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コロナ禍の濃厚接触者隔離や大切な人の旅立ちを乗り越えて女子筋肉界の高みえ【矢野かずみ】

数多くのドラマが見られた昨年の日本選手権。選手たちはどのような思いで、あの日のあのステージに上がったのか。ここでは男子ボディビル、女子フィジークの各2位から12位までの選手を単独取材。感動の舞台裏に迫る。

矢野かずみ選手

取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介

2021年女子日本フィジーク選手権大会6位・矢野かずみ「いろいろありましたが出場できてよかったです」

今年は8月8日のジャパンオープンがシーズンの初戦になるはずでした。しかし直前に新型コロナの濃厚接触者になってしまい、2週間の隔離生活を送ることになり、ジャパンオープンの出場は見送ることになりました。その隔離生活が8月15日に明けて、仕事に復帰したのが8月18日。その3日後の21日が東京選手権でした。ずっと自宅の中だけで過ごしていたのですごく疲れやすい身体になっており、その日は自分の体力が最後まで持つかが心配でした。
そこからは、オールジャパン選手権、グランドチャンピオンシップスに向けて徐々に本調子に戻していき、日本選手権にピークを持っていこうと考えました。ですが、東京選手権の翌日に父親が亡くなったんです。そこから家庭のことでいろいろとやらなければいけないことがあり、また日本選手権の3日前に四十九日法要があったりと、例年よりも十分なトレーニングができない状況になりました。ただ、日本選手権というのは1年の中でのビッグイベントで、私はそこで結果を残したいという気持ちが強かったです。また昨年は大会が全くなく、今年も大会に出ないとなると目標を失ってしまい、トレーニングやボディビルに対するモチベーションが下がってしまうと思いました。いろいろとありましたが、この2年間やってきたことを確かめたいという気持ちもあり、予定していた試合は出場したかったです。
ただ、2019年と比べると筋量は落ちていたと思います。本来はもっとバルクアップしなければいけないのに、実際に身体がしぼんでしまったような感覚はありました。できるだけ筋肉の張りを戻したかったんですが、結局、戻りきりませんでした。それでも順位が前回と変わらなかったのは、上位の選手の方々が今年は出場していていなかったからだと思います。ですが、結果的に日本選手権に出場できて良かったと思います。次第に体調も良くなって、オールジャパンよりもグラチャン、グラチャンよりも日本選手権とコンディションも上がっていました。これが来年につながる経験になればと思います。上位陣との壁の厚さを感じたので、その差を埋めていきたいです。

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