ボディビル界の令和の怪物、相澤隼人が優勝後バックステージで見せた涙の理由【マッスル】

9月11日に富山で開催された日本クラス別ボディビル選手権大会。階級別の日本一を決定するこの大会で特に注目を集めたのが2019年に19歳で東京選手権を制して同選手権史上最年少王者となった“令和の怪物”相澤隼人選手、昨年に一気に頭角を現した大型新人・寺山諒選手、そしてディフェンディングチャンピオンの髙梨圭祐選手が参戦した80kg以下級である。
ここで勝利を決めたのは、2年前の70kg以下級から2階級も階級を上げてきた相澤選手。ステージでは笑顔でポーズを決めていたものの、周囲の期待も大きかっただけに背負い込んでいたものがあったのか、試合後のバックステージでは涙を見せた。

【写真】ボディビル界の令和の怪物、相澤隼人選手

「今回は(10月10日の)日本選手権に(コンディションの)ピークを持っていくために、過度な調整などは行わなかったのですが、今までやってきた取り組みが身を結んで本当にうれしいです」

2年前に70kg以下級に出場した際には日本のトップボディビルダーたちと並び、身体の厚みを強化していく必要性を感じたという相澤選手。その課題を克服すべく胸や背中などの筋肉をハードなトレーニングによって改善。1年間に1kgほど増えたら御の字と言われるボディビルにおいて、2年間で約6kgもの増量に成功した。

「昨年1年間を通して、いいオフの過ごし方ができたと思います。コロナで大会がなくなり、(減量せずに筋量増加に取り組めたことが)実を結んだのではないかと思います。この大会に(ピークを)合わせてきた選手には失礼になるかもしれませんが、今は日本選手権に向けて身体を作っているところであって、まだ20代前半という年齢でもあるので、そこまで仕上がりにはとらわれずに、今回はしっかりと筋量を残したいと思っていました。日本選手権に向けては最低限もう一段階、あと1㎏くらいは絞ってしっかりと仕上げて挑みたいと思います」

ボディビルは結果が数字に表れる競技ではなく、客観的評価によって勝敗が決まる。そのため選手自身は実際にステージに上がってみるまでは、それまでトライしてきたことの答えが全く分からない。ただし、そこにまぐれやラッキーパンチなどの類は存在せず、その「客観的評価」を得るための手段には努力以外の選択肢はない。優勝することでようやく掴めた確信。相澤選手が流した涙は、この2年間、1日も怠らずに実直に課題克服に取り組んできたことの証と言える。

「なんだか、ほっとしました。これで今年のスタートラインに立てました」

取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

【写真】ボディビル界の令和の怪物、相澤隼人選手

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