• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 朝倉未来の正体。“100の質問から見えてきた朝倉未来の素顔とは?”[ロングインタビュー再録]

朝倉未来の正体。“100の質問から見えてきた朝倉未来の素顔とは?”[ロングインタビュー再録]

6月は“格闘家コラボ祭り”として、団体問わずいろいろな選手とのYouTubeコラボが実現している人気格闘家Youtuberの朝倉未来選手(トライフォース赤坂)。最新号「Fight&Life Vol.79(6月23日売)」の取材を機に実現したRISE世界フェザー級王者の那須川天心選手(TARGET/ Cygames)とのコラボも大きな反響を呼びました。
そんな朝倉未来選手のロングインタビューを掲載し、本誌初の表紙で登場した「Fight&Life Vol.77(2月22日売)」は発売後すぐに完売となり人気の高さがうかがえました。そこで今回は“もう紙版では手に入らない”朝倉未来選手のロングインタビューを特別に再録しお届けしていきます。
――Fight&Life編集部

少年時代は路上喧嘩で敵無し状態。格闘家としての最初の主戦場、THE OUTSIDERでは団体史上初の2階級制覇。RIZINでも未だ負けを知らず、YouTubeは1年足らずで登録者数100万の大台達成──。
有言実行を着々と遂行する朝倉未来。彼の最大の強みと言われる分析力、洞察力、客観的視点、そして負けん気の発芽はいつか?そのきっかけは?100の質問をベースに、稀代の格闘家のルーツに迫る。

『タイタニック』は全部刺さる完全にロマンチストですから

インタビュー掲載号は好評につきすでに完売

──本誌では初のロングインタビューということで、今回は朝倉未来選手の人間性のルーツみたいな所を探っていきたいと思っているんです。
朝倉 なるほど。はい。
──そのベースとして100の質問を送ったのですが。
朝倉 インタビュー形式のほうが、もっといろいろ答えられたんですけど、スマホで打ち込んでいったんで、あっさりした答えになっちゃいました。
──ビックリしたのが、答えがすごく速く返ってきたことです。このスピード感が普通ですか。
朝倉 けっこう忙しくしているから、LINEとかの返事もすごく速いかもしれない。つねにスピード勝負という感じで生きているんで。
──答えの中で個人的に面白かったのが「映画『タイタニック』を32回も観た理由」。まず、究極の恋愛物が好きというのも興味深いし、その答えが「全部」というのも意外というか。
朝倉 そもそも僕は恋愛系の映画は好きじゃなくて。だいたいお涙頂戴みたいな作りじゃないですか。どっちかが死んだりして悲しいという感じで終わるのが多い中で、『タイタニック』は100歳になってもまだ想っているみたいな。そこが素晴らしいなと思って。
──ああ、たしかに最初のシーンで老婆が出てきてタイタニック号での短くも熱い恋を振り返るという内容でしたね。
朝倉 そうそう。だけど、船の中で出会った時間はめちゃめちゃ短いじゃないですか。その相手を何十年経っても想っている、みたいな。それが美しいなと思って。他の恋愛映画とはちょっと違いますよね。
──一気に32回じゃないですよね。
朝倉 何年かに渡って。自分の考えも変わってくるので、同じ作品でも違う作品に変わるというか。だから何回も見てますね。
──YouTubeの登録者40万人突破記念でも100の質問に答えていましたが、そこでもロマンチックな感じの答えがちょいちょい挟まってきているんですよね。
朝倉 ああ、そうですよ。完全にロマンチストです。
──YouTubeの「100の質問」でも、「デートで行くなら」という質問に「どこでもいい、好きな人とだったら」と答えていたり。
朝倉 はいはいはい、そうなんです。面白いですか?
──面白いというか新しいというか。ロマンチックなことは恥ずかしくて言えないという男性のほうが多い気がしますが。
朝倉 え、何が恥ずかしいんですか? 全然恥ずかしくないです。僕はけっこう素直です、何に対しても。何か隠したりカッコつけたりするほうが恥ずかしくないですか? 僕はそっちのタイプですね。

