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「ボディビル大会で得られる恩恵」日本最大級の肉体美持つ井上浩が告白

コンテストキャリア30年以上のベテラントップビルダー、井上浩選手はトレーナーとして関西地区のゴールドジムにてポージングアカデミー(ポージングのクラスレッスン)を開催している。現役選手として、そして指導者として。井上選手が考えるマッスルゲートの楽しみ方とはいかなるものか。

取材:藤本かずまさ 写真:中島康介

「大会に遠征している自分にアスリート性を感じるかもしれません」

――マッスルゲートは初心者のトレーニーにも門戸を開いた、誰でも出られる大会です。
井上 トレーニングでボディデザインをすることでさまざまなメリットを得られます。そのボディデザインで得られるメリットのひとつに‟コンテスト”があります。ただ、これは私の考えですが、フィジーク系コンテストは主観競技なので、自分の努力と大会結果が比例しないこともあります。そこに全てを注ぎ込むと、望んでいた結果を得られなかったときの落胆が激しいんです。私はトレーナーとしてゴールドジムに勤務していますが、お客様の背中を押す際には、コンテストありきのご案内はしないようにしています。あまり気負い過ぎないようにとお伝えしています。
――「気負い過ぎない」と「勝ちたい」の精神的なバランスはどのように図ればいいのでしょう。
井上 私はポージングの指導もさせていただいているのですが、そうした心構えをお伝えしつつ、良い成績を残すための最善のアドバイスはしているつもりです。できるだけ良い成績を残していただくために、厳しいことを言わせていただくこともあります。
まずは、どうすれば勝てるのか。その部分については「私にお任せください」と伝えます。私はミスター大阪を獲るような選手も育ててきました。私のポージングアカデミーの生徒さんたちは、良い成績を残されています。そういう実績があるので、私を信じてくださいとお伝えします。

――コンテストを経験された方は、そのあとトレーニングとの向き合い方も変わってくるものでしょうか。
井上 私の経験上、例えば予選から決勝に進出できるのが上位6名だったとすると、その6人の枠に入るか、入らないかのボーダーラインでピックアップされるところまで行くと、仮に決勝に進出できなかったとしても、手応えは感じていただけるようです。筋量がまだそれほど多くなくても、きっちり絞ってきた方は、審査員の目に止まりさえすれば、ピックアップで呼び出してもらえるはずです。そこで仮に決勝に行けなかったとしても、僅差だったということは感じられます。ただし、そこまで行くにはご本人のヤル気が重要になってきます。
――コンテストを楽しめるレベルに行くまでは、頑張りが必要というということですね。
井上 私のポージングアカデミーに顔を出していただいている方は、個人競技ではあるんですが、戦友意識や仲間意識をお互いに持って、みんなで頑張る楽しさを体験していただきながら、初めてのコンテストに臨んでいただきたいと思っています。
――まさに、‟大人の部活動”です。
井上 そうですね。日頃はみなさん、社会人として働かれて、それぞれの世界で頑張られています。ここでは学生時代のクラブ活動のような気持ちに戻っていただいて、みなさん和気あいあいとした雰囲気で取り組まれています。
――また、学校を卒業して大人になって、仕事以外で「頑張ってください」と応援してもらうことはなかなかないものです。
井上 私も以前はサラリーマンをやりながらコンテストに出て、日本代表選手として海外遠征なども経験するようになりました。その時代に、片やサラリーマンとして働きながらも、このボディビルのステージには私の違った顔がある、というシチュエーションに面白味を感じていました。これは社会人になって、スポーツというものから長く離れて暮らしていると、想像しづらい世界だと思います。ですが、今回をきっかけにフィジーク系競技を始めて、それこそゴールドジムジャパンカップに出場するようになったら、その大会に遠征している自分にアスリート性を感じるかもしれません。
――その登竜門となるのが、マッスルゲートですね。
井上 私たちがボディビルを始めた時代にはマッスルゲートのような大会はありませんでしたが、私も最初は今回初めて大会に出られる方と同じように門をくぐって、そこから昇っていき、さまざまな恩恵を肌で感じてきました。みなさんにも、私が経験したように、コンテスト出場に限らず、身体を鍛えることのさまざまな恩恵を受けていただきたいと思います。そういったことを伝えていくことが、私がボディビルという競技に対する恩返しだと思っています。


井上 浩(いのうえ・ひろし)
ゴールドジムアドバンストレーナー
2002年ジャパンオープンボディビル選手権優勝し、1999年から17年連続日本クラス別ボディビル選手権90kg級優勝。
主な戦績:
1991年尼崎選手権ミドル級2位
1997年関西選手権優勝
2000年日本選手権9位
2001年世界五大陸男子アマチュアボディビル選手権90㎏以下級6位
日本クラス別選手権18回優勝


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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