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余命3カ月宣告 体力アップのために筋トレ開始→コンテスト出場 「デビュー戦は悔しくて泣きながら電車で帰った」【私のコンテストデビュー】

ボディメイクコンテストに出場するきっかけは様々だ。ステージに憧れて、ダイエットの目標として、人に勧められて。高橋貴美子(たかはし・きみこ/53)さんの場合は大病を患ったことがきっかけだった。『元気があれば何でもできる!』を体現する高橋さんにデビュー戦のときの話を聞いた。

【写真】高橋貴美子さんの堂々としたポージング

2021年夏、高橋さんにとって青天の霹靂としか言いようのない出来事が起こった。

「乳がんを患い、ステージ4で余命3カ月宣告を受け、しかも病気の影響で頚椎損傷まで起こしました」

衝撃の宣告を受けて高橋さんが選んだのは筋トレだった。

「処方された分子標的薬が私のがんによく効いてくれたおかげで、症状が大幅に改善されました。2021年の秋、頚椎損傷の手術後の経過が思ったよりも良く、体力アップとリハビリを兼ねてトレーニングを始めました。筋トレで体力がついたことも薬の副作用軽減など治療の大きな後押しになりました」

さらに高橋さんは「トレーニングができるまで回復したので、何かこんなに元気になったという自信を持てるようなトレーニングの目標がほしいと思い、出場を決めました」と、ボディコンテストに挑戦することにした。

デビュー戦まで体調不良も頻繁に起こり、トレーニングもままならないこともあったようだが、有言実行、2年後の2023年にマッスルゲート奈良でコンテストデビューを果たした。

「初めてのことだらけで勝手も分からず控室からすごく緊張しました。周りの方たちは大会慣れしているようで何かとんでもないところに来てしまった感さえ覚えました」

マッスルゲートはエントリー数300を超える選手層が厚い大会。高橋さんが出場したウーマンズレギンス50歳以上級は、マスターズのカテゴリーにもかかわらず12名ものエントリーがあり、決勝に進めるのは6名だけだった。

「調整が上手くいかず体調不良の中でのデビュー戦となりました。さらにには、頑張って意識しているのに頚椎損傷の影響ですごく姿勢が悪く見えたり、悔しい思いと改善点が盛りだくさんのステージとなってしまい泣きながら帰りの電車に乗りました」

ステージ上ではアクシデントもあった。

「隣の方が舞台袖に戻されたりして慌しい雰囲気にのまれて、私まで真っ白状態になってしまいました」

予選敗退で悔しくて泣いてしまうとは、高橋さんのコンテストにかける思いは相当強かったのだろう。

「こんなに悔しい思いをするのはいつ以来だろうと思うほどにただただ悔しくて、身体が動かないことも含めて不甲斐なくて、でもこのまま終わりたくないから、次の大会も頑張ろうと心に決めました」

思うようにいかないことがあっても諦めずに次を目指していく向上心を感じた。

「コンテストデビューをして、大会での目標が見つかったこととトレーニングのモチベーションがさらに高まったことが良かったことです。なお、検査数値は腫瘍マーカー含めて全て正常値になりました」

現在も乳がんステージ4の治療を続けながらコンテストに出場する高橋さんから最後に「失敗しても大丈夫。今まで頑張って来たんだし、とにかく楽しみましょう」と、記事を読んだ人のためにコンテストデビューの背中を押す言葉をもらった。

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取材:あまのともこ 写真提供:高橋貴美子さん

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佐藤奈々子選手
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