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180度開脚ポージングで魅了!25歳の若手女子フィジーク選手・美田佳穂のこれまでとこれから

美田佳穂選手ボディコンテストで、女子カテゴリーでは唯一1分間のフリーポーズがあるのが「女子フィジーク」というカテゴリー。女子カテゴリーでは最も筋肉量、絞りともに求められ、仕上がりのハードさが必要となるこのカテゴリーで戦うのが美田佳穂(みた・かほ/25)選手。もともとは体操競技出身で、トランポリン競技で世界を目指していた美田選手は様々なカテゴリーを経て、現在は女子フィジークに挑戦中。女子フィジーク最高峰の舞台を狙う異色の挑戦者に迫った。

【写真】美田佳穂選手の180度開脚ポージング

――2021年のマッスルゲート静岡大会でコンテストデビューを果たされ、そこからさまざまなカテゴリーに挑戦されていることが印象的です。

「最初は、ウーマンズレギンスとボディフィットネスに挑戦しました。ボディメイクを始めようと思ったきっかけは、同僚にボディビルダーがいて、『人間ってこんな風になれるんだ』と思ったことです。『私もこんな身体になってみたい!』と感じ、思いきってゴールドジムに入会しました。それまでは、現在まで働いているフィットネスクラブのジムでちょろっと合間にトレーニングするくらいで、まともにはトレーニングはしていませんでした。ゴールドジムに入会してから、『マッスルゲート』という登竜門のようなコンテストがあることを知り、すぐに出場を申し込みました。それがコンテストデビューの経緯です。そこから2年目、3年目と継続して出場していき、現在は女子フィジークに挑戦しています」

――大学まではトランポリン競技をやられていて、世界選手権を目指すほどの選手だったとお伺いしました。

「はい。2歳の頃に母親に連れられて体操教室へ通い始めました。最初は器械体操をやっていましたが、その後トランポリンコースの体験に行き、いつのまにかトランポリン競技にハマっていました。大学卒業と同時に引退したので、単純計算で体操競技歴は20年になります(笑)」

トランポリン競技に取り組んでいたころの美田選手(本人提供)

トランポリン競技に取り組んでいたころの美田選手(本人提供)

――なぜ引退されたのですか?

「大学1年時に腰を疲労骨折してしまい、まともに飛べなくなったんです。もともと高校時代から少し腰に違和感はあったのですが、怪我への知識もなく、『ほっといたら治るだろう』と思って特に何も対処せずに競技を続けていました。トランポリンの推薦で入った大学の1年生時に、これまでの違和感が爆発して、一時は歩行困難になるほどまでに腰を壊してしまいました。その後、数えきれないほどの病院や整骨院に行き、何とか治療をして頂ける病院を見つけ、『痛みはあるけど飛べる』ような状態まで回復しました。ですがやはり本調子には戻らず、大学卒業と共に引退を決意しました」

――歩行困難になるほどの怪我をしてしまったら、その時点で引退がよぎってもおかしくないと思います。

「大学在学中の目標にしていた『日本代表として世界選手権に出る』という夢をあきらめきれなかったんです。怪我をした直後は絶望して、大学生活が一気に真っ暗闇になったような気分でした。でも、やはり夢は簡単にはあきらめきれませんでした。以前のようには飛べなくなっても、かすかな希望を抱いて練習していたことを覚えています」

――その次のステージに選んだのがボディコンテストというわけですね。

「トランポリンは、自分の100%を出して競技をやり切れませんでした。不完全燃焼のまま競技を引退することになって、自分自身もモヤモヤした気持ちを抱えていたんです。『何かもう一度没頭できることはないか』と考えていた時に、先ほどの話に戻りますが、同僚がボディビルをやっていることを聞き、ボディメイクを始めました」

――ちなみに、現在のトレーニングはどのようにやられていますか?

「現在は、週に6回、一日2時間ほど行っています。現在は減量中なので、そこから有酸素としてバイクを漕いでいます。1部位にだいたい8~10種目ほど行うので、かなりボリュームは多いと思います。私はコンテストのためにトレーニングしているわけではなく、あくまでもトレーニングが好きでその延長線上にコンテストがある、というスタンスです。なので、トレーニングメニューもジムの混雑具合で変えたり、その時のやりたいことをやるようにしています。ただ昨年は、『結果を残したい!』と強く思いながらトレーニングをしていたため、トレーニングを楽しいと思うことがあまりなく、思いつめすぎてしまったせいかコンテストの結果にも繋がりませんでした。なので今は、『楽しいからトレーニングをしているだけ』という気持ちでいるようにしています」

――美田選手が自分の中で課題としている部位はどこですか?

「強いて言えば、背中と肩です。背中は、特に厚みをよりつけていく必要があります。なので今はローイング種目を多めに取り組んでいます。肩は、サイズを大きくしたいと思っています」

――肩のサイズアップのために現在取り組まれていることはありますか?

「プレス系の重量を伸ばしていくことを考えています。ただ、私は以前大きな腰の怪我をしたことから腰が少し弱いので、腹圧のかけ方には注意しています。腹圧をしっかりかけることができないと腰にきてしまいます。例えばダンベルショルダープレスを行う時は、オンザニーして挙げる瞬間に腹圧をかけ、ダンベルが挙がったら一旦抜き、そこからまた腹圧をしっかりかけて、という風に、腰が弱いからこそ人一倍意識して取り組んでいます」

――現在は女子フィジークでコンテストに多く挑戦されています。美田選手は女子フィジーク選手として何をアピールしていきたいですか?

「女子フィジークは、他のカテゴリーよりも絞りや筋量が重要視されるため、どうしても『強くて硬い』という印象になってしまうかと思います。ですが、私はそこに『柔らかい』という要素を加えることができると思っています。体操を20年近くやっていた経験から、身体の柔軟性はある方だと思います。なので、しなやかさを武器にしていきたいです」

――それならば、女性カテゴリーで唯一フリーポーズがある女子フィジークがぴったりですね。

「それも女子フィジークを選んだ大きな理由の一つです。フリーポーズでしなやかな演技を見せることで、バキバキに絞れた身体とのギャップが生まれると思います。なので、大澤直子選手や、男性では須山翔太郎選手のように、『しなやかさ』で魅せられる選手になりたいです」

――女子フィジークの筋量、絞りとしなやかさを両立できたら、大きな武器になると思います。美田選手の今後の競技での目標は?

「まずは、今年3位に終わった神奈川選手権の女子フィジークで、来年優勝したいです。それが直近の目標で、長期的な目標は日本選手権でファイナリスト入りすることです。この目標は、残り5年、30歳までに達成したい目標です」

――30代の若手で日本選手権のファイナリスト入りすることができれば、女子フィジーク界に新たな風を吹かすことができそうです。最後に、美田選手は今後どんな人になっていきたいですか?

「私は、影響を与えられる人になっていきたいです。私自身も、これまでにしんどいことも多く経験してきました。でもそのたびに、周りの方々にいい影響を与えてもらい、立ち上がってきました。夢半ばで挫折し、どん底を経験した私だからこそ、辛い人たちにいい影響を与えられる人間になれるのではないかと思っています」

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取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介

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