ボディメイクに成功した人の肉体美を見て「きっとスポーツの経験があるんだろう」とか「私は運動オンチだから、こんな身体になれない」と諦めムードになってしまうことはないだろうか。今回紹介する新井紗矢佳(あらい・さやか/44)さんのフィットネスストーリーは、そんな人たちがフィットネスを始めるヒントになるかもしれない。
新井さんが筋トレを始める、そもそものきっかけは2022年にさかのぼる。
「その年にミセスコンテストに出場したのを機に、自分磨きや自分への投資をもっとしようと思い始めました。運動はなんとなくはしていたのですが、本格的に筋トレを始めたのは2023年7月くらいから。それでも最初は月2回から3回くらいのペースでした」
最初からガシガシと筋トレをしなかった、いやできなかったのには理由がある。「基本的に運動が苦手で……。筋力がなさすぎて、ほとんどの種目ができないというくらい」だったのだ。それでも、自分をもっと磨きたい。自分の可能性を信じたい。「とにかく、やれることをやっていこう」。自分なりの速度で、新井さんはフィットネスライフを歩み始めた。
「心掛けていたのは、とにかく自分ができる範囲内でトレーニングすること。運動が苦手なのもそうですが、10代のときを手術しているので、そこを痛めないように気を付けたり、身体が硬いので身体を温めてからトレーニングしたり。また、股関節の怪我の影響でスクワットが全然できなかったのですが、運動前にストレッチをしっかりやるようにしたら、ちゃんとしゃがむことができるようになりました」
他の人のように種目をこなせない。自信を失って挫折しそうなとき、支えとなったのが、トレーナーの温かいエールだったという。
「できない種目ばかりだというのに、トレーナーさんが諦めないで親身になってみてくださって。そのおかげで続けることができ、回数を重ねるうちにスクワットやベンチプレスができるようになっていったんです。また、トレーナーさんが褒めてくださることでモチベーションも上がり、お尻が上がってくるなど体型も少しずつですが変化していくことができました」
旅をすることと人前で話すことが大好きな新井さんの本業は「すでに全国41都道府県を巡っています」というバスガイドさん。コロナ禍の時期には観光バスも自粛が続き、仕事がほぼなくなってしまう事態にも見舞われたが、「トレーニングに行ける時間ができた」とポジティブにとらえ直し、前向きに乗車できる日を待ちながら、トレーニングを習慣化することにも成功した。
「最初は月2、3回のペースでしたが、今は週1、2回はジムに通っています。また、バスに乗車していないときは事務所勤務ですが、仕事の合い間にもデスクでできる筋トレをしています」
トレーニングの成果を確認すべく、昨年からボディコンテスト『ベストボディ・ジャパン』にも挑戦している。
「今の目標はベストボディ・ジャパンに入賞することです。そして、いつまでもキラキラと輝く女性でいたい。また、長い脚が自慢でもあるので、いつまでも美脚でいられるように頑張ります!」
運動が苦手な人は、すぐに得意になろうとしなくていい。まずは「慣れる」こと。慣れれば、できることがちょっとずつ増えていく。「できる」が増えたら「好き」の気持ちも高まり、いつしか苦手意識も消えていく――。新井さんが自分のペースでたどったプロセスが、そのことを教えてくれた。
取材:FITNESS LOVE編集部 写真提供:新井紗矢佳
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