分析力、客観性、自由への渇望全ては少年時代に始まった

──さて、未来選手といえばやはりその分析力、また客観的な物のとらえ方、冷静さが注目されています。そこで、100の質問でもいつ頃からそうしたとらえ方が身に付いたのかを聞いていますが、どちらも「小学生」という答えでした。
朝倉 分析力に関しては、トランプゲームとかちょっとしたゲームがすごく強かったんです、ちっちゃい時から。ほとんど負けなくて。それで「何で勝てるんだろう」と考えたら、相手の表情とか心を読むのがうまかったんだなと。だから、それは訓練したわけではなくて、もともと持っていたんだと思う。それに気づいたのが小学生の時でしたね。
──ババ抜きでも最後のババは絶対に引かない?
朝倉 そうですね。そういう心理戦が異常に強かったのと、人の嘘とかを見抜くのがめちゃめちゃ得意だったんですよ、昔から。普通の人よりも汚い部分が見えるというか。だから恋愛とかもあまり得意じゃない。分かっちゃうんで、けっこう。
──自分を客観視できるようになったのも小学生の頃なんですね。
朝倉 それは親に買ってもらったビデオカメラで自分を撮影してからですね。自分が思っている動きと、周りから見えている動きが違うということに気づいてから、客観視を心がけるようにしましたね。
──録音した自分の声を初めて聴いた時もかなりの違和感ですが、そんな感じで自分が描くイメージと実際は違うんだと発見した?
朝倉 そうです。僕の場合は当時、壁を使わず逆立ちで止まるということにハマっていて、自分では脚をまっすぐ伸ばしていたつもりだったんですけど、ビデオに撮って横から見たらだいぶ脚が倒れていたんですね。それで、等身大の自分は違うんだというか。よく、身長にしても自分のほうが大きいと思っていても実は小さいってあるじゃないですか。目の位置と頭のてっぺんの位置は違うから、そこで人の見え方が違ったりする。それが分かってからは、なるべく客観的な目線と自分の頭を一致させる努力をするようにしたんです。それって何にでも活きるんですよね。運動でもそうだし、人への見せ方もそうだし。そこからはずっと心がけるようにして、同時に他人の意見とかをよく聞くようになった。それも客観視に役立ちましたね。
──今回の100の質問に対する答えも「自由」がキーワードになっている気がしますし、あまり人の意見は聞かないし、左右されないイメージがあったんですね。「自分はこうありたい」というほうに執着しているというか。だから「他人の意見を聞く」というのは意外ですね。
朝倉 たしかにそうで、基本的に人の意見はあまり聞かないんですけど、自分が興味のあることに対して、自分に協力してほしいことの意見はこっちから聞くんです。逆に相手からいちいち言ってくることで、僕自身興味がなかったら一切取り合わない。たとえば僕が練習していて、今どういう動きになっているか僕が気になっていたら、他の人に聞いてその意見を聞き入れる。逆に、僕が聞いてもいないのに、いきなりアドバイスしてきても、聞き入れるかどうかは分からない。
──それも小さい頃から?
朝倉 そうですね。そもそも人生は短いので、自分が興味ないことまで頑張りたくないと思ってるんです。そこも学校の先生とか親とか、日本の義務教育すらも不満に感じてたので。「なんでこんな色んな科目を万遍なく勉強しないといけないのか」って。自分の好きなことだけをやりたかったんで。そういう不満の反動で「自由になりたい」になっていったんじゃないかなと思いますね。学歴にも、そもそも興味がなかったですし。僕はあまり必要のないことはやらない主義なんです。練習もそうなんですけど、ランニングもウエイトトレーニングも一切やらないんです。
──格闘家のトレーニングとしては、かなり極端ですね。
朝倉 でも、意味ないと思って。リングの上で走るわけじゃないから。総合のスパーリングとかレスリングとか、必要なことだけを練習しているんですけど。だから練習時間も他の選手より全然短い。でも、日本では必要のないことが好きっていう人、多いじゃないですか。それにもずっと疑問を感じていましたね。
──その考え方だと、日本人の輪の中にはなじまないかもしれない。
朝倉 まあ、そうですね。だからひねくれ者でしたよ、けっこう。

