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凄まじい筋肉!レジェンドボディビルダー“ナルシス山本”が登竜門的コンテストに出場した理由

ジャングルポケットのおたけ選手がエントリーしたことで話題となった10月17日のマッスルゲート名古屋大会。このコンテストにはおたけ選手以外にも、ボディビルファンから大きな注目を集めた選手がいた。芸術的なフリーポーズで「ナルシス」と呼ばれた男。日本選手権の元ファイナリストであり、パーソナルトレーナーとしても多くのクライアントを持つ山本昌弘選手である。1999年には交通事故、2004年には右半身麻痺に見舞われるも、そのたびに不屈の闘志で復活を果たしてきたレジェンドボディビルダーだ。
その山本選手が、ボディビル70kg以下級に参戦。今回は2017年に日本クラシックボディビル選手権168cm以下級で優勝した以来の試合となる。

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「実は私はこれまでに2回、肺炎を患っているんです。肺炎球菌ワクチンというものを打ったんですが、これは(効果が)5年持つんです。それから5年が経ったタイミングでコロナがきて、ここで病院にいくとコロナをもらってしまうんではないかと思って、(5年ぶりの肺炎球菌)ワクチンを打っていなかったんです。そして、去年の暮れに急に咳や痰が出るようになって。次に風邪をひいたら3度目の肺炎になるかもと言われていたんですが、案の定、肺炎でした」

幸いにも症状は軽く、今回は約1週間で回復。しかしながらトレーニングは3週間ほど中断。当初、山本選手はマッスルゲートではなくJBBFの公式戦で復帰する予定だったものの、ここで復活の意欲も途切れてしまったという。

「それで今年は(JBBFの)選手登録もしなかったんです。でも、(選手登録締め切り後の)4月、5月くらいになるとまた気持ちが盛り上がってきて、そこで視野に入ってきたのがマッスルゲートでした。私はトレーニングギア(マルチケーブルギア)を開発したのですが、そのギアを推奨するためにも自らが実践していく必要がありました。また、最近のクライアントさんたちも私のステージを見たいとおっしゃってくれて。そこで、頑張ってマッスルゲートにチャレンジしてみようという気持ちになりました」

ただし、マッスルゲートは誰でも参加可能な、ボディコンテストの登竜門的な位置付けの大会。そうした大会にエントリーすることに気恥ずかしさや照れなどはなかったのだろうか。

「半分、ありました。ただ、ちっぽけな見栄なんかかなぐり捨てていこうと。そして、せっかく出るのなら、元日本ファイナリストの名に恥じないように頑張ろうと思いました」

ある意味、絶対に敗北が許されない闘いだった。しかしながら、さすがは大ベテラン。この日の山本選手の肉体は凄まじく、まさにバキバキのコンディション。他の追随を許さぬほどの圧倒的な仕上がりで優勝を飾ってみせた。

「仕上がりとしては(東京選手権で2位になった)2016年と同等のところまでいきたかったんですが、あのときと比較するとちょっと劣ったような気がします。自分の中ではまだ納得のいく仕上がりではなかったです」

今年で53歳。90年代より第一線で活躍を続けながらも、なお高みを目指す山本選手。筋肉の1本1本の線維が目視できそうなほどの薄い皮膚感。そこにはボディビル界で一時代を築いた男のプライドが表現されていた。

取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介

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執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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