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ボディメイクにも有効!脂肪を蓄積させない糖質の摂取法とは?

減量中のトレーニングのパフォーマンス維持など、重要な栄養素として再び見直されつつある炭水化物。そうした中、吸収の遅い糖質としてスポーツ愛好家の間で注目を集めているのが「パラチノース」である。ここでは、ゴールドジムプロダクツ事業部・佐藤貴規氏がパラチノースの元研究員でマーケティング担当の宮崎大地氏にトレーニーに適した糖質の選び方と摂取法、そしてパラチノースの利点を聞いた。

【写真】3階級日本王者の佐藤貴規氏の筋肉美

DM三井製糖宮崎大地氏×佐藤貴規氏

佐藤 近年では炭水化物が見直され、減量する際も必要量を摂取しながらシェイプしていくということが主流となってきています。 その「炭水化物」という栄養素にも、いろんな種類があるかと思います。まずはその役割や種類などをお聞かせいただけますか。
宮崎 まず、「炭水化物」には大きく分けると2つの種類があります。一つは「糖質」、もう一つは「食物繊維」です。食物繊維は、もちろん身体にとって必要な栄養素なのですが、ほとんどエネルギーになりません。ですからエネルギーという意味では「糖質=炭水化物」と考えていただいて良いと思います。
炭水化物のメインとも言える「糖類」は、(最小単位の)単糖が繋がってできています。単糖で有名なのがぶどう糖や果糖です。単糖が2つつながったものは二糖類、10個以上つながったものをデキストリンと呼んだりします。食事に出てくる最も有名な糖類である「でんぷん」は、単糖が数千~数万個ほどつながっていると言われています。
ここで1点注意ですが、糖の鎖が長いほどゆっくりと吸収され、短いほど早く吸収されそうなイメージがありますが、それは間違いです。数万個つながっているでんぷんも、数十個つながっているマルトデキストリンも、吸収スピードはかなり速いです。 なので、つながっている数よりも、つながり方や糖類の性質の違いなどを把握した上での使い分けが必要になってくるかと思います(図1)。

佐藤 鎖が長いもの、短いものが吸収の速度を決めるわけではないのですね。トレーニング中のエネルギーとしては、適しているのはどのようなものでしょうか?
宮崎 運動前と運動後でも変わってきます。まず、糖が身体に入ってくると身体の反応として「蓄えなければならない」という方向に傾きます。身体がエネルギーを「蓄えるか」「使うか」を決める重要なスイッチになっているのが血糖値やインスリンです。血糖値が上がり、インスリンが分泌されると「蓄える」方向になります。インスリンを出ないようにすると、しっかりとエネルギーを使う身体になり、筋肉がしっかりと動くのはもちろん、脂肪も燃えやすくなり、集中力も高まると報告されています。運動中はインスリンが分泌されづらいとは言われていますが、よほどエネルギーが枯渇している状況でなければ、トレーニング休憩中に(糖質を)飲んだりすると、身体に蓄える方向のスイッチが入ってしまいます。
エネルギーを使いたいとき、つまりトレーニング前・トレーニング中や、減量したいときなどは、インスリンを出さないほうが良いです。 逆に蓄える、増体重やメタボリック的な効果を期待する場合には、インスリンを出したほうが良いと思います(図2)。
インスリンは血糖値が急激に上がると出るホルモンなので、インスリンを上手くコントロールするためには糖の吸収性を表す指標であるGI値が重要です。一般的に、GI値が低いものを摂ると、同じカロリーを摂取しても血糖値はあまり上昇しないため、インスリンの分泌を抑えられます。

一方、GI値が高いとインスリンが分泌されやすく、血糖値が上がるので脂肪もつきますが、メタボリック的な効果は高いです。どちらを求めるかによって、使い分けが変わってくるかと思います。運動前にGI値が高いものを摂取すると乳酸が分泌されたり、余計な脂肪が蓄積されたりします。そのタイミングでエネルギー摂取を目的に糖質を摂るのであれば、低GIのものがいいと思います。
運動後には、ある程度吸収スピードが速いものを摂っていいと思います。ただ、そこでインスリンが過剰に分泌されるのも良くありません。運動後に毎回摂るというよりも、特にハードなトレーニングをした後などに、タンパク質を補給したいタイミングで高GIの糖質を摂るのがいいと思います。
普段の生活でも、基本的には脂肪の蓄積を防ぐために低GI のものがおすすめです。身体づくり以外にも、健康面だったり、眠気の改善なども報告されているので、是非試してみてください(図3)!