ワル? 極悪非道? 女に手を出したことは一度もない

──学校時代、クラスでのカテゴリー分けってあるじゃないですか。悪ガキタイプとか優等生タイプとか。どんなタイプでしたか。
朝倉 悪ガキでもないし、友達がほしいというタイプでもない。一人でいるタイプだったかもしれないです。でも、まわりには人が来ていた、みたいな。
──我が道を行くというタイプ。
朝倉 そうです、そうです。それは小学校から変わらないですね。
──質問の答えには「父親と自分が似ている」というのもありましたが、お父さまも動じないというか、我が道を行くタイプなんですかね。
朝倉 動じないというわけじゃないですけど、考え方が似ているかもしれないですね。自分の良くない部分が似てる。頑固なところとか。逆に自分のいいところは意外と似てないのかな。たとえば柔軟な考え方とか。そういうのはたぶん持ち合わせていないし。とにかく、人から「あの人ってちょっと変だよね」と思われる感じが似ているかもしれない。
──お母さまはRIZINのドキュメンタリー動画『RIZIN CONFESSIONS』などにも登場されていて。とても優しそうですよね。
朝倉 そうですね。逆に当たり障りのない。だから苦労したでしょうね。
──「どうして荒れたのか」という質問も、家庭環境と不良時代がうまく結びつかなかったからですが。
朝倉 別に、僕の場合は家庭環境が問題じゃなくて。やっぱり自分自身のそういう思考ですよね。間違ったものに対して、僕は「間違っている」と言う。たとえば先生が言ったことに対して、99人が賛同しても、僕は疑ってかかってるんで。違うと思ったら、自分が損をすることが分かっていても「違う」って言っちゃうんです。そうやって自分らしく生きていったら、不良と…でも、僕の地元が不良だらけなんで。
──地元は愛知県の豊橋ですね。
朝倉 港町だし外国人もすごく多いし荒れてたんですよ、当時は。だから自然でしたよね。悪いことをしていたという思いもないし。自分を「ワルだった」とは思わないです、今思い返しても。極悪非道なことはしたことがないし。女の子とかに手を出したことは一度もないし、人生で。
──友達がやっているのをむしろ止めるほうだった?
朝倉 うーん、逆にそういうヤツとは合わないから友達にはならなかったですね。僕のまわりで女に手を出したヤツとか見たことないです。喧嘩とかバイクで走るとか、そんな感じです。たまに極悪人だったみたいに言われるけど、それはないかなっていう感じですかね。

