8月30日、東京・品川インターシティホールで「筋肉医局祭2026」が開催された。医師、歯科医師、医学生、歯学生100名超がエントリーし、600枚の観戦チケットも完売。ステージでは鍛え上げた身体を競うフィジークだけでなく、3カ月間の減量成果や「動ける身体」まで、多角的な視点から健康を競い合った。公式サイトでは「医療を提供する医師自身が健康になる」「医療業界内でフィットネス文化を創る」を大会テーマとして掲げている。
【写真】ゲストの高須幹弥がステージで披露したバキバキの肉体

「医師が病院の外で健康を発信する時代へ」
今回で第2回を迎えた筋肉医局祭。主催する「筋肉医局」は、ボディメイクコンテストへの出場経験を持つ医師、歯科医師、医学生、歯学生らによる団体だ。
開会式で代表の阿部央聖さんは、現在は国内外約90名のメンバーが活動していると説明した。
「我々のコンセプトは『医師が病院の中で病気を待つ時代から、病院の外で健康を発信する時代へ』というもの。病気になった方を治すには医療が欠かせません。その医療を支えながら、我々医療者が一歩外に踏み出して健康を発信していく。それが、これからの時代の医療者が担える新しい一つの役目ではないかと考えています」
医師自身が身体と向き合い、説得力のある身体で健康を発信する。その理念を形にしたのが筋肉医局祭だ。
会場にはスペシャルゲストとして、美容外科医の高須幹弥さんも登場。ステージ上でダブルバイセップス、サイドチェスト、バックポーズなどを次々と披露すると、絞り込まれた大胸筋や肩、腹部、脚に客席から大きなどよめきが起こった。高須さんは多忙な医師だからこそ運動習慣が重要だとして、
「お医者さんって忙しいんですけど、忙しい合間でも筋トレだったら1日30分、1時間できますので、健康管理のために筋トレを続ける」
と語った。
このほか岡田隆さん、北村舞香さんらも登場。北村さんがステージ上で15秒間の高速腹筋に挑戦し16回を記録するなど、競技だけでなくエンターテインメント性あふれる演出でも会場を盛り上げた。高須さんをはじめとするゲスト陣の参加も公式に発表されていた。
約20kg減量した医師も。完成度だけではなく「変化」を競う

大会の特徴は、筋肉の大きさや絞りだけを評価していないことだ。
ボディメイクカテゴリーにはメンズフィジーク、メンズモデル、女性のエレガンス部門を用意。さらに「動ける身体」を実技で評価するフィットネスカテゴリーと、腹囲、BMI、体重、見た目などの改善を評価するダイエットカテゴリーが設けられている。
とくにユニークだったのがダイエット部門。選手たちは約3カ月間のダイエットに取り組み、ステージ上では実際に体重計に乗ってその成果を披露した。中には期間中に約20kgもの減量を達成した医師も。完成した身体だけではなく、健康のために身体を変えてきた“プロセス”そのものにスポットライトが当たった。
そして大会運営で特筆すべきなのが、アンチ・ドーピングへの取り組みだ。
筋肉医局祭ではアンチ・ドーピングの理念を支持し、一般社団法人日本簡易ドーピング検査協会の協力・介入のもと簡易ドーピング検査を実施。医療者自身が健康を発信する大会だからこそ、公正で健全な身体づくりを重視する姿勢も明確に打ち出されていた。
「健康にする側が健康じゃないと意味がない」歯科医院長がフィジーク優勝

センターが水谷先生
ドクターズフィジークで頂点に立ったのは、オーキッド歯科・矯正歯科 田町院の院長を務める水谷聖人(みずたに・きよと/37)さん。
診療時間は10時から19時。さらに5歳、4歳、2歳の3児の父でもある。仕事が終わればできるだけ早く帰宅し家族との時間を確保するため、トレーニングを行うのは13時から14時30分の昼休み。週6日の診療日に合わせ、週6回ジムへ通って身体を作り上げた。
機械体操、水球、ラグビー、アメリカンフットボールなどのスポーツを経験し、本格的な筋トレ歴は約10年。過去には他団体のボディメイクコンテストにも挑戦してきた。
今回の大会への思いを尋ねると、水谷さんはこう語った。
「患者さんを健康にしていくというところで、健康にする側が健康じゃないと意味がないと思うんです。医療従事者の中で健康やフィットネスの輪をどんどん広めていく。それが結果的に患者さんを幸せにするのかなと思います」
歯科医師としても、ボディメイクとの共通点を感じている。
「口腔、歯って健康の入り口になるので、全身につながる大事なところです。口をきれいにしても、身体も健康じゃないと意味がない。すごく通じるところがあると思っています」
筋肉を競う医師、約20kgの減量を成し遂げた医師、限られた昼休みに身体を鍛え続ける歯科医師――。白衣を脱いだ医療者たちがステージ上で示したのは、筋肉だけではない。
「健康を伝える側が、まず健康である」。
100名を超える医療者たちの挑戦は、「病院の外で健康を発信する」という新たな医療者像を、何より雄弁に身体で表現していた。
文・撮影:FITNESSLOVE編集部










