「細くなりたい。とにかく脚をなんとかしたい」
そんな一心で始めたダイエット。しかし、極端な食事制限や有酸素運動では思うような変化が得られず、何度も挫折を繰り返していたという伊澤奈七子(いざわ・ななこ/27)さん。そんな伊澤さんが筋トレに出会い、27歳で挑んだ初めてのコンテスト『サマースタイルアワード 関西新人類&ROOKIE CHALLENGE CUP 西日本予選』では、ルーキービューティーフィットネスモデルとビューティーフィットネスモデルの2部門で3位入賞を果たした。
伊澤さんがボディコンテストに出場するきっかけは、通っていたジム『RETIO BODY DESIGN』のスタッフ、AYAKOさんのひとことだった。
「最初はコンテストへの興味は全くなかったのですが、『絶対大会出た方が良いよ!いけるから!』って何度も言ってもらって、少しずつ気持ちが前向きになったんです。それまではなんとなくジムに通っていたけど、大会に出るという目標ができてから、トレーニングにも食事にも真剣に取り組めるようになりました。今では、背中を押してくれたことに本当に感謝しています」
週5で働く歯科衛生士の仕事と、ハードなトレーニングの両立は簡単ではなかった。だが、平日は仕事終わりに1時間半のトレーニング、週2回は昼休みにポージング練習と、時間を作るのではなく組み込む工夫で乗り越えていった。
食事は『我慢』ではなく『整える』
食べることが好きだからこそ、無理な我慢は続かない。伊澤さんが意識しているのは『整える食事』だ。
「毎食たんぱく質は必ず取ります。鶏胸肉、納豆、卵、オイコス(無糖)とかが定番ですね。炭水化物はさつまいもや玄米などGI値の低いものを選んで、血糖値の急上昇を抑えています」
さらに彩りやバランスにも気を配る。野菜や海藻、味噌汁やもずくスープも取り入れ、食べる量ではなく満足感を大事にしている。
「朝食はオートミール、オイコス、バナナ、ピーナッツバター、昼食は玄米、鶏胸肉、納豆、ゆで卵、もずくスープ、夕食は玄米、鶏胸肉、サニーレタス、味噌汁といったパターンが多かったです。『減らす』という考えから『整える』という考えに切り替えてから、体調も見た目も安定してきました。昔は、食べるのが怖くて、食べたら太るって思ってました。でも今は違います。筋肉はちゃんと食べて、ちゃんと動けば、絶対に応えてくれるって実感しています」
筋肉がついてきたことで、ただ細いだけでは出せなかった身体のラインが出て、自分の身体を好きになれた。3~4カ月で服のサイズが変わり、周囲から「引き締まったね」と言われるようになったことも自信につながったそうだ。
「以前はとにかく細ければ正解だと思っていました。でも筋トレを通じて、自分の理想が変わりました。トレーニングにハマった今は『細さ』ではなく『強さ、しなやかさ、メリハリ』を大切にしています。もし、今も過度なダイエットで苦しんでいる人がいたら、一度筋トレを取り入れてみてほしいです。ちゃんと食べながらでも身体は変えられるし、心まで変えることができる。私はそう実感しています」
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
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取材・文:柳瀬康宏 写真撮影:岡 暁
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBFやマッスルゲートを中心に、毎年ボディコンテストに挑戦中。
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