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ボディビル日本王者のトレーニングメニュー、生活ルーティーン大公開

相澤隼人選手のトレーニング身体作りと真剣に向き合うとなると、分割方法、種目の選択、1日の中でのトレーニングのタイミング、それに向けての栄養摂取などなど、考慮すべきファクターが多々出てくる。競技で頂点に立った選手たちは、自分の生活スタイルの中に、それらをどのように落とし込んでいるのだろうか。なぜその分割なのか? なぜその種目を取り入れているのか? どういったタイミングで、どういった食事をとっているのか。ここではボディビル日本王者・相澤隼人選手のオフシーズンの1週間のトレーニング、食事内容を公開。相澤選手のトレーニングはベーシックな5分割で、各プログラムもベーシックな種目で構成されており、そのなかから大胸筋のトレーニングを紹介する。

【写真】相澤選手の1週間のルーティーンとトレーニングメニュー

――まずは現在の分割からお願いします。
相澤「胸」「背中」「肩」「腕」「脚」の5分割で行っています。曜日では固定していません。この5分割で回していき、疲労を感じたとき、また仕事でトレーニングできない日などをオフにしています。週に1回は必ずオフを取るようにはしています。

――胸のトレーニングはベンチプレス、インクラインバーベルベンチプレスが6回から8回という組み方をされています。重量を扱って胸の筋量のベースを築くのが狙いでしょうか。
相澤 そうです。ここでは筋力を伸ばすのが目的になります。以前は3レップで組んでいたことがあったのですが、ボディメイクを行う上で、メリット・デメリットを考えた際、3レップだとあまりメリットがないのではないかと。なので今は、6回から8回という組み方をしています。

――第2種目のインクラインバーベルベンチプレスは以前から重視していた種目でした。
相澤 はい、今もそれは変わりません。ストレッチが何よりも強い種目なので、この種目をメニューからと外すというのは、今は考えられないです。

――次のインクラインダンベルプレスでは収縮を狙う?
相澤 いえ、ダンベルプレスでは収縮時に負荷はのってきません。挙げるにつれて腕の間隔が狭くなっていくと確かに大胸筋は収縮するのですが、そこでは重さがかかるベクトルと力を入れる方向が一致していません。ここでは収縮を狙うのではなく「大胸筋の動きだけで動かす」というイメージで実施しています。 2019年の日本クラス別で合戸(孝二)さんと並んだときに(身体の厚みの違いに)衝撃を受けて、そこからバーベル種目で重量を持つことにこだわるようになったんです。そのこだわりが少し解けてきて、今は筋肉の動きを意識しながらディテールを上げるための種目も行うようになりました。

――ダンベルフライは?
相澤 以前はインクラインベンチを1段階上げてやっていたのですが今はフラットで、かつ股関節屈曲位でやっています。昨年9月にヘルニアを患って腰に対する不安感が生じて、そこで種目を少し入れ替えたんです。その際に行ったダンベルフライの感触がよく、取り入れました。ダンベルフライはストレッチポジションでの負荷が強くなるのですが、フラットベンチで行う場合、足を床につけていると肋骨の外旋が強くなるんです。

――肋骨が開いて大胸筋のストレッチが弱くなる?
相澤 だから、股関節を屈曲して腹圧をかけてアンカーを作るんです。アンカーを作って、自然に胸椎が伸展、肩甲骨が内転した状態で行うと、大胸筋はしっかりとストレッチされます。 ただ、胸椎の柔軟性が乏しい人がこれをやると、おそらく肩関節が動作の支点になります。そういった人が見様見真似で股関節屈曲位でダンベルフライをやると肩を痛めてしまう可能性もあります。

――そして次にディップスです。これは大胸筋の下部狙い?
相澤 そうです。また、ディップスの動作は、ディップスでしかできないんです。ベンチプレスやダンベルフライなどは肩甲帯をベンチにつけた状態で行うので、身体を安定させて動作を行えます。一方、ディップスでは上体がフリーな状態にあるので、例えば前鋸筋など、肩甲骨を安定させるための筋肉も動員されます。そういった筋肉の活性化も狙える種目なので、今はディップスをやらない理由が見当たらないという感じです。

――締めはプルオーバーですね。これはどういった意味合いの種目なのでしょうか。
相澤 まずは小胸筋を狙える数少ない種目だということ。そして、大きいのは大胸筋を縦方向にストレッチできる点です。大胸筋を縦方向にストレッチすると、その大胸筋の内側にある小胸筋もストレッチされます。ここで肋骨を閉めた状態で肩甲帯を上げると、大胸筋の下部も伸びます。大胸筋の動きと小胸筋の動きをミックスしたようなイメージの動作ですね。

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取材:藤本かずまさ(初出:IRONMAN2023年2月号)

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