数多くのドラマが見られた昨年の日本選手権。選手たちはどのような思いで、あの日のあのステージに上がったのか。ここでは男子ボディビル、女子フィジークの各2位から12位までの選手を単独取材。感動の舞台裏に迫る。
取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介
2021年女子日本フィジーク選手権大会5位・佐藤英己「今年は身体だけではなく心の元気さもありました」
今シーズンはジャパンオープンの優勝と日本選手権6位以内を目標に取り組んで、実際に達成することができました。しかし、日本選手権では2019年のファイナリストのうち6名ほどの方が欠場されていました。もちろん5位という順位をいただけてすごくうれしいですが、反面、この結果に甘んじてはいけないと思っています。2019年のシーズンでは東京選手権で優勝させていただいたあと、疲労が原因で失速してしまいました。その反省を活かし、今回はトレーニングで追い込みすぎないようにして、また減量しながらもしっかりと必要な栄養は摂るようにしました。
また、2019年は試合の直前までトレーニングをハードにやっていたんですが、今回は1週間前からはトレーニングのボリュームを下げて、疲労を抜くように心掛けました。同時に、摂取カロリーも上げました。これは、絞りにこだわってきた私にとってはとても怖い選択であり、これで脂肪が乗ってしまうのではないかという恐怖がありました。しかし、元気を失って一昨年のような状態になることのほうが私にとっては怖かったです。今年は最後まで笑顔でステージに立つということをテーマにして、ここは思い切って今までやってなかったことをやってみようと。トレーニングを見ていただいている天童曹耀先生とも相談しながら調整を進めていきました。
大会当日のコンディションは、一昨年よりも良かったです。今回の試みは成功したと思います。糖質をしっかりと摂りながらも減量ができるという自信がつきました。そして、身体の元気さだけではなく、心の元気さもありました。今までは不安を抱えながら緊張ばかりして、ステージもあっという間に終わっていたという感じだったんですが、気持ちにも余裕が持てました。実りのあるシーズンを過ごせたと思います。ただ、上位の選手たちの身体と比較すると、私にはまだまだ足りない部分が多すぎます。上位の方と並ぶと私はまだまだ細いです。トレーニングではもっと重量を扱って筋量を増やしていく必要性を感じています。今回、感じた上位の方との距離感を短くしていくことが当面の課題になってくると思います。