ウエイトトレーニングの基本と聞けば、多くの人の頭にはBIG3が思い浮かぶだろう。バーベルを使ったシンプルな動きに見えるが、正しく身体を動かすためにはいくつものポイントを押さえることが不可欠だ。今回は、そんなBIG3について、競技者としてもトレーナーとしても活躍する久野選手に解説していただいた。これを読めば、あなたのBIG3の解像度が上がること間違いなし!
取材 ・文:舟橋位於 撮影:中原義史 Web構成:中村聡美

BIG3から得られる2つのベネフィット
BIG3はさまざまなレベルのトレーニーにおすすめできる種目です。そしてその中でも、初心者にこそBIG3をおすすめしたい理由が2つあります。
1つ目は、BIG3では動員される筋肉の数が多いことです。ベンチプレスなら上半身の筋肉、デッドリフトやスクワットでは下半身、また3種全てで体幹部の筋肉が使われることになります。動員される筋肉が多いということは、これらの種目を行うだけで、効率良く全身を鍛えることができるとも言い換えられます。
もちろん、ボディメイク競技に取り組んでいて、特定の部位を集中して鍛えたい場合はそれだけでは足りませんが、そうでなければ、BIG3だけでも十分に身体を鍛えられます。
初心者にBIG3をおすすめしたい2つ目の理由は、BIG3を通して身体の正しい動かし方や使い方を覚えられることです。人間というものは、意外と思ったように自分の身体を操れていないものです。さらに言えば、うまく動かせていないことに気づいてすらいないこともあるかもしれません。
BIG3では、ウエイトを持った状態で動作をすることになりますが、そのことが身体に対していろいろなことを教えてくれます。今までできていなかった動きができるようになったり、効かせることができなかった部位がうまく動かせるようになったりというのがその例です。難しい種目ではありますが、攻略する価値があるとも言えるでしょう。
フリーウエイトは難しいからと、マシン種目を優先する方もいるかもしれませんが、身体の動きを学ぶという点では物足りないです。マシンは軌道がガイドされているため、力発揮の方向がめちゃくちゃでも、見かけ上はそれなりの動作になります。しかし、これでは身体をうまく使える状態にすることは難しいです。
初心者がBIG3で注意しておきたいポイント
ジムに到着したら即バーベルを持つというのなら、それは少し早いです。ぜひウォーミングアップをしましょう。ストレッチを行ったり、軽く身体を動かす体操をしたりするだけで、その後のBIG3の精度は大きく変わってきます。場合によっては、自分の課題がある部位にアプローチするためのアクティベーションドリルなども効果的だと思います。
とにかく、アップをしてからでないと、BIG3をはじめとするトレーニングの効果を十分に引き出すことは難しくなると知っておきましょう。

BIG3の前段階としておすすめのエクササイズ
BIG3は初心者の段階から取り組んで良い種目ですが、場合によっては、筋力が足りなかったり、BIG3をやるための身体操作が不足していたりすることがあります。そうした場合は、少し難易度を下げた前段階の種目から始めてみると良いかもしれません。
ベンチプレスでバーベルがグラグラしてしまう要因としては、動作中に肩が挙がり、腕だけでバーベルをコントロールしようとしていることが考えられます。肩を安定させた状態で押すことを理解するためには、壁に手をついた状態で行う斜め腕立て伏せがおすすめです。壁という安定した対象に対して、うまく自分の力を伝える方法が分かると良いですね。
スクワットの前段階としては、ゴブレットスクワットが良いです。この種目は、腰が反りにくい点や、地面を踏む感覚が分かりやすい点が優れています。本格的に競技を目指すレベルならば、バーベルのスクワットも取り入れたいですが、一般的な女性が脚を鍛えるのであれば、ゴブレットスクワットをやるだけでも十分過ぎる効果が得られると思います。
最後はデッドリフトですが、この種目は他の2種目と比べるとやや特殊です。それは、腕の長さに代表されるような骨格の違いにより、動作そのものが大きく変わるからです。そのため、体型的に床から引くことの難易度がかなり高くなることもあります。その場合は無理に床引きにこだわるのではなく、ルーマニアンデッドリフトを取り入れるのが良いと思います。これならば、脊柱に強い負担をかけることなく、ハムやお尻、背中に刺激を与えることができます。
基準を達成してからのBIG3との向き合い方
体重による違いはもちろんありますが、男子ならば、BIG3のトータルが450㎏を超えたあたりで次のステップを意識すると良いと思います。その後は、ボディメイクの路線に進んだり、パワーリフティングに取り組んだりとさまざまな道が考えられます。
どのような場合でも注意したいのは、ただ闇雲に頑張るのではなく、どうすればうまくなるかを考えるようにすることです。
また、正解のフォームは個人ごとに変わるものです。何も考えずにトップ選手の真似をするのではなく、動画を見て研究したり、何回か試してみたりして、自分に合うものを取り入れるのが、上達の鍵になるのではないでしょうか。
実践編はこちら!
■スクワット編
https://www.fitnesslove.net/fitnesscategory/muscle-training/160181/
■ベンチプレス編
https://www.fitnesslove.net/fitnesscategory/muscle-training/160183/
■デッドリフト編
https://www.fitnesslove.net/fitnesscategory/muscle-training/160185/
ひさの・けいいち
1982年10月12日生まれ、東京都出身。身長172㎝。パーソナルトレーニングジム「キーフィット」など3店舗を運営。2019・2021年オールジャパン選手権メンズフィジーク40歳未満172㎝以下級連覇。2025年日本クラス別ボディビル選手権75kg以下級5位











