「大病で美を諦めてしまう方々の希望になりたい。元気を届けたいという思いで出場しました。私の体験が背中を押す機会になればと願っています」
10月14日(土)、浜松市浜北文化センターにて開かれたベストボディ・ジャパン浜松大会にてミス・ベストボディ部門クイーンクラス(50〜59歳)でグランプリとなった奥村直子(おくむら・なおこ/51)さん。大会初出場、トレーニングも始めて一年目での優勝という結果を出すことができた、その背景とは?
「私は2年前に乳癌を患い手術をしました。その際にホルモン剤での投薬が必須となったのですが、医師に『太るよ』と宣告されたとおり、結婚後もずっと変動のなかった体重がどんどん増えて家にひきこもる状態になりました。その中で唯一心の支えとしたのがお菓子作りで、それがもとでさらに体重が増加してドクターに危険だと忠告され、もう自分ではどうにもならないと、藁にも縋る思いでパーソナルジムに通い始めました」
選んだパーソナルジムは、本大会プラチナクラス(60歳〜年齢無制限)にてグランプリを獲った市原みどり(いちはら・みどり/70)さんから紹介を受けた『FORCES』。友人であった市原さんがみるみる美しくなっていく姿を見て入会を決意したという。
「私はジムに通ったことも運動歴もなく、今でもトレーニングの種目名も分からないくらいです(笑)。なので、自分で判断するよりプロに任せた方がいいと思いました。トレーナーである野々村友志さんの指導は非常に緻密で、全くの初心者の私にも分かりやすいものでした」
PFC管理とは何か、具体的にどのような食事を何グラム取ればいいのか、今鍛えるべき部位はどこかなどを、身体の状態の段階ごとに逐次指導があったという。
「まず痩せることに関しては、運動面では有酸素と食事をメインにしました。毎日1時間、速歩で4kmを早朝ウォークする習慣をつけ、オクラ、ブロッコリー、きのこなど野菜中心に玄米、さつまいも、バナナ、卵、納豆などを計測して食べ、体感値のフィードバックをしました。結果、体質的に玄米はあまり合わないようだから違うものにしよう、などと少しずつ自分に合ったものを探しました」
「鍛える部分や種目は毎回身体の様子を見て変化されているようで、いつも違います。痩せていく過程では全身を満遍なく鍛えるところから、大会に向けては肩、お腹、脚、お尻など細かく指導がありました」
また、友人との情報共有のなかで、身長、体重が全く同じでも、食事もトレーニングも指導内容が全く異なることに気づいて非常に感銘を受けたという。
「体組成による必要な栄養素や弱い筋肉など、自分では分からない部分を専門的に見て判断してくれる人の存在はダイエットをする上では本当に大切だと思います。初心者であればあるほど、自己流では限界があります。私も自分で食事管理をしていたころは脂ものを避けたりなど『やっていたつもり』だったのですが、本格的な栄養指導はここまで違うのか、というのを自分の身体で実感しました」
現在の奥村さんは165cm、46kg、体脂肪率は13%。ボディメイク開始前から-10kgと別人のように変化を遂げた。
「ホルモン剤は今後も10年間は飲み続けなければならず、痩せる条件としてはかなり厳しいです。でも、トレーニングと栄養管理を適切に行えば、ここまでは結果を出せるんだという一つの事例になれればと思います。自己流でがむしゃらにやるのではなく、必要なことを必要なだけ教えてくれるトレーナーを見つけるというのはとても大事だと思います」
「運動や食事管理は決して楽なものではありませんが、身体が変わることで諦めかけていた自分に対して肯定的に捉え、前向きになれたことはそれ以上に大きい成果です。ともに伴走してくれたトレーナーや市原さんにとても感謝しています」
今後は日本大会に向けても将来的にも、上位入賞、優勝を目指していきたいと意気込む。
「私が活躍することが、病歴や投薬でボディメイクを諦めてしまう人を一人でも減らしていくことにつながると信じています。同じ境遇の方が、前向きになるきっかけになれれば嬉しいです」
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
-コンテスト
-BBJ, ベストボディジャパン