体質改善のサポートは、基本的に4カ月を一区切りにしている。“卒業”と聞くと、「終わり」のように感じるかもしれない。でも、本当は、そこから少しずつ見えてくるものもあるのだと思う。東洋医学には、「誰かに治してもらう」というより、自分の感覚を思い出していくようなところがある。今回は、そんな体質改善の「終わり」に感じたことを書いてみたい。
身体を診ていると、一人で立てるタイミングが来る。サポートの卒業を迎えても、中には一人で乗り越えていけるか、不安が残る人もいるかもしれない。最初は、多くの人が「正解」を探していた。何を食べたらいいのか。どこが悪いのか。何時に寝たらいいのか。もちろん、最初はそういう知識も必要なのだと思う。現代は情報も多く、「身体に良い」と言われるものも溢れている。だからこそ知識が助けになるときもある。でも、本当に大切なのは、「知識を増やすこと」だけではないのかもしれない。
東洋医学は、「管理する」というより、「観察する」という感覚に近い気がしている。身体を無理やり変えるというより、今どんな状態なのかを見つめながら、本来のバランスに戻っていくようなものなのかもしれない。
そんなことを考えていたとき、旅先で出会った一匹の子猫のことを思い出した。
2026年3月、東南アジアのどこかの、ジャングルに住む知人の家に、数日間滞在していたときの話である。そこは養殖をするときだけに使う家らしく、普段はほとんど空き家状態だった。窓やドアは壊れ、壁にも隙間がある。水道もなく、井戸から水を汲んで生活していた。
そんなある日、家の近くで小さな子猫を見つけた。近くに親猫はいない。放っておけなくて、ご飯と水をあげてしまった。迷子の猫は懐き、いつの間にか私の後ろをついて歩くようになった。私はアレルギー持ちなのもあり、猫と触れ合う機会があまりない。子猫に懐かれたこともないので、うれしくて可愛がってしまった。
そしてその夜、悲しい出来事が起きた。猫の叫び声のようなものが聞こえ、外に出てみると、家の前で子猫が血を流して倒れていた。このあたりで一番強い大きな猫に襲われてしまったようだ。首や足を噛まれ、立つこともできない。私は3日間、看病をすることにした。
ご飯をあげて、歩く練習をさせた。でも、面倒を見れば見るほど、その子は自分で動こうとしなくなっていった。ご飯を待ち、守られることに慣れていく。野生には、野生の厳しいルールがある。本来なら、周囲を警戒しながら、生きる力を覚えていかなければいけなかったのに、私がご飯を与え、守ってしまったことで、その感覚が薄れてしまったのかもしれない。
何が正しかったのだろうか。守ることは、本当に優しさなのだろうか。助け続けることは、その子の“生きる力”になるのだろうか。そんなふうに考えていた。私がいる間は、生きられるかもしれない。でも、私がいなくなったあと、この子はどうやって生きていくのだろう。守ることと、生きる力を奪うことは、とても近い場所にあるのかもしれないと思った。
体質改善も、少し重なるところがある。誰かがずっと答えをくれるわけではない。「これが身体にいい」「これをやめたほうがいい」。もちろん、最初はそういうサポートも必要なのだと思う。でも最後は、自分の身体が出している小さなサインに、自分で気づけるようになることのほうが大切なのかもしれない。
身体が変わっていく人たち、安心して卒業していく人たちには、みんな同じような特徴がある。
「昨日より眠れた」
「少し呼吸が深い」
「イライラする時間が減った」
「舌がキレイになっている」
「むくみが取れた」
「かもしれない」でも良い。小さな“できた”を、自分でちゃんと受け取れると、それが少しずつ自信になっていく。足りないものばかりを見続けると、自分の感覚がわからなくなっていく。
ヨガには、「サントーシャ(知足)」という考え方がある。“もっと”と不足ばかりを見るのではなく、今あるものにも目を向けること。「完璧な状態」に執着しないこと。
迷ったら、また現在地を見てみよう。体質改善の「卒業」は、終わりではなく、自分の感覚と一緒に生きていく始まりなのだと思う。
おわりに
アーユルヴェーダとは、「Ayur(生命)」と「Veda(知恵)」を語源に持ち、「生命の知恵」と訳される。医療技術が発展した今、ただ長生きするだけでなく、心も身体も幸せに生きていきたい。アーユルヴェーダは肉体だけでなく、心も一緒に整えていくための知恵なのである。これまで書いてきたことも、特別なことではない。「何かを足す」よりも、今までの生活、感覚を見直してみること。この連載が誰かのきっかけとして届きますように。
〜旅からみえた体質改善〜シリーズは終了。
次回は、《体質改善特別編》として、1年間で18kg減量したTomomiさんのインタビューを2本立てでお届けしたい。
-ライフスタイル, ヨギー
-旅からみえた体質改善





















