアなどでもたびたび話題に上がりますが、芸人を始める前のほうが太かったのですね。現在行っているトレーニングのテクニックや考え方は誰かに習ったのでしょうか。

青木 いえ、トレーニングは自分で試行錯誤して今の形を作ってきました。ボディビルダーが本当に好きなので、さまざまな動画を見まくって、その中から自分に合ったものを抜き出して融合させていった感じです。

━━ボディビルダーは確かに筋トレのお手本になりそうです。

青木 海外のビルダーからJBBFのビルダーまで幅広く見るのですが、特にジェイ・カトラーが好きで、部屋にはポスターも貼ってあるくらいです。日本人選手ならば、それこそマッスル北村さんも好きですし、木澤さん、田代さん、合戸さんも好きですね。

━━取材前の下調べで、ジュラシックアカデミーにもパーソナルを受けにいったことがあるという記述を見つけたのですが……。

青木 あれは本当にきつかったです。胸トレをお願いしたところ、ゴールドジム金山店から持ってきたというお気に入りのチェストプレスマシンからスタートしました。自力でせいぜい10回くらいしかできないものを、補助を交えながらなんとか20回やるんですね。それを死ぬ気で3セットこなして「やっと終わった」と思ったら、「ここからまだ7セットあるよ」となって、一気に気が遠くなりました。ただこの経験があるからこそ、限界までしっかり追い込むということを自分なりに理解できたように思います。これだけの強度のトレーニングを毎回行っている木澤さんには本当に脱帽です。

━━動画で見るのと実際に体験するのは全然違う部分がありそうですね。合戸さんのパーソナルはどうでしょうか。

青木 興味はありますが、怖すぎてまだ行けてはいないです。

━━なるほどですね。続いては、青木さんがトレーニングを始めたバックグラウンドについて聞いていきたいと思います。

青木 自分が中学生のときだったのですが、地元の愛知県で不良に絡まれすぎるということがありました。そこで、絡まれないために身体を鍛えようと思い、中学1年生のころから市のスポーツセンターに通うようになりました。

━━トップ選手を取材していると、自重トレーニングから始めたという声をよく聞くので、最初からジムに通っていたというのはとても珍しく感じます。

青木 これに関しては、特に誰かの助言を受けたということではなく、「とにかく一番早く大きくなるにはこれだ」と自分で思い立っての入会でした。
当時のトレーニングは、センターにある15種類くらいのマシンをひたすら全種類行うというものでした。それをほぼ毎日、部活が終わってから限界まで繰り返していました。平日は閉館時間の関係で1時間ほどのトレーニングでしたが、土日は2時間くらいやっていたんじゃないでしょうか。

━━ちなみに使用重量はどのくらいだったか覚えていますか。

青木 物にもよるのですが、レッグプレス、チェストプレス、ショルダープレスのようなプレス系種目はフルスタックでした。
そのスポーツセンターにはマシンだけでなくフリーウエイトエリアもあったのですが、当時はそのエリアが怖すぎて、入り込むことはとてもできませんでした。

━━ジム初心者あるあるですね。

青木 市のスポーツセンターと言えども、流石に中学生でジムに来ている人はいなかったので、まず大人自体が怖かったですね。さらに、フリーウエイトには異様な空気感もありました。そういったわけで、そのころはフリーウエイトは一切やっていなかったです。

━━マシントレーニングだけとはいえ、それだけの重量を扱えば身体も相当変化したと思いますが、そのあたりはどうでしたか。

青木 それが実は、当時はいろいろミスをしまくっていて、それほど体重は増えませんでした。自分は陸上部で110メートルハードルをやっていたのですが、体重が軽くなればそれだけ足も速くなると思っていたんですね。それで、ご飯は食べずに筋トレして減量するというような、意味不明な状態になっていたと思います。当時は身長こそ178㎝ありましたが、体重は56㎏程度でした。
意識が変わったのは高校でラグビー部に入ってからです。体重が重い方が良いという世界に入ったことで、食事の量が増えたのと同時にフリーウエイトも始め、マックスで85㎏くらいまで体重は増えました。90㎏を目指して取り組んでいたことを覚えています。

>>>Part❷【消防士時代の葛藤、そしてお笑いの世界へ】

あおき・まっちょ
1995年7月31日生まれ。身長180㎝、体重90㎏。愛知県名古屋市出身。吉本興業のお笑いコンビ『かけおち』(2024年10月まではトリオ)のボケ。筋肉芸人としてのキャラクターだけでなく、TBS『ラヴィット!』では太鼓の達人、早食い、料理など多彩な特技を披露することでも注目を浴びている。野田クリスタルさんからは「吉本史上一番マッチョ」と称されるほどの肉体。

取材・文:舟橋位於 撮影:中原義史 Web構成:中村聡美

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