少年院は出てからが厳しい戦いだから出てすぐの奴は信用しない

──人としての転機に、16歳から1年4ヵ月間過ごした「少年院」と答えています。
朝倉 そうですね。格闘技をやろうと思ったのもその時でしたし。

──『RIZIN CONFESSIONS』の企画で、昨年は少年院で講演もしています。最近、一番緊張したのもこの時だったそうですね。
朝倉 話すことはその場で決めた感じで、アドリブで行ったんで、そこでは緊張したかな。もともとYouTubeで行きたいと思ってたんですけど、YouTubeではなかなか難しいということで、じゃあRIZINで行けるなら行きましょうという話になって。
──少年院時代は「笑ってはいけない」というルールがあったとか。今すごくクールなのは、その時の名残りですか。
朝倉 いや、今も別に笑いますよ。というか僕、逆にゲラなんですよ。YouTubeで笑いをこらえられるか勝負みたいなのをやっても、全然笑っちゃうんです。YouTubeの一覧表示用にサムネイル画面ってあるんですけど、あの撮影は動画撮影とは別にやるんですね。あの時もめちゃくちゃ笑っちゃう(笑)。
──じゃあ1年4ヵ月も笑わないなんて地獄ですね。
朝倉 いや、自然に笑うのは別にいいんです。不正行為みたいな感じで笑ったらいけないだけで。それでもわざと笑わせに来るヤツがいたんですよ。笑っちゃいけないって逆に面白くなるんですよ。
──少年院での講演で、少年たちの前に立った時の雰囲気は?
朝倉 だから当時の僕じゃないですけど、逆にあっちが笑っちゃいけないみたいな、先生に言われてたのかもしれないけど、すごく空気が重くて。反応も何もしないし。やりづらかったです、すごく。あっちも緊張していたんで。
──講演では「夢はかなう」と語っていました。一番伝えたかったのもそれですか。
朝倉 うーん、やっぱり一番説得力があるのは僕かなと思ったんで。少年院に実際に入っていて、夢をかなえた…僕が一番いい例かなと思って、しかも直接行くことに意味があるのかなと思って行ったんですけどね。
──講演後に、何かリアクションはありましたか。
朝倉 特にこちらから連絡はしていないですけど。あ、でもあのあと院を出た何人かからSNSでメッセージが。「あの時はお話ありがとうございました」みたいなのは来てました。でも、無視しましたけど。
──返信の必要がない?
朝倉 今は連絡を取る時じゃないですよね。何か成功してからだったら分かるけど、出てきてすぐに連絡してきても、何も信用していないんで、こっちとしても。また捕まるかもしれないですよね。出てからのほうが厳しいんで。厳しい戦いですよ。いろんな誘惑があるし。
──朝倉選手の場合、少年院の中で「格闘家になる」と決め、周りにも宣言していたそうですね。出てからは迷いなく突き進んだ?
朝倉 まあ、そうですね。誘惑はたくさんありますよね。でも、僕がやっていた一般的に言われる悪さっていうのは喧嘩じゃないですか。喧嘩をやるまでもなく毎日練習できていたんで、遊んでいる時にもあえて喧嘩をしようとは思わなかった。それに無免許で少年院に入ったわけだけど、バイクも免許を取っちゃったんで乗れるし。それ以外で別に悪さをしようとは思わなかったですよね。

好きなことを本気で勉強するなら遅すぎることなんて何もない

──少年院時代に悟ったこととして「無責任な自由をやめようと」と答えています。改めて、朝倉選手が考える「自由」について聞きたいです。
朝倉 たとえば、バイクの免許を取って乗るというのは責任のある自由ですよね。法律を守って自由に遊ぶという。やっぱり悲しませている人がいたということに気づいた時に、これ以上はダメかなと思ったというか。でも、絶対に自由ではありたい。だったら誰も悲しまない自由を求めよう、みたいな。そんな風に思考が変わったっていう感じです。でも、自由じゃない人って多いでしょ。好きじゃない仕事を月曜から金曜までやって、土日の休みを待ちわびている人たちというのは、刑務所にいるような感じなので。僕からしたら、ですよ。だから、逆に凄いなって思っちゃいます。
──思考のルーツを知ると、たしかに朝倉選手にその生き方は合わないかもしれない。
朝倉 僕は、今は好きなことだけで仕事が成り立ってるんで。時間とかを気にすることもないし、休みが待ち遠しいと思ったこともない。やっていること全部が楽しいし、言ってみれば全部が休みみたいな。
──ただ、その「自由」を得るための努力はまわりが考えるよりしているんじゃないかなと。YouTubeにしても、始める前に相当研究したそうですし。
朝倉 まあ、そうですね。これも自分の考え方に沿ってやっているというか。日本の教育では義務教育でいろんな科目を万遍なくやるじゃないですか。でも、僕は自分の好きなことだけを勉強すればいいと思ってて、その意味では人生は一生勉強だと思っている。いつでも遅くないと思うんですよね、勉強。僕は「YouTubeがやりたい」と思ったからYouTubeの勉強をしてる、それでいいと思ってたんで。自分が本当にやりたいことを徹底的に勉強するなら、「遅い」ということはないと思うんで。それを、あれもこれもとやってもいいことないと思うんですよ。僕は一点集中でやりたいことに集中するぶん、すごい成果があるというか。その一点にかけて本気で勉強するんで。そこの違いなんじゃないですか。
──その「一点」がYouTubeであり、格闘技であり。
朝倉 だって人間、一日24時間しかないから、そんなにたくさんできないじゃないですか。だから、それでいいと思うんですよ。

ピックアップ記事

関連記事一覧