「疲れが取れてすぐではなく、身体と心に少し余裕ができてからトレーニングするようにしています」
8月30日(日)広島県で開催された『JBBF第38回日本マスターズボディビル選手権大会』。40歳以上のボディビルダーたちが年代別に鍛え上げた肉体を競う全国大会の60歳以上級で2位に輝いた玉井正宏(たまい・まさひろ/61)選手はそう語る。
【写真】これが61歳の身体⁉︎バッキバキに絞れた筋肉に迫力あるポージングを見せる玉井正宏選手

玉井選手は身長165cm、コンテスト時の体重は約68kg。トレーニング歴は21年に及び、過去には大阪ボディビル選手権優勝、西日本ボディビル選手権優勝、日本マスターズ選手権2連覇、さらに世界マスターズ3位という実績を持つ。
そんな玉井選手にとって、今回の大会には特別な思いがあった。
「去年、6年ぶりに大会復帰して、紙田(由起夫)選手という素晴らしい選手に敗れて悔しかったので、この一年は勝つためにやってきました。しかし今年も紙田選手が優勝となり、結果が出なかったことは残念ですが、いろいろと学ぶことの多い一年、大会になりました。学んだことを今後の糧にしたいと思っています」
「疲れが取れたから、すぐトレーニング」ではない
20年以上トレーニングを続けている玉井選手だが、年齢による身体の変化は確実に感じているという。
「やはり感じます。回復するスピードや食欲、それから身体の反応が悪くなっている感じがあります」
若い頃と同じような練習量、頻度を続ければいいわけではない。
そこで現在は、トレーニング量や休養日の設け方、食事のコントロールを以前にも増して意識している。中でも特徴的なのが、トレーニングを再開するタイミングだ。
「身体と心に少し余裕ができてからトレーニングするようにしています。疲れが取れて、すぐにはやらないようにしています」
一般的には「疲労が抜けたら次のトレーニング」と考えがちだが、玉井選手はさらに一段階待つ。
疲労がゼロになった瞬間ではなく、そこから身体にも気持ちにも余裕が生まれてから再び鍛える。
「そうすると、パフォーマンスが上がりました」
年齢とともに低下する回復力に対して、無理にトレーニング量を増やすのではなく、“質の高い状態でトレーニングする回数を増やす”方向へと考え方を変えているのだ。
時間が取れる日には、マッサージガンで全身をほぐすなどしてセルフケアにも約90分を費やすという。
トレーニングそのものだけではなく、次のトレーニングで高いパフォーマンスを発揮するための準備まで含めて身体づくりと考えている。
筋肉を維持するために必要なのは「刺激・休養・食事」
玉井選手が筋肉量を増やし、維持するうえで意識していることはシンプルだ。
「対象部位への刺激と休養。それから適切な食事です」
普段の食事では、白米を主食に、鶏肉や牛肉、卵、サバ缶などからタンパク質を摂取。野菜に加え、納豆、キムチ、味噌汁、梅干し、ぬか漬けといった発酵食品も積極的に取り入れている。
特別な食材に頼るのではなく、日常的に手に入る食品を中心に組み立てる。
長年競技を続けてきた選手だからこそ、身体作りは一時的なものではなく継続できる生活の中に組み込まれている。
「やはりビルダーである以上、バルクアップが目標です」
年齢を重ねれば、回復は遅くなる。食欲も身体の反応も若い頃とは変わる。
それでも、「もう年だから」とトレーニングをやめるのではなく、自分の身体に合う方法へと変えていけば良い。鍛えることと同じように、休むことにも技術がある。
61歳の玉井選手が今なお筋肉を大きくしようと挑み続ける姿は、年齢に合わせて方法を変えることが、長く成長を続けるための一つの答えであることを教えてくれる。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
執筆者:柳瀬康宏
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。
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取材・文:柳瀬康宏 写真:中原義史
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