2024年からJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)に加わった女子選手の新カテゴリー、「ウェルネス」。上半身に比べ、殿部、大腿部が大きいのが特徴だ。片岡彩香(かたおか・あやか/34)選手は、ウェルネス初開催となった7月のスポルテックカップ2024で6位、9月のオールジャパンフィットネスチャンピオンシップスでは163cm超級で3位の成績を収めた。
2021年からビキニフィットネス選手として活躍していた片岡選手にとって、ウェルネスの身体はビキニ以上に魅力を感じるものだった。
「その人の生き様を示すような下半身に、強さ・たくましさ・美しさを感じます。何の我慢も制限もなく『自分はどうなりたいのか』、『自分は何がしたいのか』を考えたときに、私はウェルネスの身体が好きで、ウェルネスの選手になりたくて、ウェルネスの身体を作るためのトレーニングがしたくてカテゴリーを変更しました」
片岡選手は、ウェルネス選手として初めて出場した大会で、「自分の居場所を見つけた」と思ったそうだ。
「『これが私です』、と私らしさを自己表現できるカテゴリーだと改めて感じました」
ウェルネスが自分の居場所だと確信し、臨んだ二戦目のオールジャパンではメダルを獲得したが、「オーバーオールではなく、身長別だったからこそ頂けた順位」と冷静だ。
「今年はウェルネスのカテゴリーにふさわしい身体で、評価されるべくしてされる自分でステージに立ちます。そのためには上半身・下半身ともに筋量を増やすこと、ウェルネスらしいステージングにすること、身長が高いがゆえに縦に細く見えるのを横に太く見える身体を作ること、ウェルネスらしい丸みを残しながら絞ること、課題はたくさんあります」
「課題に目を向けて自分を成長させるのが楽しいです」と片岡選手。ウェルネスの身体を作るためのトレーニングは、下半身に重点を置いたものだ。
「下半身のトレーニングの頻度を増やしました。以前は脚・お尻というざっくりとした分け方でしたが、現在は大腿四頭筋、内転筋、ハムストリングスの内側・外側、大殿筋の上部・中部・下部、中殿筋の前部・後部など、細かく分けています。高重量の日と、ラスト1回まで丁寧に扱える重量で高回数の日があり、どちらも"丁寧なトレーニングをすること"を常に念頭に置いています。特にこだわっているのは"筋肉の動きによってトレーニングの動作を生み出すこと"です。以前よりもトレーニングが楽しく、昨年からの成長が自分でも楽しみです」
減量にはかねてより苦戦してきた片岡選手。
「2021年・2022年・2024年と大会に出て、どの年も13kg〜17kg減量しました。心身ともに負担が大きく、特に2024年は大会後に体調を崩してしまい回復にかなりの時間を要したので、今回のオフシーズンはとにかく体重を増やしすぎないことに気をつけて過ごしています。これまでオフシーズンには好きなものを好きなように食べていましたが、今は鶏肉とオートミールをベースに、減量中とあまり変わらない食事をしています」
今シーズンの目標が明確にイメージできていることが、食事内容も徹底できている原動力なのかもしれない。
「昨年6位だったスポルテックカップで今年はメダルを獲得し、オールジャパンで優勝し、ウェルネスのカテゴリーで日本代表になります。正直まだウェルネスの正解がわかっていませんが、正解探しはせずに"自分がどうしたいのか"を常に考えて、私自身がかっこいいと思える身体を作ります」
「今シーズンは、7月に兵庫で開催される兵庫オープン大会、8月に東京で開催されるスポルテックカップ、9月に香川で開催されるオールジャパンに出ます。ウェルネスのカテゴリーに注目して、応援してくださるとうれしいです」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:あまのともこ 撮影:中島康介
-JBBF選手, コンテスト
-JBBF, オールジャパン, オールジャパンウェルネス