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レスリング・藤波朱理、金メダルへ 大学入学時は「柔道が楽しいです」と語っていた!?

レスリング界で金メダル最有力と言われている藤波朱理(ふじなみ・あかり/20)選手。吉田沙保里選手の持つ119連勝という大記録を超え、133勝という連勝記録を更新中だ。ここでは日本体育大学3年生、金メダルの期待のかかるヒロインが、大学入学後に語った「大学生活とレスリングの両立」について掲載する。
[女性向けトレーニング雑誌Woman's SHAPE vol.24より一部抜粋]

藤波朱理は2年前の2022年4月、日本体育大学に進学した。取材は同年7月上旬に同大世田谷キャンパスにあるレスリング部で行なわれた。

──入学してから3カ月、大学でのキャンパス生活には慣れてきましたか?
藤波 ハイ。だんだん慣れてきた感じです。ただ、高校までは(実家に住んでいたので)洗濯や調理はお母さんがやってくれていたけど、それがなくなってしまったところに戸惑いを感じています。洗濯は毎日自分でしています。

──食事の方は?
藤波 お父さん(一緒に上京して日体大のコーチに就任した俊一さん)が作ってくれるときもあります。よく野菜の入ったスープを作ってくれます。自分ではネットで検索したら出てくるレシピで料理を作っています。この間はお母さんがよく作ってくれたタコライスみたいな料理を作ったけど、ソックリな味にはならなかった(苦笑)。思わずお母さんに連絡してしまいました。

──授業の方は?
藤波 授業は実技が多くて、そんなに大変ということはないですね。

──どんな実技が楽しいですか?
藤波 柔道が楽しいです。今まで柔道はやったことがなかったんですよ。柔道着を借りてやってます。(同じ組み技格闘技として)レスリングにつながることもあると思ったので選択しました。

──同じ組み技でもジャケットを掴む柔道と掴むところがないレスリングでは力の使い方が違いますよね?
藤波 そうですね。レスリングは掴まないので、最初は柔道が難しかったです。乱取りを始めるとき癖で相手と握手したら、エッという顔をされてしまいました(笑)。

──レスリングは握手から試合が始まるけど、柔道は一礼から始まりますからね。肝心のレスリングの練習はどうですか?
藤波 (父・俊一コーチ以外では)伊調馨さんと田南部力コーチに教えてもらっているので、本当にいい練習になっています。馨さんともスパーリングをしてもらっています。 知っての通り、伊調は女子レスリングが五輪正式種目となった2004年アテネ五輪から2016年のリオデジャネイロ五輪まで女子個人種目では史上初となる五輪で4回連続で金メダルを獲得した不世出のレジェンド。一方、田南部コーチはアテネ五輪の男子フリースタイル55㎏級の銅メダリスト。2000 年のシドニー五輪にも出場しており、テクニックの指導には定評のある名伯楽だ。

──練習で伊調コーチと実際に組んでみた感触は?
藤波 伊調さんは強くてまだまだ全然叶わないんですけど、一緒にやればやるほど自分の力になっていると実感しています。

──具体的にいうと、伊調コーチと組み合ったらどんな力を感じるのでしょうか?
藤波 距離のとり方だったり、ステップの踏み方だったり、全部ですね。

──伊調さんといえば、女子の中では組み手のうまさには定評がある。
藤波 すごくうまいです。一緒に練習させてもらうことが習得への近道かなと思っています。田南部コーチは技術の教え方がすごくわかりやすい。すごく身になっています。日々勉強という感じですね。

──先日、日体大の健志台キャンパス(神奈川県)にお邪魔したら、大学のOBである森川美和選手(ALSOK)が出稽古に訪れていました。同じように男子レスリング部に交じって練習することもある?
藤波 自分も行きます。健志台キャンパスの授業で空きコマがあるときに向こうで練習してこっちに返ってきて、また練習するという感じです。

──男子と女子ではレスリングに何かしら違いがあると思いますか?
藤波 ハイ。やっぱり男子の方がレベルは高いと思う。だからこそ自分は男子みたいなレスリングがしたい。

──だったら男子の練習も実り多きものになっていますね。
藤波 そうですね。ただ、男子は力が強くてケガをする恐れがあるので、緊張感がある中で練習しています。(日体大には)男子もトップレベルの選手がたくさんいるので、見ているだけでも勉強になります。

取材・文:布施鋼治 撮影:保高幸子




佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手

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