スポットライトを跳ね返す白肌の極太脚に会場が沸いた。2026年、怪我による3年の競技離脱を経て、初挑戦のウェルネスで日本女王の座へ駆け上った、堀田美知子選手。「使用重量は全盛期の半分」「週に1〜3日のトレーニング」で筋肥大を可能にした脚トレに迫る。
取材・文:にしかわ花 大会写真:中原義史 トレーニング写真:北岡一浩 撮影協力:エニタイムフィットネス新御徒町店 Web構成:中村聡美

2026年オールジャパンウェルネス163㎝以下級優勝
2026年スポルテックカップウェルネス優勝
堀田美知子
━━「3年ぶりの競技カムバックかつ新カテゴリーに挑戦」というプレッシャーの中、初戦のスポルテックカップで優勝、さらにオールジャパンで身長別日本一を戴冠という鮮烈な復活劇でした。今回は、特に進化を遂げられた脚トレを軸に、堀田選手のトレーニングの原点や人となりも含めてお聞きできればと思います。
堀田 よろしくお願いします!

2026年7月のスポルテックカップウェルネス優勝。3年ぶりのコンテストで、ウェルネス初挑戦にしていきなりJBBF主催大会の頂点に立った

スポルテックカップの約2週間後のオールジャパンウェルネスでも163㎝以下級優勝。その後のオーバーオール戦に進出した(写真中央)
ダイエットとマラソンから始まったトレーニング
━━まず、トレーニングを始めたきっかけをお聞かせください。
堀田 13年ほど前に始めたのですが、ダイエット目的でした。友人がジムに通い始めてすごくスタイルが良くなったのを見て刺激を受けまして。当時はあまり自覚がなかったのですが、結構丸々としていたんですよ(笑)。
━━現在の姿からは想像がつきませんね。
堀田 体重自体は今とほぼ変わらないんですが、筋肉が本当になかったので全然体型が違いますね。
━━スポーツ歴として、2018年にコンテストデビューをされ、2023年に一旦退かれるまでの間、一時期はマラソンも並行されていたと聞きました。

初コンテストは2018年のベストボディ・ジャパン長崎大会。準グランプリを獲得
堀田 はい、マラソンが好きで2020年まで地元・福岡の市民マラソン大会に5年間、毎年出場していました。その頃の脚トレはバーベルやスミスマシンでのスクワットをメイン種目にしていたのですが、「マラソンでバテないための足腰の補強」としてトレーニングをしていた側面が強いです。

過去5年ほど続けた趣味のマラソン。2017年にはフルマラソンを4時間24分で走破した
━━マラソンの補強としてのスクワット!意外なルーツです。
堀田 そのうちスクワット自体が好きになりすぎて、ビキニ時代はずっと「脚が太すぎる」と言われていました(笑)。脚の太さは生まれ持った素質も大きく、ずっとコンプレックスだったのですが、それを魅力として見てもらえるカテゴリーができるなら、とウェルネスへの挑戦を決めました。
筋肥大を加速させた3つのトレーニング変革
①股関節優位の動作習得
━━競技を離れていた理由は、腰と膝の大きな怪我(仙腸関節症・変形性膝関節症)とお聞きしています。
堀田 はい。何日も眠れないほど痛み、トレーニングどころか仕事にも支障が出てしまって。「もう競技への復帰は無理かもしれない」と本気で落ち込みました。
━━日常に支障がある状態から、どうやって現在の下半身をつくりあげたのでしょうか。
堀田 身体の使い方を見直して、トレーニングメニューを一新しました。高重量でガムシャラにやることができなくなったので、中重量でも筋肉への刺激をしっかりと感じられるようにフォームを一から覚え直しました。たとえば、以前はスクワットなどの屈曲動作の初動が膝になってしまう癖があり、負荷の偏りや関節の負担につながっていました。そこで、スクワットへのこだわりを一旦捨て、レッグプレスやVスクワットといった、股関節優位で動作しやすいメニューへとメイン種目を代替しました。
━━最初にアブダクション/アダクションを入れる理由は?
堀田 股関節まわりをしっかり動かし、可動域を広げて温めてからメイン種目に入ることで、股関節からの屈曲がよりしやすくなるからです。

アダクター、アブダクターを第1種目に。「股関節の動きと内転筋への意識を癖づけるために最初に行っています」(堀田)。どちらも40㎏前後で8〜14レップ、3セットずつ
━━メイン種目のレッグプレスで重視するポイントは?
堀田 足のスタンスを「ナロー」「ミドル」「ワイド」の3種類、置き位置の高低を組み合わせて変えることで、殿部から大腿部全域まで満遍なく刺激が入るようにしています。動作で意識しているのは、「胸につくギリギリまで下ろすフルストレッチ」と「膝をロックしない(伸展させ切らない)こと」です。

