ジャングルポケットのおたけ“選手”が鍛え上げた肉体の美しさを競うメンズフィジークに初挑戦。10月17日、ウインクあいちで開催された「マッスルゲート名古屋」大会に出場した。おたけ選手は今年2月からトレーニングを開始。自身のYouTubeチャンネルでメンズフィジークへの挑戦を発表したのは6月のことだった。
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「でも、いざ大会に出るとなると、(超えなければいけない)精神的なハードルが高かったです。メンズフィジークは週に2、3回トレーニングしただけで出られるような舞台じゃない。毎日のようにトレーニングをして、食事も大会に向けてのものに変えて…と、仕事以外の面では常に“大会”のことを中心に考えた生活を送らないと。おそらく大会に出られている方はそうされていると思いますし、(そういう生活を)乗り越えてこそ立てる舞台だというイメージがありました」
マッスルゲート名古屋への出場を決めてから生活は一変。食事内容もトレーニング頻度も全て大会に向けてのものに切り替え、可能な限り生活の全てを注ぎ込んだ。ところが、8月には新型コロナに感染。10日間の隔離生活を余儀なくされることとなった。
「その間は完全にトレーニングを休みました。食事も思うように摂れないときもありましたが、タンパク質量は落としたくなかったので、できるだけ頑張って摂るようにしました。ただ、(トレーニングできなかった10日間で)身体は萎んでしまって、もう終わったと思いました」
トレーニングは隔離生活を終えた翌日から再開。当初は「すぐに息が上がってしまった」ものの、そこから筋肉は猛スピードで回復。大会1カ月前からは気持ちにも完全にスイッチが入り、減量もスムーズに進んでいった。
「減量初期はチートデイを設定していなくて、ロケでたくさん食べなければいけない日をチートデイにしていました。ただ、そうした仕事にも支障をきたさないようにしていたんですが、減量末期の(大会前の)2週間だけは、状況を伝えて(食べる仕事を)少し断りました。そこで食べたとて別に(大きな影響はない)と思うんですが、食べるのが怖くて箸をつけられなかったです」
そして迎えた大会当日。おたけ選手は新人の部172㎝以下級と一般の172㎝以下級の2カテゴリーにエントリー。2月の時点で74.5kgだった体重は60.5kgまで減少。下腹部の皮膚が前腕部分の皮膚と同等の薄さになるほど絞り込んだ姿には、この競技に対するリスペクトの念が感じられた。
「舞台に出て恥ずかしくはない感じにはなったとは思っています」
しかしながら、午前中に行われた新人の部172㎝以下級では予選敗退。そこで1試合経験したこともあり、午後の172㎝以下級には「少し気持ちに余裕が持てたこともあって、(出場するからには)少しでも舞台を楽しんで帰りたい」という心境で出場。だが現実は厳しく、ここでも決勝進出は叶わなかった。
「いろんな動画を見て前知識は入れてきたんですが、実際にその舞台に自分が立つと知らないことだらけで、経験しなければ分からないことを今日一日で味わいました。反省点や課題も正直、思い浮かばなくて、まだ自分がそのレベルではないと感じました。出場されている皆さんは本当にすごいです。1年そこら本気でやったくらいでは無理です。今日は闘いにきたのではなく、『舞台に立たせてもらった』という感じです」
突きつけられた圧倒的な敗北感。これまでジャングルポケットでは斉藤慎二さんがTBS「炎の体育TV」でボディビルに挑戦して計量オーバーで失格という結果を残して話題となり、太田博久さんはレスリングで優勝。今回のメンズフィジーク出場の背景には、こうしたメンバーたちの活躍もあったとか。デビュー戦で惨敗したからといって、このまま引き下がるつもりはないという。
「最近、周りの芸人たちに『いい身体している』と言われて、ちょっと天狗になっていました。今日は鼻を折られまくりました。悔しかったので来年、リベンジしようかなと思っています。僕はマッスルゲートに出て負けたので、ここにはまた出たいです。次は闘えるように頑張りたいです」
取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介
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執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。