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産後1年半で日本大会3位の29歳・ビキニフィットネス選手「脂質を恐れず摂ることで、肌のツヤ感が出せました」

倉畑優奈選手「出産による体型の変化」に悩む女性は多い。今回は、産後1年半でJBBF東京選手権ビキニフィットネス35歳以下級優勝、JBBFオールジャパンフィットネスチャンピオンシップス・ビキニフィットネス163㎝以下級3位入賞を果たした倉畑優奈(くらはた・ゆうな/29)選手のダイエット・トレーニング法を紹介する。きっと、同じく産後太りに悩む方々の希望になるはずだ。

【写真】倉畑優奈選手のしなやかに絞り込まれた筋肉

「4年半ぶりの大会出場は不安とプレッシャーとの戦いでした。産後の変化として、見た目以上に構造的な変化がすさまじく、全身の筋肉、特に骨盤底筋や腹筋の弱体化、背骨のアライメントの崩れ、呼吸の浅薄化、総じて“力が思うように出せない”、そんな日常生活がやっとという状態でした。もちろん体型も別人のようになり、昔の写真を見てはため息が出る……そんな状態の自分が辛く、もう一度ボディメイクを一からやり直そうと決意しました。大会出場を決意したのも、逃げ道をなくすためです」

とにかく自分を変えるための最善の決断として、「高い目標を掲げることで自分を鼓舞しよう」と決意して大会出場を選んだという。

「失った筋肉へのアプローチとして、最初に始めたのがピラティスです。ピラティスは低負荷でインナーマッスルを鍛えることができるので、まず体幹の改善を優先しました。基礎が出来ていない段階で筋量を増やそうとすると、逆にウエストが太くなるなど、ビキニ競技として求められるスタイルからは外れてしまうからです。そういった経緯もあり、もともと、高重量のフリーウエイトもガンガン入れてボディメイクをしてきたのですが、本格的な筋トレに移行してからも、マシンでの丁寧な作り込みを優先するようになりました」

「また、皮膚感の変化も大きな課題でした。今でもそうなのですが、体脂肪率が同じでも触った感じで皮膚に柔らかさがあるんです。特に下腹部とお尻周りは顕著です。なので、体重を落とすだけでは皮膚が変化についてこれないと思い、減量期を長く取って急激な変化を避けるべきだと考えました。1カ月に1㎏のスローペースで落としていき、途中で一度はさんだ増量期でも同じく月に2㎏を上限として、とにかく時間をかけて根気強く除脂肪に取り組みました」

栄養面でも、しなやかな筋肉や美肌を保つための工夫を怠らなかった。

「卒乳のタイミングでホルモンバランスが変わり女性的質感を失いかねないことを知っていたので、プロテインをソイにすることで女性ホルモンの役割を補いました。あとは、PFCバランスではタンパク質を減らし、その分を脂質と糖質に振りました。特に脂質は30〜40%は摂ります。不安もあったのですが、結果として以前よりも肌のツヤ感を褒めていただくことが多かったのは、こういう努力の成果が出せたのかなと思います」

実際に大会に復帰してみて、第一戦で戦い続けてきた他の選手のウエストの細さや筋量に内心圧倒されたという。だが、「ここだけは負けない」と誓っていたことがあった。

「ポージングです。私は理学療法士とともにポージングの講師もしてるのですが、妊娠中もずっと継続しました。それこそ出産の2日前まではポージングレッスンをしていましたし、産後2カ月からは抱っこ紐をつけて子どもを連れて指導させてもらいました。ですので、私を信じて練習についてきてくれている生徒さんに恥をかかせるわけにはいかない、“これぞビキニ”と言われるウォーキングとポージングを見せたいと思いました。復帰戦の東京選手権で優勝、オールジャパンで3位入賞を獲ることができたのはここも大きかったと思います」

つわりもひどく、初出産という不安な環境の中でも「美」に向き合い続けたことも、体型が戻った足がかりとなったのかもしれない。産後のトレーニングについても、具体例を挙げてもらった。

「トレーニングに関しては本当に時間がなく、最初のころは週に3日、早朝に45分がやっとというくらいでした。産後は時間と体力との戦いです」

子育てをしながらのトレーニングは困難を極めたという。

「短い時間なので、レストを早めていかに追い込んでいくかを重視し、特に弱体化が顕著だった脚を前面と背面で週に2回鍛えました。バンドを用いたワイドスクワットでの外旋の感覚回帰や、ナローレッグプレスでの屈曲・伸展の感覚を取り戻すことから始め、徐々に重量を追う動作へと移行しました」

「現在は、週に5、6日のトレーニング時間を夕方に取ることができています。受賞によって家族の応援がさらに強まり、総出で協力体制を敷いてくれています。本当にありがたいです。今後は、現実的には家庭事情もあり難しいかもしれませんが、目標とする海外の選手たちと肩を並べたいという思いが、大会を通じて湧きました。そのためにアウトラインの強化、課題とするお尻の筋量などに一歩ずつ、真摯に取り組んでいこうと思います」

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取材・文:にしかわ花 大会写真:中島康介

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