コンテスト mens

圧巻のコンディション!1年前より3kgも絞り、日本タイトルを獲得。覚悟の裏にあった師からの言葉

白井大樹選手「もっと早く、言うことを聞いていればよかったです。やはり、会長の選手を見る目は確かでした」
8月6日(日)、大分で開催された『JBBFジャパンオープン選手権大会』。その、男子ボディビルの部。国内のボディビル選手権では『日本選手権』、『日本クラス別選手権』に次ぐビッグタイトルを手にした男は、そう言って曇りのない笑みを浮かべた。

白井大樹(しらい・だいき/34)、東京の名門ジム・トレーニングセンター「サンプレイ」に所属するボディビルダーである。師は、日本のトレーニング界に大きな功績を残し、今年5月に他界した故・宮畑豊氏。白井選手の言う「会長」とは、もちろんこの「宮畑会長」のことを指す。

【写真】白井大樹選手の圧巻のコンディション

「会長からは常々、自分で『しっかりと絞った』と思ったところから、さらに2、3kg落せと。そう言われ続けていたんです」

だが、白井選手の中には、その言葉に素直に従えない自分がいた。毎試合全力を尽くして、しっかりと絞っている。ここからさらに2、3kgなんて、もう落としようがないではないか。

しかし昨年、白井選手はジャパンオープンに出場するも、結果は5位。その時点ですでに、翌年の同選手権大会へのエントリーは決めていたという。会長の言葉を、受け入れるべきときがきた。

今大会に向けて、白井選手は例年よりも早く、3月から減量を開始。「会長に『よく絞ったな』と、試合後にそう言ってもらうことを目標に」(白井)調整を進めていった。会長が旅立ったのは、その矢先の出来事だった。

「でも、そこで僕が気落ちして、不甲斐ない成績で終わるほうが会長は怒ると思います。とにかくしっかりとトレーニングをして、会長から言われ続けてきたことを守ろうと。実際に会長に見ていただけないのは残念ですが、だからこそより『優勝』というものを意識して取り組みました」

昨年度のジャパンオープン出場時の体重は85kg。今年は82kgまで絞り込み、ステージに立った。まさに圧巻のコンディション。43名もの選手が出場した同選手権において、その肉体は際立ち、観る者の目を引いた。見事なまでの圧倒的な勝利。白井選手は自らが実践し、そして優勝を勝ち取ることで、師の言葉の正当性を実証してみせた。

「会長が言っていたのは、こういうことだったのかと。これで僕も、ようやく『ボディビルダー』になれたという感覚です」

受け継いだ魂を胸に、きたる10月8日(日)、ボディビル最高峰の舞台である『日本選手権』に挑む。

次ページ:白井大樹選手の圧巻のコンディション

取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介

次のページへ >


-コンテスト, mens
-,