佐藤 トレーニング中はエネルギー消費量が多いので、身体の中には極力たくさんのエネルギーを蓄えておきたいものです。「血糖値」というタンクをなるべく満たした状態でトレーニングをしたほうがパフォーマンスは下がらないというイメージがあるのですが、実際のところはどうなのでしょうか。
宮崎 もちろん、事前に補給しておかないとガス欠になってしまいますが、先ほどの通りエネルギーを蓄えるスイッチではなく、使うスイッチを入れることが重要です。
これが蓄える方向に傾くと、脂肪も貯蓄されますし、集中力も落ちます。ですので、事前の補給で糖質を摂る場合には、低GIのものにして、エネルギーとしてうまく使えるようにしておくと良いと思います。

佐藤 トレーニング前、また試合前に消化吸収が早いといった理由でうどんを食べるといったことは、ベストな選択ではない可能性があるということですね。
宮崎 そうですね。トレーニングや試合の前、減量期などは吸収スピードが穏やかなもののほうが理屈的には適しているかと思います。

佐藤 トレーニング中に吸収の早い糖質を摂って血糖値が急上昇したとしても、それ以上に強度の高いトレーニングを行っていると、血糖値が上がりきる前に使い切ってしまうので、 結果的に血糖値もそこまで上がらないのではないかという感覚があります。
宮崎 それはあるかと思います。血糖値が上がりきるのが15~30分程度です。お風呂にものすごい大きなバケツで水を入れるようなイメージをしていただければいいかと思いますが、エネルギーを水とすると、すごくハードトレーニングをしていて、お風呂に大きな穴が開いているような状態であれば、水がすごい勢いで流れ出るので、大きなバケツで一気に補給しても全く問題ないと思います。

佐藤 そこは、その人のトレーニングレベルであったり、タンクの量であったりで変わってくるということですね。 具体的にトレーニング前・中に摂取したほうがいい糖質の種類、 その摂取タイミング、摂取量などについては、いかがですか。
宮崎 日々トレーニングしている方はグリコーゲンを回復させることも重要だと思いますので、量に関しては、基本的には減らさないほうがいいと思います。
そこで考えるべきが糖質の質です。小腹が空いた時に血糖値が上がりやすいものを食べるのではなく、吸収がゆっくりになるように食物繊維と一緒に食べる、食物繊維が含まれて低GIの果物、バナナなどを選ぶ、などをしていただければいいかと思います。また、「パラチノース」という糖質があり、これはかなり低GIでゆっくりと吸収されます。ドリンクにして飲んでも一気に血糖値が上昇することもありません。トレーニング前であれば30分ほど前に低GIの糖質を補給をしておくと、トレーニング中にしっかりエネルギーとして使われると思います(図4)。

佐藤 そのパラチノースには、どういった特性があるのでしょうか。
宮崎 最も大きな特徴は、小腸全体を使ってゆっくりと吸収されるという点です。砂糖やぶどう糖・果糖などは小腸に入った最初の段階で一気に吸収されてしまいます。一方パラチノースは小腸を通りながらじわじわと吸収されていきます。
パラチノースのGI値は30ほどで、いわゆる低GIに分類されます。さらに、白米や砂糖など吸収スピードが速いものと一緒に取ると、その糖質の吸収速度を緩やかにできるという特徴があります。パラチノースを全体の糖のうち20% から30% くらいを混ぜていただくと、全体的にゆっくりにすることができると言われています。

佐藤 日々の栄養補給としての活用法としては、どういったものがあるのでしょうか。
宮崎 お仕事中にパラチノースをデスクの上に置いておいて、午後に紅茶やコーヒーなどに入れて飲んでいると、夜にトレーニングをするときまで空腹感がなく、トレーニングもしっかりできるというお声をいただいております。実際、パラチノースは、満腹感が得られやすいとする研究報告が、世界的に有名な論文雑誌『Nature』のWEB版に出たこともあります。 トレーニングの1、2時間前にプロテインを飲むのであれば、そこに20g から40g ほど混ぜていただいて、 自作のMRPのような感覚で摂っていただくのもいいかと思います。トレーニングが1時間から2時間ほどになるのでしたら、開始30分ほど前に摂っていただいても大丈夫だと思います。

佐藤 ボディメイクをする際には、極力エネルギーを使って脂肪を燃焼する方向に身体を持っていきたいものです。吸収の速い糖質は蓄える方向に傾きがちになるので、その一部をパラチノースに代替えして、蓄える方向ではなく、エネルギーを使う方向に持っていけば、効率よくエネルギー補給ができ、なおかつ脂肪燃焼も期待できるということですね。
宮崎  おっしゃる通りです。バルクアップにパラチノースを活用された方がいて、 脂肪をつけずに筋肉を大きくすることができ、そこから減量に入っても大幅に筋量を失うこともなかったというお声もいただいております。是非活用してみてください。

取材・文:藤本かずまさ 撮影:FITNESS LOVE編集部

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