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実はフィギュアスケートや体操競技と同じ!?人間本来の美で競う究極の筋肉の存在とは

皆さんが知っているボディビルという競技は、筋肉自慢たちが肉体を見せあって優劣を競うものだと認識されていることが多々あるが、そうではない。実際は美的センスや表現力、ポージングの取り方、バランスなども含め、総合力が評価されていくものであるのだ。それは、音楽とスケーティングスキルにプラスして高い表現力が必要なフィギュアスケート、スキルと身体能力の高さで魅せる体操競技と同じものであると言える。日本でもJOC(日本オリンピック委員会)に正式に認められた“フィギュアスポーツ”なのだ。近年の日本の代表的な選手と言えば、2016年に世界ボディビル選手権で優勝した鈴木雅選手が有名で、日本一の筋肉を持ちながら、繊細なステージング技術を持ち合わせた唯一無二の存在で、現在ではプロ野球読売ジャイアンツのフィジカルトレーナーとしても話題となり、スポーツ業界に大きく貢献している。そんな鈴木雅選手に憧れた一人の青年が大阪にいた。彼の名は沖田大輝。YouTubeで2015年の日本ボディビル選手権の決勝審査の動画を見て、鈴木雅選手のフリーポーズを目の当たりにして衝撃を受けたという。今回は、そんな沖田選手のボディビル生活に迫ってみた。

取材・文:月刊ボディビルディング編集部 写真:中島康介

「YouTubeで鈴木雅選手のフリーポーズを目の当たりにして衝撃を受けました」

初めてバーベルを握ったのは高校2年のときで、野球の補助でベンチプレスを始めました。野球部あるあるというのか、部にひとり筋肉派の選手がいて、その彼に触発されたというのもあります。当時から食べることが好きだったし、とにかくよく食べていました。そのおかげか、野球をやりながらも体重は80㎏を切ったことがなく、60 ㎏のベンチプレスが3年生の頃には100㎏を挙げられるようになり、そこに筋トレの楽しさを覚えました。大学生のときも、相変わらずベンチプレスばかりをやっ
て、たまに腕トレを行う程度で、それ以外は全くしてなかったです。

食べる量ばかりが増え、体脂肪もかなり増えてしまい、「これはやばいぞ」と思い、大学卒業前にボディメイクを真剣に始めようという考えになりました。何を思ったのか、「ボディビルダーの真似をするのが近道なんじゃないか!」とYouTubeで2015年の日本選手権の決勝審査の動画を見て、鈴木雅選手のフリーポーズを目の当たりにして衝撃を受けました。「ボディビルってこんなにカッコよくも美しいものなんだ」と。それからだんだんとボディビルにのめり込んでいきました。

今は週7でトレーニングを行っていて、足りないと思う背中を週2回、脚は前後に分けて行っています。こだわりというと、まだ歴も浅くぼんやりした考えですが、基本種目の熟練度を高めることを意識して行っています。肩はサイドレイズ、胸であればベンチプレスといった種目です。ボディビルは長く続けたくて、ボディビル自体も息の長いスポーツです。伸び悩んだときや年齢を重ね関節などが言うことを聞かなくなってきたときに、変わり種の種目を扱いやすい重量で行うことは選択肢として取
り入れやすいと思います。しかしそこで、高重量の基本種目を取り入れることができるかを考えると、なかなか難しいのではないかと思います。ときすでに遅し…みたいな感じで。

そういった考えから、基本的な種目の重量を伸ばし、神経も発達させることをベースに内容を組んでいくことが、まだ歴の浅い自分には必要だと思っています。また、鈴木雅選手を含めJBBFのトップ選手の皆さんは、高重量を扱ってトレーニングしており、DVDを観ても、行っている種目はやっぱり基本的な種目なんです。そういった側面からもやはり基本種目をやり込むことに重点を置いています。また、どの種目も楽しくて全部好きですが、今、特に好きなのは、背中のロウイング系種目で、やればやるほど重量が伸びる感覚や神経がつながる感覚があり、すごく楽しいです。

部位で特に意識しているのは、殿部やハムストリングの大きさはもちろん、この部分にストリエーションが走っているかいないかでステージに上がったときの印象が違ったものになると考えています。それで、思い切って脚の日を前(主に四頭筋)と後(殿部やハムストリング)に分けました。最初は同じ日に行っていたのですが、自分は大腿四頭筋群を追い込んだ後に同時進行で行うと疲れてしまって後面が追い込めません。それを別の日に分けてみると、後面がすごく良くなってきた感覚があります。脚を週2回行うのは大変ですが、良くなる楽しさが先行しています。また、参考にしている選手はもちろん鈴木雅選手です。まずはフォームやグリップなどを見て盗むことから入っていき、動きの中で解剖学的、生理学的なアプローチを理解していけるようにDVDを観ています。

何度も試合に向けた調整を繰り返すと結構な水分量の増減を身体に強いるわけですから、負担がかかっていつも通りの反応をしなくなってくるんじゃないかなとも思います。そこをどう前大会より良い状態で臨めるかというのが今後にも繋がっていく経験になると思うので、前大会より良い状態に持っていくことが今年の目標です。また、今後の目標としては、JBBF主催の日本クラス別やジャパンオープンで通用する身体を作り上げて、いろんな方に沖田大輝という名前を知ってもらいたいです。


沖田大輝(オキタ・ダイキ)
1993 年11 月16 日生まれ/ 27 歳/大阪府出身/身長:168cm /体重:75kg(オン)・87kg(オフ)/職業:会社員/憧れの選手:鈴木雅選手、佐名木宗貴選手、村上勝英選手、奈良裕選手/好きな食べ物:寿司、焼肉、和菓子/嫌いな食べ物:なし/トレーニング以外の趣味:カラオケ/

大会入賞歴:2021 年大阪ボディビル選手権2位、2021 年大阪クラス別ボディビル選手権75kg 以下級優勝・U 30 大阪ボディビル選手権優勝、2019 年大阪クラス別ボディビル選手権75kg 以下級2位


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