「信じられないというか、まだ実感がないです。今までずっとベストボディ・ジャパンでは成果が出ず、最高が4位でした。もう今年で最後にしようと思ったなかでの初めてのトップ選手の仲間入りをさせていただき本当に嬉しいです」
10月14日(土)、浜松市浜北文化センターにて開かれたベストボディ・ジャパン(以下、BBJ)浜松大会にてミス・ベストボディ部門およびミス・モデルジャパン部門のクイーンクラス(50〜59歳)の2カテゴリーで準グランプリとなった安田りえ子(やすだ・りえこ/55)さん。
「元々が49歳のときに165cm70kgの肥満体型で、血液検査で内臓脂肪、特に脂肪肝が危険域だと診断されたのがボディメイクを始めようと思ったきっかけです。美的興味も低く、当時の楽しみといえばお友達とランチや家族と行く外食くらいで、普段は職場と自宅を往復するどこにでもいる主婦でした」
まずは痩せようとダイエット専門のパーソナルジムに入り、大好きなパスタやお菓子を断つ厳しい食事制限の日々を過ごした。
「最初はすごくストレスで、でもなんとか痩せなければまずいという思いで続けていくうちに身体がどんどん変わって、そこではトータルで-18kgを達成しました。でも、あまりにも急激に痩せたため、げっそりした姿に周りからは病気を心配されたほどです(笑)」
ただ、痩せたことを転機に環境に大きな変化が訪れる。50歳を機にミセスコンテストに出場、ミセスインターナショナルのミズファビュラス部門でファイナリストに残ったのを皮切りに、Mrs of the year静岡大会でグランプリを受賞し、Mrs of the year日本大会ファイナリストとなった。
「ボディコンテストに出たことで一気に人生が激変しました。興味がなかったSNS、メイクやウォーキング、ポージングを学ぶことにストレスを感じるほどだったのに、気がつけば雑誌に取り上げられたり、モデル事務所に所属が決まり地元のCMに出るなど、これまでのライフスタイルが一変していきました。写真を撮られるのも苦手で、笑顔もぎこちない自分。気持ちが追いつかずとまどいの連続でした。でも、それがかけがえのない楽しみへと変わっていくのに時間はかかりませんでした」
「ダイエットに成功したことでさらにボディメイクを強化したくなり、BBJにも挑戦しました。ただ、ここからが試練の連続で、予選落ちという厳しい状況が続き、ときに涙することさえありました。でも、いつしか誰かに勝つという意識は捨て、過去の自分に打ち勝つ……という目標に気持ちが変化するようになりました。そして人前に出ることの苦手意識も克服し、舞台に上がる醍醐味を味わうまでに成長できたことは、BBJに出逢えたからこその成長だと感謝しております」
苦節を過ごすなかで、あるパーソナルトレーナーとの出会いが心身を劇的に変えることとなる。
「ボディビルダーとして大会に出場している方とご縁があり、その方にボディメイクを基礎から再度教えていただきました。『大会に出続けたいと思える身体づくりを一緒にやりましょう』『僕は全力でやるんで、ついてきてください!』と言われて、自分の全てを託しました」
まず、糖質制限とケトジェニックでの栄養管理をPFC管理に切り替えた。しっかりと糖質を摂り、トレーニングの強度と頻度を上げた。週に一度体組成計と食事の振り返りを行い、進捗を管理した。
「週に3回のパーソナルトレーニングで肩周り、下半身、特に腹部のメニューを強化する他、ほぼ毎日30〜50分のウォーキングなど有酸素運動と自主トレーニングをしました。私は双子の出産歴があり、腹部のハリ感が特に課題だったので、マシンでの細かなアプローチまで丁寧に教えてもらい、食事に関してもどんなに些細なことでも相談しました。サポート前後、たった2週間で体重は51.7kgから46kgに、体脂肪率は21%から15.6%まで落ちました」
日々だけでなく、ステージ当日は舞台袖まで付き添う手厚いサポートにより、ブレがちな精神のコントロールも上手く保ってくれたと語る。「一人の戦いではなく周囲の協力がある戦い」の心強さも、成果につながったと安田さんは振り返る。
「私のトレーニングや食事管理は、頑張っている人にとってはなんでもないことかもしれません。でも、私が唯一伝えられることといえば、『諦めないことの大切さ』だと思います。一年、二年で大きな成果が出ないとすぐ諦めてしまう人が多い。それは違うと。何歳から始めてもいい。たくさんの気づきと学びをいただけるのがコンテストであり、常に過去の自分を超えるという気持ちがあれば続けられるし、必ず評価につながる日が来ると伝えたいです」
現在の安田さんは、メイクも美容にも全く興味のなかった自分が嘘のように美を楽しんでいるという。
「トレーニングを始めて、『40代の頃より、50代になってからのほうが全然若いね』と言われます。筋トレを中心にウォーキング、ロカボフードやRAWスイーツの資格を取り、酵素風呂やハイパーナイフなどボディケアから食事に至るまで日々の体調管理に努めることで、更年期障害知らずの健康な心と身体を手に入れました」
「自身の体型維持として、BBJの予選用ユニフォームを自主トレウォーキングの際に必ず着用するようにしております(笑)。こんな50代を迎えられた自分。年齢、性別関係なく日々関わってくださる、たくさんの仲間とともに感謝の気持ちを忘れず、これからも希望を持ち続け、年齢に負けない50代として精進し続けたいと思います」
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
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