
辻茜さんレクチャー
トップスイマー平井瑞希さんが実践する
コア強化&連動性を高める5ワーク
「身体をコントロールして楽に、速く泳ぎたい」という平井選手の希望に応え、辻さんがセレクトしたピラティスワークを、辻さんの解説付きでご紹介します!
取材・文:藤村幸代 撮影:中原義史 Web構成:中村聡美
Work.1
キャデラックを使ったワーム
Focus 背骨のアーティキュレーション/胸部やアームスの可動域アップ
両脚をフレームの幅に開き、プッシュスルーバーに両手を乗せ前屈しながらバーを押し下げる。続いてバーを天井に押し上げたら、上半身をツイストさせて片方の手を反対側の足首に伸ばす。
ココがポイント
背骨(脊柱)の関節をを1つずつ滑らかに動かすアーティキュレーションのワークです。脚をしっかり伸ばしているので、ハムストリングから殿筋、腰部、背筋、頭まで背中全体がストレッチされます。最後はツイストの動作なので、脊柱、特に胸椎を回旋させることで、胸部やアームスの可動域も高めていくことができます。
Work.2
キャデラックを使ったヒップフレクサーエクササイズ
Focus 飛び込みやターンの際の蹴る動作向上
あお向けになりストラップに両足をかけたら、股関節と膝を90度に曲げ、ゆっくり押し出すように両脚を伸ばす。伸ばし切ったらお尻を起点に元の姿勢に戻る。
ココがポイント
股関節の屈曲に関わる筋肉群、ヒップフレクサ―のワークです。瑞希さんの場合、飛び込み台を蹴る動作や、ターンして壁を蹴る動作の際に、足の力ではなく腸腰筋など体幹部から下肢にしっかり力発揮ができる感覚をマスターするのが目的です。
Work.3
キャデラックを使ったドルフィン
Focus コアによる脊柱のコントロール力アップ
あお向けになり、ストラップに足先をかけて両脚をまっすぐ天井に伸ばしたら、体幹部を使いながらゆっくり脊柱をコントロールして両脚をまっすぐ下ろす。
ココがポイント
やや強めのスプリングで抵抗を感じながら、コアを使って脊柱をコントロールするトレーニングです。水泳のバタフライでは欠かせない動作で、コツをつかむと脚の無駄な力を使わずコアで前進できるようになります。やってみると、ハムにも効くワーク。瑞希さんも「一番きつい」そうです。
Work.4
リフォーマーを使ったバタフライ
Focus コアを使った前進力・推進力アップ/コアとアームスの連動
キャリッジの上にうつ伏せになりストラップに両手をかけたら、水泳のバタフライのようなイメージで、体幹からキャリッジをスライドさせていく。
ココがポイント
腕の動きは水泳のバタフライに近いですが、狙いは体幹部。骨盤からキャリッジをスライドさせることで、アームスの力に頼らず体幹から進む感覚、また体幹とアームスの連動させる感覚を養います。スプリングを重くすると背筋群の筋トレにもなりますが、瑞希さんの場合は軽めのスプリングで「骨盤から進む」に集中してもらっています。
Work.5
チェアを使ったローリング
Focus 上半身の連動性アップ

脚幅を拳ひとつほど開き、股関節から上半身を倒す。手のひらではなく背中から押すイメージで、肋骨から上半身をツイストさせながら左右交互にペダルを押し下げる。
ココがポイント
水泳のクロールに近い動作感覚をつかむワークです。ペダルを押し下げるときに、腕の力ではなく体幹から上半身を使うのがポイント。地道に続けていくことで、アームスと肩甲骨、胸郭など上半身各部の連動性を高めていくことができます。
辻茜(つじ・あかね)
株式会社Aulii代表取締役。幼少よりクラシックバレエを始め、松山バレエ学校、同バレエ団を経て、パリに留学。その後渡英。Vienna Festival Balletにてソリストとして活躍中の怪我を機にピラティスに出合う。渡米し、ピラティスをDollyKelepeczに従事。ネバダ州立大学公認 DK BodyBalancing Pilatesを取得。2016年乳がん学術学会で、乳がん術後ケアのためのピラティスについて発表。医療と連携し、マタニティーピラティスや乳がん術後ケアピラティスを手がけ、女性のためのヘルスケアプログラムも制作、院内の講座を行なっている。整形外科医との医療連携も行い、術前術後のメンテナンスとしてのメディカルピラティスの導入や、アスリートのためのメディカルピラティスも行う。2020年から、国内最大ピラティスイベントPilates Festa主催。
平井瑞希(ひらい・みずき)
2007年3月7日生まれ。TOKIOインカラミ所属。2024年パリオリンピック競泳女子100mバタフライでは決勝まで進出し、57秒19のタイムで7位。2025年8月のFINA世界ジュニア水泳選手権では、100mバタフライで金メダル、50mで銀メダルを獲得。9月の国民スポーツ大会では100mバタフライ、自由形で優勝。高校卒業後と同時にアメリカの大学からスカウトを受け、テネシー大学に進学する。





















