「ヨガでココロを整える」をテーマに、現在の心身の状態に合ったヨガをプロに教えてもらう、3回シリーズの3回目。今回はヨガインストラクター・高橋エマさんが“身体も心も元気がない日のヨガ”をご紹介します。
※Yoga&Fitness vol.12に掲載された「ヨガでココロを整える」をWEB用に編集したものです。
大切なのは脳の疲労を取り除き 心を休息させること
ストレス社会に生きる私達は脳が常に緊張状態になっています。インターネットなどによって生活が便利になり、情報が次から次へと入ってくるようになったことで脳は常に刺激され続けています。
「刺激」は脳にとってはストレスと捉えられ、蓄積すると肉体と同じように疲労が溜まります。肉体の疲労は基本的には睡眠によって回復しますが、心の疲労感というのは、気付きづらく、心身のバランスを崩して心の病に悩む人も増えていますよね。
私はメンタルヘルスを保つために最も大切なことは【脳の疲労感を取り除き心を休息させること】だと考えています。
それにはまず、心が疲れていると気づけることが大切で、本質的に休息できる環境を作り、「緩める」ことや心の安定を保つケアをする必要があります。
同時に自律神経のバランスを整えることも重要なため、ヨガはとても効果的です。
人は体温が下がると、リラックスして眠気を感じる体のシステムになっています。一時的に体温を上げるための優しい運動をして、そこから徐々に体温を下げると、心身が自然と休まり深いリラクゼーション状態に至ります。
また、お腹や胸に広がる呼吸を感じるよう、一つ一つのポーズをゆったりと時間をかけて行うことで、心身が休まり心や脳の疲労が取り除かれやすくなるのです。
深いリラックスは、治癒力を高め、静けさ、明快さ、落ち着きを感じ、心身共に心地良い安定感と安らぎを思い出させてくれます。
体だけではなく、心や脳を労わる大切さを皆さんに伝えていきたいです。
チャクラを整えて精神的な安らぎを得られる
スカーサナ
厚めに畳んだブランケットの上に座り、目を閉じ、肩の力を抜いて、呼吸の音に意識を向けましょう。野外であれば聞こえてくる様々な音を聞くようにします。思考が止まらない、または眠くなってしまった場合には、壁の前に座り、仙骨、肩甲骨、後頭部を壁につけるようにして姿勢を保ちます。
股関節が痛い場合には、ブロックかブランケットを膝の下において行います。
自律神経を整えて脳の疲労を軽減する
マカラーサナ
心や脳の疲労がある時に緊張しがちな腹部を緩めてくれるポーズです。自重を感じながら、呼吸を重ねる度にお腹の緊張がとれていくイメージでキープします。自律神経が整い、心や脳が休まるのを感じられるでしょう。

軽減ポーズ
曲げている足の股関節が床から浮いている場合には、隙間を埋めるようにお腹(骨盤)〜腿下にブランケットを挟んで行います。吸う息でブランケットにあたる腹部の膨らみを意識し、吐く息で緩む動きを感じることで精神的なリラックスを促します。
副交感神経を優位にして心身の疲労を回復する
ジャタラパリヴァルタナーサナ
自律神経を司る背骨(脊柱)をねじることで、自律神経のバランスを整えてくれるポーズです。また、腹部への優しい刺激によって、副交感神経を優位にし、ストレスによって低下した胃腸の働きを回復したり、浅くなった呼吸を改善する、疲労回復に効果的なポーズです。

軽減ポーズ
膝が床につかない、またはついていても身体の緊張が取れない場合には、膝から太ももにかけてブロックか厚く丸めたブランケットを入れて行います。背中が床についた状態で、リラックスしてキープしましょう。
感情のデトックスに役立ち気持ちをリフレッシュさせる
マツヤアーサナ
喉は生活の中で言葉を扱う時に使っているため、基本的に緊張しています。また、精神的な浄化を司る場所として扱われますので、喉から胸を解放することで呼吸器系を活性化させ、排出力を高める効果が期待できるポーズです。

軽減ポーズ
上手く肩甲骨を寄せられず胸が開かない場合には、 ブロックやブランケットを丸めたものを肩甲骨の下に入れてサポートしましょう。また、首に不安がある場合は、後頭部にブランケットを置いて行うか、このポーズは避けるようにします。
高橋エマ
たかはし・えま
ヨガ講師。17年間の女優活動を経て、ヨガ講師に転身。「おやすみ瞑想®︎ヨガニドラー指導者養成講座」主宰。 月の満ち欠けに合わせた生活で心と体を整える「癒しの月ヨガ®︎」を考案し、その魅力を伝えている。ヨガ専門誌での監修・出演、数々のヨガイベント出演のほか、Voicyパーソナリティとしてガイド瞑想を配信中。 ヨガと瞑想を通して健やかさを育むサポートをすることをライフワークとしている。
取材・文:高野真利 撮影:中原義史