堀田選手の脚をつくったメイン種目のレッグプレス。ナロー、普通、ワイドの3つのスタンスで、いずれも胸まで脚がつくほどストレッチをかける。153㎏(マシン重量込)で10レップ前後。堀田選手は自らを「感覚派です」と言い、セット数やレップ数はほぼ数えていないという
━━特に強みとして目立った外側広筋の張り出しは、意図して狙ったのでしょうか?
堀田 あえて狙ったわけではないんです。実は私、公共交通機関が得意ではなくて、どこへ行くにも自転車なんです。2時間程度の移動なら平気で漕いでしまうので、(外側広筋の)発達を後押ししてくれたのかもしれません。
②舌の位置と腹式呼吸による体幹の強化
━━こういったメニューの見直しや身体の癖の修正は、ご自身で?それとも指導を受けられた?
堀田 最初の2年ほどは自分で試行錯誤していたのですが、ウェルネスを本格的に目指そうと考えた1年前から、ボディビルダーの渡邉怜央選手のパーソナルトレーニングを受けています。パーソナルは大きな転機になりました。私は、もともと考えるより根性論でガンガンやるタイプだったのですが、渡邉選手は真逆の理論派で、フォームから呼吸までマニアック過ぎるほど細かく指導していただいてます。
━━マニアック…。たとえば?
堀田 一番驚いたのは、「舌の位置」ですね。上あごの少し凹んでいる部分に舌を引っかけるように固定してセットに入るんです。そうすると首と上半身が驚くほど安定し、上半身がブレずにしゃがみ込めるようになりました。
あと、コンディショニングになるのですが、起床時と就寝前にヨガの「猫のポーズ」で腹式呼吸を行っています。下腹部に入るような深い呼吸ができるようになったことで、踏み込みの出力が格段に上がりました。
③重量とトレーニング頻度の低下をボリュームでカバー
━━現在の使用重量は、高重量を求めていた時期と比較してどの程度に抑えていますか?
堀田 スミススクワットがマックス90㎏から40㎏、レッグプレスがマックス300㎏から160㎏なので、最盛期のほぼ半分です。

スミスマシンスクワット(第2種目)。ハイバーで担ぎ43.6㎏(マシン重量込)3セット、53.6㎏で3セット。8〜15レップ。母趾球、小趾球、かかとで踏むことを意識
━━その分、セット数が最低4セットから10セットとボリューミーになった。
堀田 そうですね。あとは、ジムに行けるのが多くて週に3日、難しいと2週間に1日という時期もあります。トレーニング頻度に波があるため、できる日は時間やセットの上限を決めず、「立てなくなるまでやる」と決めています。脚の日は最低2時間半から3時間、他の部位の日にも必ず1〜2種目は脚の種目を足して強化をしています。

最終種目のVスクワット。74.5㎏(マシン重量込)で10レップ前後、3セット。後ろ向きなのはマラソンで痛めた膝に負担がないようにするため。股関節主動で163㎝超級優勝土屋縁殿部を狙っていく
━━くじけそうな逆境を機に、さまざまな変革に挑戦されてきたことがとても伝わりました。
念願の勝利と反省「今後の大きな一歩」
━━では最後に、3年のブランクを乗り越えて躍進を遂げた今シーズンの振り返りと、今後への意気込みをお聞かせください。
堀田 仲間たちとトレーナーさんに報いたい気持ちが、今後の大きな一歩となる僅差の勝利を支えてくれました。また憧れの大谷美咲選手をはじめそうそうたる方々と並べ、夢のような時間でした。オールジャパンにピークを合わせられなかったこと、筋量・丸み・厚みと改善点ばかりなので精進いたします。
肌の白さに関しては、日焼けでコンディションを崩してしまうため可能な範囲で努力はしつつも、「これが堀田」と見ていただけると幸いです!
ほりた・みちこ
1985年10月22日生まれの40歳。福岡県出身。身長158.2㎝、体重49〜51㎏(オン)、58〜60㎏(オフ)。タイ古式マッサージセラピスト兼指導員。2023年関東フィットネス選手権ビキニフィットネス35歳以上160cm以下級5位。2026年スポルテックカップウェルネス優勝。2026年オールジャパンウェルネス163㎝以下級優勝










