フィットネス HYROX

一人でも仲間とでもHYROX——苦しいのにやめられないレースにハマる理由【HYROX WARRIORS no.17】

世界的に話題のフィットネスレース「HYROX(※)」で活躍する選手に迫るコーナー。第17回は、現役フィットネストレーナーで、横浜大会ではシングルとリレーの2カテゴリで奮闘した野中柚紀(のなか・ゆき/28)さんを紹介する。

※「HYROX(ハイロックス)」とは、ランニングとフィットネス種目を組み合わせた新しいスタイルの競技。1kmのランニングと、8種目のファンクショナルトレーニング(機能的全身運動)を交互に繰り返すことで、筋力や持久力だけではなく、さまざまなフィットネスに関する能力が問われる。

【写真】苦しいレース中も楽しむ姿を忘れない笑顔の野中さん
野中柚紀さん

世界を体感して知った競技のリアル

野中さんがHYROXという競技を初めて意識したのは、ちょうど日本でも話題になり始めたころだった。

「知り合いから『HYROXっていうレースがあるらしいよ』と聞いて、純粋に面白そうだなと思ったのがきっかけでした」

第一印象は、“Spartan Race”と“CrossFit”のちょうど中間。走るだけでも、筋トレだけでもない。その両方を求められる点に、競技者としての好奇心がを強く刺激したという。

「2024年5月に初めて台北でレースに挑戦しました。正直、そのときは普段通りCrossFitをやっていれば大丈夫だろう、という謎の自信がありました(笑)」

特別な調整や対策はせず、いつも通りのCrossFitトレーニングのみで挑戦。しかし、実際のレースは想像以上に過酷だったという。

「特に印象に残っているのはスレッドプルです。かなり時間もかかりましたしキツかったです。今でもまだまだコツが掴みきれていない感覚があります」

一方で、ランジやウォールボールは、普段扱っている重量より軽かったこともあり、かなりの手応えも感じられたという。

HYROXが教えてくれた支え合う強さ

2025年の横浜大会ではシングルとリレーの2カテゴリに出場。台北大会の経験を踏まえ、ランニング練習も少し取り入れたものの、トレーニングの軸は変わらずCrossFit。

「シングルのレース中は本当にきつくて、『もう二度と出ない!』って毎回思いながら走っています(笑)。でも、ゴール後には大きな達成感があり『また挑戦したい』という気持ちが自然と湧いてくる。気づけばすっかりHYROXの虜ですね」

一方で、リレーにはシングルとはまったく異なる魅力があった。

「楽しさだけで言えば、1人よりもみんなで参加した方が圧倒的に楽しいです。一人だと挫けそうになる場面でも、みんなのためなら頑張ろうと思えますし、全力で戦う仲間の姿は、それだけで心が動かされます」

ただし、ダブルスやリレーならではの難しさもある。

「得意・不得意の種目がメンバー内で偏っていたので、誰がどの種目を担当するか決めるのに時間がかかりました」

“チームで戦う”からこそ生まれる調整や葛藤。そのプロセスもまた、HYROXの醍醐味だ。

なぜかやめられないHYROX

8種目の多くが下半身に強い負荷をかけるため、競技そのものが“下半身強化トレーニング”になっていると野中さんは感じている。

「走力とフィジカル、どちらもバランスよく必要なレースだと思います。普段ランをやっている人はワークアウト種目を、CrossFitなど高強度トレーニングをしている人はランを多めに取り入れるのがおすすめです。私は走る練習をちゃんとやらなかったので、本番はランでかなり苦労しました(笑)」

一方、リレーであれば2kmのランと2種目のワークアウトと、体力に不安がある人も挑戦しやすい。カテゴリや年齢別の区分もあり、幅広い層がチャレンジできるのもHYROXの魅力。

だからこそ、野中さんのように“気づけばハマっている”人が後を絶たない。

「次は大阪大会にミックスダブルスで出場します。1時間15分以内のゴールを目指して頑張ります!」

走って、持ち上げて、引いてまた走る。レース中は何度も限界を感じるのに、ゴールをすれば「またやりたい」と思い、気づけばまた次のスタートラインを思い描く。

速さや強さだけではなく、やり切る力が試される——それこそがHYROXだ。

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文:林健太 写真提供:野中柚紀

執筆者:林健太
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。HYROX横浜はシングルプロで出場。

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