コロナ禍での健康意識の高まりや、テレワークでの運動不足解消の需要を受け、急速に数を増やした24時間ジムやパーソナルジム。「趣味はジム通い」という方も珍しくないほどフィットネス人口が増えた昨今、YouTubeで話題となっているトレーニーがいる。「最高齢加圧トレーニーの覗き見ちゃんねる」の、石田政平(いしだ・まさひら/91)さんだ。90歳を超え、なお身体を鍛える理由とは?石田さんへのインタビューを行った。
【写真】「こんな元気な91歳いる!?」石田政平さんの肉体&トレーニング風景
「トレーニングを始めたきっかけは、14年前に旅行先の階段から転げ落ちて骨折したことです。息子が私の筋力や体力の衰えを心配して、ジムに連れて行ってくれたのが始まりですね。当日、どこへいくのかも知らされず、気づいたらトレーニングをしていました(笑)」
石田さんは、それから欠かさず毎週の金曜日にジム通いを続けることとなった。
「私のパーソナルトレーナーであり、現在、YouTubeの作成をしている寺田悟トレーナー指導のもと、加圧トレーニングを行っています。メニュー名は未だに詳しくなくて、言われるがままというか、全身くまなくという感じで1時間やっています」
「そういえば、最近ベンチプレスを始めました。重量は30kgと重くはないですが、大胸筋が過去で一番発達しているように思います」
なぜ加圧でのトレーニングを選んだのか、という問いに、「聞いた話ですが」と前置いてこう答えた。
「加圧は年齢が高くなるほどオススメだそうです。高重量や高頻度で行わなくても、しっかり負荷をかけることができるため、身体への負担は少ないとのことで」
また、驚くことに石田さんは自宅でも毎日トレーニングを行っているという。
「復習と次回の予習をかねて、午前・午後で上半身と下半身を分けて1時間ずつ程度です。キツイんですが、やらないと次回のパーソナルについていけなくなるので、仕方なくやっています(笑)。あとは週に3日はウォーキングと、毎晩、寝る前に昔習っていたヨガを自己流にアレンジしたものをルーティンにしています」
90歳を超えた肉体にはハードなスケジュールをこなす、石田さんの健康維持法を聞いた。
「昼ごはんにメインのボリュームを持ってくるフランス式の食事法を取り入れているんですが、肉を週に3回は食べます。焼肉でも、ステーキでも、丼ものでもなんでもいけますよ。やはり、しっかり食べなければしっかりトレーニングはできませんから」
肉体の強さは食欲の強さ、とはよく言ったものだ。健啖家ぶりも明らかとなった石田さんの、トレーニングの最終目標とは。
「明確な目標やボディコンテストなどの大会の出場は考えておらず、自己満足で風呂場で自分の身体に見惚れるくらいですかね(笑)。しいて言えば、誕生日ごとに扱う重量が増えるので、それについていきたいです」
「見た目に自信がつくと、精神的な自信にもつながりますよ。実は、前回(2021年)の東京オリンピックに聖火ランナーとして挑戦しよう、という計画も立てていたんです。諸事情で出られませんでしたが、いろんなことへの意欲は尽きませんね」
そんな石田さんに対して、周囲の反応は一様に“驚嘆”だという。
「僕は広島の被爆者で、手帳も持っているんですね。その関係で、昔の友達は既にみな他界してしまいました。なので、現在の友人達は全員が20歳ほど歳下なのですが、『変わらず元気だね』と、いつも言われます。毎月の健康診断の結果も非常に良好です。こうして元気でいられるのは、筋トレのおかげなんではないかなと」
自身の健康ぶりを感じるくだりで、またも驚きのエピソードが飛び出してきた。
「先日、100段以上ある急勾配で有名な神社の階段を登ったときに、体力の向上を実感しました。3年前に登ったときは途中でバテてしまったんですが、一気に登ることができたんですよ。あとはね、色んな場面で年齢を15歳は詐称できます(笑)。実際にInBodyで計測すると体内年齢が65歳で、たまに68歳になるとショックを受けます」
最後に、「最高齢のトレーニー」としてYouTubeで注目を浴びていることについての感想を聞いた。
「恥ずかしい半分、誇らしい半分といったところです。よく外食する地域では、本当によく声をかけられるようになって。息子には、『外食できなくなるくらい有名になってくれ』と言われています。みなさんが楽しんでくれると嬉しいですね」
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取材:にしかわ花 撮影:中原義史
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