5月31日、神奈川・カルッツかわさきで、40歳以上の“筋肉の祭典”『マスターズカップ2025 produced by SUMMER STYLE AWARD×MUSCLE GATE』が開催された。
トレーニング初心者でも参加しやすいボディコンテストとして人気を集める『SUMMER STYLE AWARD(サマスタ)」と『MUSCLE GATE(マッスルゲート)』の初コラボが実現した今大会。その注目度の高さから男子6、女子5の計11カテゴリーに精鋭が集い、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。
今回紹介する香原睦美(こうはら・むつみ/59)さんは2部門にエントリーし、モノキニ50歳以上の部で優勝、ウーマンズレギンスフィットネス50歳以上の部で4位入賞を果たした。
「ふだんはレギンスでトレーニングしているので、もともと大好きなカテゴリー」というレギンス部門に加え、昨年からモノキニ部門にも挑戦を始めたそうだが、挑戦の理由は意外にも“音楽”がきっかけだったという。
「友人がサマスタでモノキニ着用のカテゴリーであるビューティーフィットネスモデル部門に出場し、応援に行ったのですが、そのとき流れていたBGMが本当に素敵で。それ以来、頭に焼き付いて離れず、自分もあの音楽をバックにステージに立ってみたいと思うようになりました」
最初は勇気がいったというハイレグのモノキニも、「思い切って一度大会に出てみたら、そこからは大丈夫でした(笑)。やはり女性らしいカテゴリーですし、何より大好きな音楽に乗せて自分を表現できることが楽しいです」と、今ではステージを心から楽しんでいる様子が伺える。
香原さんがトレーニングを始めたのは、今から6年ほど前のことだ。
「最初は本当にお遊びのような感じだったんです。結婚式をあげる娘が『ウエディングドレスをきれいに着たい』というので、『それには身体を動かすしかないよ。一緒にやろうよ』と。それで、一緒に自宅トレーニングをするようになったんです」
娘さんは結婚後、トレーニングから離れたものの、香原さん自身は自宅トレーニングからグループトレーニングを経てトレーナーとの本格的なジムワークに移行。「もう少し鍛えたら大会に出られますよ」というトレーナーの言葉を励みにトレーニングを続け、3年前からはコンテストへの出場も果たすようになった。
「段階を踏みながら続けていくうちに、どっぷりハマってしまいました。大会にも出始めた私を見て、娘は呆れて笑っています」と苦笑する香原さんだが、今では介護支援専門員(ケアマネージャー)としての日々の仕事とトレーニング、そしてコンペティターの活動をしっかり両立させている。
「トレーニングをすることで、仕事とプライベートをきっちり切り分けられるのが大きいですね。それが気持ち的にも、とてもプラスになっているんです」
仕事での責任と、トレーニングで培われる心身の充実感が、香原さんの活力の源になっているのだろう。オンオフの切り替え以外にも、マスターズ世代でのトレーニング習慣は得るものが大きいと語る。
「身体を動かしていると、この年齢でも痛いところもなければ、お薬も飲んでもいないですし、トレーニング後のスッキリ感も最高です。何かスポーツをやってみようかなと迷っている方にはお勧めしたいですね」
トレーナーやポージングのインストラクター、応援を惜しまないトレーニング仲間など、周囲の温かいサポートがあるからこそ、日々楽しく頑張れるという香原さん。ボディメイクを継続するコツについて、仲間や適切な指導者との出会いのほかに「目標を持つこと」の大切さも付け加えた。
「私の場合、大会に出て入賞したいなというのが大きな目標になっていますが、『そこまでは……』という方もきっと多いと思います。でも少しでも女性らしさを持ち続けていくには、やはりどんなことでもいいので目先の目標を作って、少しずつでもトレーニングしたり、食事を気をつけたりしていこうと思っています」
香原さんの活躍は、年齢を重ねるごとに新しい自分に出会えること、そしてフィットネスが人生を豊かにする力を持っていることを私たちに教えてくれる。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:藤村幸代 撮影:中島康介